2015.04.17更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

未成年の子どもは、法律の規定上、親の親権に服するものとされています。

もっとも、その例外を定めている規定もあります。例えば、未成年の子どもが結婚したときには、「それによって成年に達したものとみなす」ことになっており、親の親権に服さなくなることとされています。

 

ところで、現在の民法上、男性は18歳以上、女性は16歳以上で結婚することができます。

 

このような未成年の男女が婚姻し、子をもうけた場合、その子の親権は、親である未成年の夫婦が持つことは問題がありません。

 

問題は、親の反対などの理由で、未成年の男女が法律上結婚していない場合、生まれてきた子の親権を誰が行使することになるか、という点です。

 

未成年の男女は、法律上結婚していない以上、成年に達したとみなされることなく、未成年のままですから、子の親権をそのままでは行使することができないので、このような問題が生じるのです。

 

このような場合について、民法は、「親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う」と規定しています。

すなわち、未婚である未成年の男女の間に生まれた子どもの親権は、未成年の男女(多くの場合は女性側でしょう)の親権者、つまり、生まれてきた子どもの祖父母が行使することとされているのです。

 

このように、子どもの実の父母でありながら、親権の行使をすることができない場合があります。現実とはだいぶ乖離している規定ではないかと思いますので、注意すべきでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.16更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

労働基準法上、常時10名以上の労働者を雇用している会社は、「就業規則」という規則を作らなければならないこととなっています。

 

就業規則とは、会社の運営などについて定めた規則であり、労働者の労働条件(賃金、休職や有給休暇など)や役職、懲戒事由などが規定されているものです。会社によっては、「賃金規定」などの名目で規定されていることもあります。

 

就業規則は、会社と労働者との関係を規律する、いわば会社の「憲法」のようなものですから、一定の規模以上の会社には、就業規則が必要とされているのです。

 

さて、会社では、正社員だけでなく、非正規社員(パート社員など)が雇用されていることが多いといえます。特に、最近の会社では、非正規雇用の割合が高まっているようであり、多様な働き方が生じています。

 

上述の就業規則は、原則として、一般社員だけでなく、このような非正規社員にも適用されます。すなわち、原則として、非正規社員にも、正社員と同様の労働条件等が適用されることとなります。

 

これは、労働者側としては望ましいことですが、会社側からすれば、困ったこととなってしまいます。会社としては、正社員と違った雇用形態を取るために非正規社員を雇ったのに、正社員と同様の労働条件が適用されてしまうなどとは考えていないはずです。

 

このような事態を避けるためには、就業規則に、「非正規社員には、この就業規則は適用しない。」などの条項を設けて、非正規社員に当該就業規則が適用されないようにしなければなりません。

 

もっとも、このような規定をするだけでは、手続きとして不十分です。非正規社員との関係で、会社との関係を規律する就業規則がないのは、労働者の保護に欠け、適切でないからです。

 

会社としては、非正規社員との関係を規定する、新たな「非正規社員用就業規則」を作成するなど、正社員と別の取り扱いをする従業員との関係を規定する就業規則を設定する必要があります。

 

なお、非正規社員の中で、さらに雇用条件に差異を設けようとするのであれば、それぞれについて就業規則を設定する必要があると思いますので、注意が必要でしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.15更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

前回の繰り返しになりますが、遺言書の作成に当たって、自筆での作成、日付の記載、氏名の記載、押印の4要件を満たさない遺言書は無効になってしまいます。

 

このうち、前回は、遺言書の有効性に関し、押印の問題点についてお話ししました。

今回は、上記の4要件のうち、「自筆での作成」についてお話ししたいと思います。

 

遺言書は、遺言者の自筆で記載されたものでなければなりません。しかし、何らかの理由で自筆での記載ができない場合や、音声や映像で遺志を遺したいと考える場合もあるかも知れません。

このような場合、遺言書は有効といえるのか、以下、考えてみます。

 

1 代筆の場合

遺言者の腕が不自由であるとか、高齢で指が震えるなどの理由で、遺言書を代筆してもらった場合、その遺言書が「自筆での作成」ということができるかが問題となります。

 

この問題を考えるに当たっては、遺言書の有効要件に「自筆での作成」が要求される趣旨を考える必要があります。

自筆での作成が要求されている趣旨は、自筆であれば、それを遺言者が自分の意思に基づいて記載したものであると判断することができ、遺言者の遺志を明らかにすることができるところにあります。

 

とすれば、代筆での作成であれば、遺言者が自分の遺志に基づいて記載したか否か判然としなくなってしまいますので、上記趣旨に反してしまうこととなります。

 

このような理由から、代筆で作成された遺言書は、無効であると解釈すべきです。

 

2 遺言書作成を介助した場合

代筆とまでいかなくても、腕や目が不自由な人の遺言書記載を手伝う(介助する)場合もあり得るでしょう。このような場合に、作成された遺言書は有効となるのでしょうか。

 

この問題も、結局は、上記の趣旨に適合しているか否かで判断されるものといえます。すなわち、介助と言いながらも、実質は代筆と見なしうる場合(例えば、手を添えて、遺言書の記載を誘導した場合など)には、遺言書は無効と解釈すべきです。

 

一方、手を紙のところまで誘導しただけであるとか、筆記を容易にするために支えただけであるなどの場合は、自筆での記載の要件を満たし、遺言書が有効と解釈されることもあり得るものと思います。

 

3 パソコンで作成した場合

パソコンでの遺言書は、誰でも作成することができるものですから、遺言者本人が自分の遺志に基づいて記載したことが明らかではありません。

とすれば、上記の趣旨に照らし、パソコンで作成された遺言書は無効と解釈すべきです。

 

4 録音・録画による場合

なお、録音・録画によって遺言がなされた場合、遺言者の遺志は明らかなものであるとはいえるでしょうが、民法上、遺言は、書面によってなされるものとされている(まさに遺言「書」であることが必要)ことからすれば、録音・録画による遺言は無効であると考えられます。

 

5 自筆での遺言書作成ができない事情があるとき

どうしても自筆での遺言書作成が困難である場合には、自筆で記載する必要のない公正証書遺言という方式を用いれば、問題は生じないこととなりますので、利用を検討されると良いと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.15更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

遺言書の作成に当たり、いくつか注意すべき点があります。自筆での作成、日付の記載、氏名の記載、押印の4点です。これらの要件を欠く遺言書は、無効とされてしまいます。

今日は、この注意すべき点のうち、「押印」に関する問題を検討します。

 

遺言書を作成しているとき、ハンコがみつからず、困ってしまうこともあるかも知れません。そのときに、ハンコ以外のものを遺言書に記載したとき、遺言書は有効とされるか否か、考えてみたいと思います。

 

1 拇印を押した場合

指にインクをつけて、押したものを拇印といいます。ハンコの持ち合わせがないときに、昔からよく利用されている方法です。

(時代劇などでも、借用書に拇印を押させるシーンが出てくることがありますよね。)

この拇印は、ハンコの代わりになるのでしょうか。

 

この問題を考えるには、なぜ遺言書にハンコを押す必要があるとされているのか、その趣旨を考える必要があります。

 

遺言書に押印が必要とされている趣旨は、①ハンコを押させることによって、その遺言書の内容が遺言者の真意に基づくものであることを確認すること、②重要な書類を完成させるには押印すべきであるという日本の法慣行(常識)、の2点にあると考えられます。

 

そして、拇印を押せば、上記①②の趣旨は十分に果たされるものと考えられます。とすれば、拇印が押してある遺言書も、押印があるものとして、有効なものと解釈すべきでしょう。

 

2 花押を記載した場合

花押とは、サインを図式化したもので、これも歴史上、長く用いられている形式です。ハンコが出回る前は、もっぱら花押が用いられていたようです。

現在でも、内閣の閣議の際の署名に、花押が用いられることもあったりしますので、むしろ正当な手法と言うべきなのかも知れません。

 

花押については、最近、高裁レベルで、印として有効であるとする判決が出ています。

花押は、印鑑よりも偽造が難しいものであることを踏まえ、このような判断が下されたようです。

 

もっとも、この判決の場合、被相続人が生前から花押を使い続けていたという事情があるようですので、この点も踏まえた判断がなされたというべきでしょう。

また、古文書などを見ると、簡単な形の花押(○や△など)の略花押と呼ばれる花押が用いられている場合がありますが、このような形の花押であれば、偽造が容易であるといえますので、印として有効であるということは難しくなるのではないかと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.14更新

流山法律事務所の弁護士(弁護士会松戸支部所属)の川越伸裕です。

 

以前のブログにも書かせていただきましたが、遺言書を作成することは、その方の遺思を明らかにすることができるほか、相続人間の紛争を避けうる点で、とても重要なことであると思います。

 

しかし、遺言書を書くには、当然、自分の意思を明らかにする能力(遺言能力)が必要です。

まったく自分の意思を明らかにできない人(意識不明の人など)が遺言をすることができないことは、当たり前ですよね。

 

では、認知症や精神障害などにより、自分の意思を十分に明らかに出来ない人は、遺言書を作成することはできないのでしょうか。

 

例えば、物事を判断する能力を原則として欠いているとして、家庭裁判所より審判を受けている人(成年被後見人、といいます。)は、遺言書を作成することができるか否かの問題です。

 

成年被後見人は、常に物事を判断する能力を欠いているわけではなく、一時的に精神状態が回復することがあります(いわゆる「まだら呆け」の場合などがこれに当たるでしょう。)。

とすれば、精神状態が回復したときは、遺言書を作成することができると解釈すべきです(回復していないときは、遺言をすることができないことは言うまでもありませんね。)。

 

民法も、一時的に精神状態が回復した場合には、一定の条件の下に、遺言書を作成することができることを認めています。

 

具体的には、医者2名が立ち会い、しかも、成年被後見人が遺言書を作成するに際して、物事を判断することが出来る能力を有していたこと(能力を欠いていなかったこと)を遺言書に記載かつ押印することを要件として、遺言書の有効な作成を認めています。

 

成年被後見人の精神状態を明らかにするために、医者2名の立ち会いなどを要件としていますが、それだけでなく、紛争防止のため、近親者の立ち会いを求めるなど、不審感を抱かれないような対応を取ることも検討すべきです。また、公正証書遺言という形式を取るなど、明確な方法によって遺言書を作成することをお勧めします。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.14更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

保証、という制度があります。借金などをするとき、もし返済が滞ったとき、保証をした人(保証人)が代わって借金を返済する責任を負う、という制度です。

 

身近なところでは、家を借りるときの保証人や住宅ローンを組むときの保証人が挙げられます。家賃やローンの返済が滞った場合は、保証人が代わりに家賃やローンを返済することとなります。

この保証について、時折、自分が知らない間に保証人にされていたという問題が生じることがあります(私も何度か、そのような相談を受けたことがあります。)。

 

例えば、何らかの理由で、実印や印鑑証明書を友人に預けていたところ、それを悪用されて、友人の借金の保証人とされてしまった場合や、同居している妻が夫の実印を使って、自分の借金の保証人としてしまうことがあるのです。

 

保証人にされてしまった人は、場合によっては、突然、予期しない多額の借金の返済を請求されることもあり、大きな負担を強いられることになってしまいかねません。

 

このように、勝手になされてしまった保証契約は、有効といえるのか、問題となります。

 

結論としては、承諾なく勝手に保証契約を締結されてしまった場合は、保証人としての責任を負わないことが大原則です。

 

とはいえ、保証人としての責任を負わないというためには、承諾なく勝手に保証契約を締結されてしまったという事情を主張立証する必要があるでしょう。

 

特に、債権者としては、保証契約が無効であるとされてしまうと大きな損失を被ることとなりますので、保証契約の有効・無効を判断してもらうため、訴訟を行うことも十分に考えられます。

 

保証人とされてしまった人は、例えば保証契約書の筆跡や、実印の保管状況、電話などによる確認の有無・確認状況などを明らかにし、保証人となることに承諾を与えていなかったことを証明しなければならないでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.12更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

今日は、千葉県議会選挙の日です。

私は、いつものことですが、6時45分頃に南流山センターの投票所に1番で並び、投票箱の中身を見てきました。一番に投票するのは、やはり気持ちがいいものです。

 

さて、今回の選挙では、立候補が選挙管理委員会によって却下される、という事例が相次ぎました。千葉県議選でも、立候補が却下された候補者がいました。

 

選挙に立候補する権利(被選挙権)については、公職選挙法という法律の第10条に定めがあります。それによれば、県議選に立候補することができる人は、①選挙権を有する②年齢25年以上の者と規定されています。

 

今回、立候補が却下されたのは、①の選挙権を有しないことが、後日判明したからなのです。

 

では、選挙権を有しない人とは、どのような人をいうのでしょうか。

 

これについても、公職選挙法第11条に定めがあります。長い条文ですので、詳細は省きますが、要するに刑事処罰を受けた人については、一定の期間、選挙権を有しないものとされているのです(例えば、何か罪を犯して、刑務所に入れられている人は、投票をすることができないということになります。)。

 

興味深いのは、公職にある間に収賄などの「賄賂」の罪に問われた人については、被選挙権を失う期間が長く設定されていることです。公職者として相応しくない、ということでしょうか。

 

その場合、被選挙権を失う期間は、公職選挙法上、5年又は10年とされているようです。買収などの重大な選挙違反に関するものの場合、10年間の資格喪失とされることになっているようです(これも、長い条文ですので、興味をお持ちの方は、公職選挙法252条などをご参照ください。)。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先ほど、悪徳商法についてお話ししました。

そのような悪徳商法の中で、最近、増加している悪徳商法についてお話ししたいと思います。

 

その悪徳商法は、「送り付け商法」と呼ばれるものです。

具体的には、注文も何もしていないにもかかわらず、勝手に商品を送り付けて、商品の代金を請求するという商法です。一方的に商品を送り付けるので、「送り付け商法」といいます。

 

特に悪質なものとなると、送付先が忙しいとき(例えば結婚や葬儀などの関係で、住民が多忙であるとき)を見計らって、商品を送り付けてくることもあるようです。忙しければ、何も考えず、お金を支払ってしまいがちになることを狙ったものでしょう。

 

また、商品が届いたころを見計らって、脅しまがいの電話をかけてくることもあります。

 

金を支払わなければ裁判をする、詐欺だから警察に通報する、自宅に取り立てに行く、などと凄まれて、あわてて支払ってしまうことも多いようです。

 

このようなときは、毅然として、「注文していないから支払わない。」と突っぱねてもらう必要があります。そうしたからといって、裁判になったり警察に通報されたりすることはまずありません(警察に通報したら困るのは相手の方ですから。)。

 

心配であれば、弁護士に相談するなり、消費生活センターに商談するなり、警察に連絡するなり、一番やりやすい方法で相談してみれば大丈夫でしょう。

 

なお、送付されてきた品物は、こちらから送り返す義務もありませんし(間違って届いてしまったものは、相手の依頼があれば、着払いで送り返してあげればいいとは思いますが)、送付日から14日経てば、自由に処分することもできます。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

一時期、「悪徳商法」という、詐欺まがいの被害が多発したことがあります。

現在でも、このような悪徳商法は生き残っており、例えば「競馬詐欺」や「ロト6詐欺」などで問題になることも少なくありません。

(競馬やロト6など、当選番号があらかじめ分かるはずもないのですが、それでも騙してしまうのが詐欺師の凄いところです。)。

 

私も、最近では、「二酸化炭素排出権取引」や「金やプラチナの取引」について、被害が疑われる事例の相談を受けたことがあります。

 

悪徳商法には、たくさんの種類があります。

 

主な悪徳商法としては、「連鎖販売取引」(いわゆる「ねずみ講」取引)や「催眠商法」(たくさんの顧客(=被害者)を集め、話術や演出などで雰囲気を盛り上げ、高価な商品を購入させる)、「サムライ商法」(適当な資格をでっち上げ、高価な参考書等を買わせる)、「霊感商法」(祟りが起こる、等と脅し、高価な仏具、壺などを買わせる)…など、数えきれないほどの悪徳商法があります。

 

このような手口を見聞きするたびに、よくこのような手口を思いつくな、と、驚いてしまいます。

 

このような被害に遭わないようにするためには、何といっても、うまい話などないことに留意し、毅然と断ることが何より大事だと思います。

また、その場で即決してお金をすぐに払わないことも必要でしょう。

 

一日でも間をおいてよく考えたり相談したりすれば、被害は相当減るのではないかと思います。

 

仮に契約してお金を払ってしまったときは、クーリングオフ制度や契約の解除など、適切な対応を取る必要があります。

なるべく早い対応を取るべきと思いますので、弁護士や消費生活センター、場合によっては警察に相談することも必要な場合があると思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、弁護士会松戸支部の支部総会に出席するため、松戸の弁護士会に行って来ました。

 

松戸支部の総会は、毎回たくさんの方が出席しており、松戸支部に積極的に関わろうとされている弁護士が非常に多いように思われます。

今回も、100名に近い弁護士が出席しており、凄いことだと驚嘆していました。

 

総会自体は、1時間半弱で終了し、その後、懇親会が行われました。

 

もちろん、懇親会にも出席し、顔見知りの弁護士(まだ数は少ないですが…。)などと懇親を深めることができました。

 

今後も、積極的に松戸支部の行事には出席して行きたいと思います。

投稿者: 流山法律事務所

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