2015.02.04更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

昨日、「年齢計算に関する法律」をご紹介しました。

実は、似た名前の法律に、「年齢のとなえ方に関する法律」という、マイナーな法律があります。

 

この法律の主目的は、いわゆる「数え年」ではなく、「満年齢」で年齢を表す努力義務を負わせるところにあります。

 

この法律ができたのは、昭和24年のようですが(翌年施行)、この当時まで、「数え年」で年齢を表す方法が、広く用いられていたことが、この法律で分かります。

 

そもそも、「数え年」でなく満年齢を使用すべきことは、昨日ご紹介した「年齢計算に関する法律」でも規定されていました。

しかし、そのことが明示されていたわけでなく、しかも年齢計算に関する法律が、ぱっと見ただけではよく分からない法律であったため、従来と変わらず、「数え年」が使用されてきたのではないかと思います。

 

数え年では、例えば12月31日生まれの人は、当日に1歳、翌1月1日に2歳の誕生日を迎えることとなってしまい、実態に合わないことなど、問題もありますので、このような法律が制定され、満年齢を使用することになったそうです。

 

ほかにも、数え年より満年齢で数えた方が、年が一つ若くなりますので、みんな若返ることができて明るい気持ちになる、という理由もあったようですが、これはどうでしょうかね(笑)。

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.03更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

日本には、余り良く知られていない、マイナーな法令がいくつもあります。

勉強や仕事をしていると、ときどき、このようなマイナーな法令に出会うことがあります。その中には、マイナーとはいえ、皆さんの日常生活に深く関係している法令もあったりします。

 

例えば、「年齢計算に関する法律」という法律があります。

年齢の数え方ですから、皆さんの生活に深い関係がある法律ですが、その内容を皆さんは、ご存じないのではないでしょうか。

 

年齢計算に関する法律は、次の3項から成っています(原文はカタカナ)。

1 年齢は出生の日より之を起算す

2 民法第143条の規定は年齢計算に之を準用す

3 明治6年第36号布告は之を廃止す

 

この法律は、皆さんが年を取る日が、「誕生日の前日の午後12時(24時)」であることが定めています(理屈はちょっと難しいので置いておいてください。)。

例えば、2月5日生まれの方は、法律上、2月4日の午後12時(24時)に年を一つ取ることになります。

 

なお、2月4日の午後12時(24時)と、2月5日の午前0時とは、同じ時間を指しているようですが、法律解釈上は、違う日であるとしています(法律のよくわからないところです。)。深く考えると、よく分からなくなりますので、余り深く考えない方がいい部分です。

 

ところで、よく、「2月29日の閏年生まれの人は、4年に一度しか年を取らない」と冗談で言われることがありますが、上記の法律解釈からすれば、この冗談が誤っていることが分かりますね。

2月29日生まれの人は、法律上、2月28日(の午後12時)に年を取るからです。

 

むしろ、4年に1度しか誕生日が来ない人は、3月1日生まれの人、と冗談を言った方が正しいのかも知れません(2月29日午後12時は4年に1度しかないため。)。

 

ちなみに、4月1日が、いわゆる「早生まれ」とされている理由も、4月1日生まれの人が年を取るのが、3月31日(の午後12時)であるからです。

 

もう一つ、具体例としては、「選挙権」が挙げられます。

選挙で投票できるのは、20歳以上ですが、投票日の翌日が誕生日の人も、投票をすることができることとなっています(期日前投票は、できません。まだ19歳ですから。)。

 

誕生日の前日に、年を取るという観点からすれば、誕生日の前日に投票日が決められれば、当日に投票することができるのは、当たり前ともいえます。

 

…しかし、誕生日の前日の午後24時に年を取るのであれば、投票時間中はまだ19歳なのであって、投票権はないはずである、とも考えられますよね。

ここも深く考えると、よく分からなくなってくる部分です。

取りあえずは、判例と公職選挙法の解釈により、誕生日の前日の投票が許されている、とお考えいただければと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.02更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

遺言書を書いても、その記載内容のすべてが法律的な拘束力を持つものではありません。法律上、効力が発生する事項は、以下のように限定されています。

 

1 相続についての事項

(1)相続分の指定・指定の委託(民法902①)

法律で決まっている相続分(法定相続分)を変更することができます。例えば、「長男に遺産をすべて相続させる」などの指定ができます(ただし、遺留分の問題等が発生しうることになります。)。

 

(2)特別受益者の持ち戻し免除(民法903③)

すでに、贈与や遺贈を受けている共同相続人がいる場合、民法では、共同相続人間の公平を図ることを目的として、贈与分や遺贈分を相続財産に戻し(持ち戻しといいます。)、各相続人の相続分を計算することとしています。しかし、遺言により、この持ち戻しをしなくてよいとすることができます。

 

(3)遺産分割方法の指定または委託(民法908)

例えば、不動産は長男、株式は二男、預金は三男、というように、具体的な分割方法を指定することができます。

 

(4)遺産分割の禁止(民法908)

相続開始のときから5年を超えない範囲で、遺産分割を禁止することができます。この間、相続人全員が合意しても分割することはできませんし、家庭裁判所に対する遺産分割請求もできません。

 

(5)相続人相互の担保責任(民法914)

相続人が遺産分割の結果、取得した遺産に問題(損失)があったときに、別の相続人は、相続分に応じて、その損失を担保しなければなりませんが(民法911)、その担保責任の有無及び内容を指定することができます。

 

(6)遺留分減殺方法の指定(民法1034但書)

遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺(遺産に戻すこと)することとされていますが、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従うこととなります。

 

 

(7)遺言執行者の指定または委託(民法1006)

遺言書の内容を実現するために、遺言書を執行する人(「遺言執行者」といいます。)を指定または指定委託することができます。

 

(8)相続人の廃除及び廃除の取り消しの請求(民法893、894②)

廃除とは、相続人としての資格を失わせることをいいます(廃除の取り消しは、相続人の資格を回復させることをいうことになりますね。)。

重大な効果をもたらすものですから、効力を発生させるためには、家庭裁判所の審判が必要とされています。

 

2 遺産分配についての事項

(1)遺贈(民法964)

遺言によって、遺産の全部または一部を処分する行為のことです。遺贈は、死亡後の遺産処分ですので、いわゆる「単独行為」で遺産の処分をすることとなります。

 

(2)財団法への財産拠出(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律157)

財団法人への財産の拠出(いわゆる「寄付行為」)を遺言で行うことができます。

民法の旧41条2項に規定されていましたが、削除され、別途「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」において規定されることとなりました。

(条文を見ようと思って民法41条の箇所を参照したら、削除されていて、ちょっとびっくりしたのは内緒です。)

 

(3)生命保険の受取人の変更(保険法44条)

 

(4)信託の設定(信託法3条2号)

 

3 身分関係についての事項

(1)認知(民781②)

婚姻外で生まれた子を、自分の子であると認める行為です。法律上の親子関係を発生させることとなります(相続人とすることができる、という効果が生じます。)。なお、認知は、生前でもできることはいうまでもありません。

 

(2)未成年後見人の指定(民法839)、後見監督人の指定(民法848)

親権者が、死後の未成年者の保護を考え、遺言で、後見人やその監督人の指定を行うことができます。もっとも、父母共同親権のときにおいて片方の親が亡くなった場合、例えば、父母のうち父親だけ死亡したときは、母親が親権を行えばよいわけですから、未成年後見人等の指定をすることはできません。

 

(3)祭祀承継者の指定(民法897)

遺言で指定がなされていれば、その人が祭祀の承継者となります。

 

おおむね、これらの遺言事項については、法的な効力が生じることとなります(抜け落ちがあったらご指摘ください。)。

 

これ以外の遺言は、法的な効力はなく、訓示や希望を述べるといった程度のものにとどまります。「兄弟仲良く暮らすように」などと遺言書によく書かれていることがありますが、これも、単なる訓示ということになり、子ども達の仲を法的に規定するものではありません。

 

最近では、葬式の方法、例えば「散骨して欲しい」なども、希望を述べたという程度のものであり、その希望に反しても、法的な問題は生じません。

 

もっとも、このような訓示的、希望的規定にとどまるものであっても、亡くなった方の最後の願いであることに違いはありませんので、可能な限りその希望に沿うようにすべきであると思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.02更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、公図作成ミスが原因で土地の所有権を失った女性が国に損害賠償を求めた裁判で、国に登記の重複を知らせなかった責任を認め、800万円の支払いを命じる判決が下されたとのニュースを見ました。

 

ニュースによれば、土地が払い下げられた際に、土地の境界を確定する公図が誤って2枚作成されてしまっていたそうです。

 

これらの公図に基づいて、所有者が異なる2つの登記がなされていたため、女性は、土地の所有権確認を求める裁判を起こしましたが、もう一人の所有者がその土地を何十年も占有していたため、時効を理由に敗訴し、土地の所有権を失ったとのことでした。

 

二重に公図があったということ自体、ありえないことでしょうから、法務局は、早期の対応ができたはずであろうと思います。そればかりか、1つの土地で二重に固定資産税を取っていたということになりますので、役所も、状況の不自然さに早期に気づくことができたのではないかと思います。

 

上記判決でも、法務局は遅くとも1989年には公図と登記の重複に気づいていたと認定しています。なぜ、何の対応も取らなかったのか不思議でなりません。

 

ところで、公図とは、土地の境界や建物の位置を確定するための公の地図をいいますが、意外と間違いがあります。

私も、かつて、明らかに土地の位置がおかしい公図を見せてもらったことがあります。

 

単純な誤記や記載漏れであれば、簡単に法務局でも確認することができますので、比較的容易に公図の訂正をしてもらうことができます。

 

しかし、複雑な誤り(例えば、公図の土地の形状が間違っており、近隣の土地の形状などに影響を与えてしまうような場合。上記事件などは、まさに「複雑な誤り」といえるでしょう。)には、簡単に訂正してもらうことができません。

 

そのようなときは、当該土地の所有者が、公図に誤りがあることを証明して、法務局に公図訂正の申し出をしなければなりません。

そのために必要な測量などの費用は、公図の訂正を求める人が負担することになります。

 

もし、公図訂正の申し出をしても、訂正してもらえない場合、不服の申し立てはできませんので(訂正申し出は、単なる職権発動を求める申し出と解されています。)、改めて調査をして、再度訂正の申し出をする必要があるでしょう。

 

公図は、不動産取引をするときに必要不可欠な資料であるといえます。その資料に誤りがあると、取引自体が困難になるなど、不利益が生じかねません。

 

公図といえども、人の手によるものですから、誤りがあってもやむを得ないとは思いますが、大きな誤りを見つけた際は、すみやかに関係者に連絡するなど、不利益が増大することのないような対応を取ってもらいたいと思います。

 

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.01更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

最近、子ども同士のトラブルの話をよく聞きます。

当人同士で仲直りすることができれば一番いいのですが、けんかで怪我をさせてしまったり、いじめが発生してしまったりすると、事は重大になります。

 

例えば、子どもが小学校でいじめに会ってしまったとき、誰に責任を追及することができるのでしょうか。

 

まず、学校に責任追及する可能性があります。

 

学校は、児童を保護する法的責任を負っています。教師は、いじめを発見し、いじめがあったときは、適切な対応(加害者側への指導や被害者側へのフォロー)を行い、子どもの生命や身体の安全を確保する必要があります。

被害者側としては、学校は、この義務を怠ったのではないかと主張し、責任を追及していくことになります。

 

また、いじめた子どもの親に責任追及することもできます。

 

年齢にもよりますが、小学生くらいの年齢であれば、子どもは責任無能力者(損害賠償責任を負わない者、と考えていただければ結構です。)ですので、子どもに責任を追及することはできません。

 

その代わりに、親には子どもの監督責任がありますので、その責任を十分に果たしていなかったと主張し、責任を追及していくことになります。

 

親などの責任が認められた場合、裁判所で認められる慰謝料額は、いじめの程度や生じた結果などにもよりますが、数十万円程度となることが多いのではないでしょうか(もちろん、いじめで自殺した、などの事情があれば、巨額の慰謝料額が認められると思います。)。

 

なお、いじめのために転校・転居を余儀なくされた場合、その転居費用なども請求しうる余地があると思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.01.31更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

求人情報誌などを見ていると、「住み込み可」や「社員寮あり」といった記載を時々見かけます。社員寮に入寮できるというのは、嬉しい情報なのではないでしょうか。

 

しかし、社員寮に入寮後、トラブルで会社から解雇されてしまった場合、社員寮からすぐに出ていかなければならないのでしょうか。

 

「社員」寮ですから、普通に考えれば、社員でなくなった以上、すぐに退去しなければならないようにも思われます。しかし、それでは、住む場所がなくなってしまうため、影響が大きすぎるとも思います。

 

この問題を考えるには、社員寮への入寮が、どのような法律関係に基づいているのかを考える必要があります。この法律関係の判断は、主に社員寮の賃料額によって決められるようです。

昔の判例でも、「…世間並みの家賃相当額を使用料として支払っている等、原審認定のような事実があるときは、その使用関係を賃貸借と判断して妨げない」との判示がなされています。

 

例えば、社員寮の賃料が、タダであるとか、きわめて低い場合には、社員寮への入居は「使用貸借」という法律関係にあると判断されることがあります。使用貸借であるとすれば、会社から解雇された場合には、すぐに会社に社宅を明け渡す必要があると思われます(会社の就業規則や利用規定等に何らかの規定があれば、それに従って処理されることになると思います。)。

 

では、社員寮の賃料が、賃料相場と比較して同じ程度であった場合はどうでしょうか。この場合には、社員寮への入居は「賃貸借」という法律関係にあると判断され得ます。賃貸借関係にあるとすれば、すぐに退去する必要はないものと思います。

 

この場合には、会社側は、退去を求める「正当事由」がなければ、解雇した社員であっても、退去させることはできません(なお、このほかにも必要な手続きがあります。)。

多くの場合、解雇して会社の従業員としての身分を失ったことが、「正当な理由」とされることが多いと思いますが、そのような争いが生じ得るということは、取りも直さず、短期間で退去させることは難しいということになります。

 

従業員側とすれば、社員寮の入寮についての法律関係を検討し、会社側に適切な反論をする等して退去の期限を延ばしてもらい、その間に、すみやかに新居を見つけ転居するという手法が、もっとも負担が少ない対処法となると思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.01.30更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

早速ですが、給料(賃金)の支払いには、以下にお話しする5つの原則があることをご存じでしょうか。

 

1 通貨払いの原則

賃金は、通用力のある貨幣で支払われなければなりません。

例えば、店の商品を賃金代わりに支給したり、使えない貨幣(例えば、和同開珎など)での賃金の支払いは許されません。

もっとも、同意を得て銀行口座への振込みをすることは大丈夫です。

 

2 全額払いの原則

賃金は、その全額を支払わなければなりません。

例えば、会社が従業員へお金を貸していたとしても、その貸金を賃金から天引きすることは許されません。

もっとも、源泉徴収や保険料の控除、労使協定がある場合などは、賃金からの控除が認められています。

 

3 直接払いの原則

賃金は、直接労働者本人に支払わなければなりません。

子どもが働いて得た給料は、子どもに支払わなければならず、親に渡してはいけません(子どもが親の食い物にされる可能性があるからだと思います。)。

 

4 毎月払いの原則

給料は、毎月1回以上、支払われる必要があります。

 

5 一定期日払いの原則

給料の支払い日は、一定期日でなければならないとする原則です。

例えば、毎月25日支給などと、一定期日を定めなければなりません。

月によって、給料日が5日や20日、30日などとばらばらになってしまうと、労働者に負担がかかってしまうからです。

 

いかがでしょうか。皆様の会社から支払われる給料、ちゃんと原則に則ったものとなっているでしょうか。

 

意外と、原則に反した、違法な給与の支払われ方がされていることが多いですので、これらの原則をご確認のうえ、疑問があれば、流山法律事務所までご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.01.29更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

相続をすることになったとき、取り得る手段は、3つあります。

 

1つ目は、「単純承認」という手段です。

しかし、これは、亡くなった方の権利義務関係をすべて相続する、ということです。プラスの財産だけならばよいですが、「マイナスの財産」(簡単に言えば借金です)がたくさんあった方の場合、単純承認をしてしまうと、その借金まで引き継がなければならなくなってしまいます。

 

2つ目に、「相続放棄」という手段があります。

これは、亡くなった方の権利関係をすべて放棄する、ということです。

亡くなった方に借金がたくさんある場合は、相続放棄をすれば、その借金を引き継ぐ必要はありませんが、もしプラスの財産がどこかにあったとしても、それを受け継ぐことはできなくなってしまいます。

 

3つ目に、「限定承認」という手段があります。

これは、相続財産を責任の限度として相続する手段のことをいいます。簡単に言えば、亡くなられた方の財産で借金を弁済した後、余りがあればそれを相続することができるという手続きです。

プラスの財産があるときだけ遺産を相続するという、いわば「虫のいい」手続きですが、かなり複雑な手続きを要求されています。そのため、利用する方はあまりいないのが現状のようです。

 

これらの手続きのうち、「相続放棄」と「限定承認」は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、裁判所への申し立てをしなければなりません。もし、手続きをしなければ、単純承認したこととなってしまうのです。

 

では、亡くなった方の財産関係が複雑で、3か月以内に財産関係を把握することができない場合は、どうしたらよいのでしょうか。

 

このようなときは、家庭裁判所に、上記の3か月の期間延長の申請をすることが可能です。裁判所が申請の内容を検討し、期間を延長する決定を出してくれれば、その延長された期間中に、ゆっくりと調査をすることができます。

 

一度延長をしても、調査が終了しない場合は、再度延長の申請をすることも可能ですが、一回目よりも、審査は厳しくなるのではないかと思います。

一度目の延長で調査が満了しなかった理由や、再度延長を求める理由、どのような調査を、あとどれくらいすればいいのか等を、具体的に裁判所に伝える必要があるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.01.28更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

捜査のため、警察が捜査対象者の車にGPSを設置した行為について、裁判所が「違法ではない」との判断を下したとのニュースを見ました。

 

個人の位置情報を、それなりの確度をもって把握するという行為は、単純な尾行の補助というにとどまらず、個人の自由やプライバシーを相当程度侵害するものであると思います。このように、個人の位置情報というのは、重大なプライバシーに関する情報ですので、GPSの設置を違法でないとした判断には、疑問を覚えます。

 

報道では、「GPS端末は24時間、位置情報が取得され記録されるものではな」かったことや、「尾行の補助として位置情報を使用し、記録として蓄積していたわけではな」かったこと等から、プライバシー侵害の程度は大きくなかったとしているようですが、そのような事情があったとしても、勝手にGPSを他人の車に取り付けるという手法が正当化されるべきではないのではないでしょうか。

 

もっとも、具体的な事情から、プライバシー侵害の程度が大きいと判断される場合、すなわち、「24時間位置情報を取得する場合」や「記録として蓄積する場合」などには、違法な捜査とされる余地を残す判決でもあります。

 

上記のほかに、GPS設置にあたって、勝手に車に工作を加えた場合」「GPS設置の際に、住居侵入等の違法行為をした場合」などの場合にも、GPSの設置が違法と評価される要素になりうるのではないかと思います。

 

ともあれ、許される捜査としては、限界事例であったのではないかと思います。このような判決が出たからといって、警察は安易にGPSを使用した捜査をすべきではありませんし、裁判所を含め、このような捜査が適切であるかを、きちんと見ていく必要があると思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.01.28更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚についての相談をされる方の中に、「性格の不一致」を理由として、離婚したいと言われる方がときどきいらっしゃいます。

 

夫婦間で話し合いをして、納得して離婚することができれば、性格の不一致を理由とする離婚も可能です。

 

問題は、相手が納得してくれない場合、性格の不一致を理由として、裁判で離婚することができるのか否かです。

法律上、離婚することができる事由は、次の5つの場合であると定められています。

 

(1)不貞行為…浮気をされた場合は、離婚することができます。

(2)悪意の遺棄…正当な理由なく、同居を拒んだり、生活費を渡さなか

ったりした場合、離婚することができます。

(3)3年以上の生死不明…どこで何をしているかわからず、生死すら不

明であるときは、離婚することができます。

(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

(5)婚姻を継続し難い重大な事由があること

 

性格の不一致が原因ということであれば、上記の(1)~(4)の要件には、いずれも該当しないことは明らかです。

 

では、性格の不一致が、(5)婚姻を継続し難い重大な事由 であるということができるのでしょうか。

 

一般的に、単なる性格の不一致だけでは、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しないと考えられています。それだけでは、夫婦仲が破たんし、取り返しのつかない状況に陥っているとは思われないからです。

 

したがって、相手が同意してくれない限り、性格の不一致を理由とする離婚は、認められないこととなります。

 

離婚を求める際には、性格の不一致だけでなく、上記(1)~(4)のような離婚事由がないかなどを、十分に検討される必要があります。

投稿者: 流山法律事務所

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