2015.04.16更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

労働基準法上、常時10名以上の労働者を雇用している会社は、「就業規則」という規則を作らなければならないこととなっています。

 

就業規則とは、会社の運営などについて定めた規則であり、労働者の労働条件(賃金、休職や有給休暇など)や役職、懲戒事由などが規定されているものです。会社によっては、「賃金規定」などの名目で規定されていることもあります。

 

就業規則は、会社と労働者との関係を規律する、いわば会社の「憲法」のようなものですから、一定の規模以上の会社には、就業規則が必要とされているのです。

 

さて、会社では、正社員だけでなく、非正規社員(パート社員など)が雇用されていることが多いといえます。特に、最近の会社では、非正規雇用の割合が高まっているようであり、多様な働き方が生じています。

 

上述の就業規則は、原則として、一般社員だけでなく、このような非正規社員にも適用されます。すなわち、原則として、非正規社員にも、正社員と同様の労働条件等が適用されることとなります。

 

これは、労働者側としては望ましいことですが、会社側からすれば、困ったこととなってしまいます。会社としては、正社員と違った雇用形態を取るために非正規社員を雇ったのに、正社員と同様の労働条件が適用されてしまうなどとは考えていないはずです。

 

このような事態を避けるためには、就業規則に、「非正規社員には、この就業規則は適用しない。」などの条項を設けて、非正規社員に当該就業規則が適用されないようにしなければなりません。

 

もっとも、このような規定をするだけでは、手続きとして不十分です。非正規社員との関係で、会社との関係を規律する就業規則がないのは、労働者の保護に欠け、適切でないからです。

 

会社としては、非正規社員との関係を規定する、新たな「非正規社員用就業規則」を作成するなど、正社員と別の取り扱いをする従業員との関係を規定する就業規則を設定する必要があります。

 

なお、非正規社員の中で、さらに雇用条件に差異を設けようとするのであれば、それぞれについて就業規則を設定する必要があると思いますので、注意が必要でしょう。

投稿者: 流山法律事務所

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