2015.02.02更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、公図作成ミスが原因で土地の所有権を失った女性が国に損害賠償を求めた裁判で、国に登記の重複を知らせなかった責任を認め、800万円の支払いを命じる判決が下されたとのニュースを見ました。

 

ニュースによれば、土地が払い下げられた際に、土地の境界を確定する公図が誤って2枚作成されてしまっていたそうです。

 

これらの公図に基づいて、所有者が異なる2つの登記がなされていたため、女性は、土地の所有権確認を求める裁判を起こしましたが、もう一人の所有者がその土地を何十年も占有していたため、時効を理由に敗訴し、土地の所有権を失ったとのことでした。

 

二重に公図があったということ自体、ありえないことでしょうから、法務局は、早期の対応ができたはずであろうと思います。そればかりか、1つの土地で二重に固定資産税を取っていたということになりますので、役所も、状況の不自然さに早期に気づくことができたのではないかと思います。

 

上記判決でも、法務局は遅くとも1989年には公図と登記の重複に気づいていたと認定しています。なぜ、何の対応も取らなかったのか不思議でなりません。

 

ところで、公図とは、土地の境界や建物の位置を確定するための公の地図をいいますが、意外と間違いがあります。

私も、かつて、明らかに土地の位置がおかしい公図を見せてもらったことがあります。

 

単純な誤記や記載漏れであれば、簡単に法務局でも確認することができますので、比較的容易に公図の訂正をしてもらうことができます。

 

しかし、複雑な誤り(例えば、公図の土地の形状が間違っており、近隣の土地の形状などに影響を与えてしまうような場合。上記事件などは、まさに「複雑な誤り」といえるでしょう。)には、簡単に訂正してもらうことができません。

 

そのようなときは、当該土地の所有者が、公図に誤りがあることを証明して、法務局に公図訂正の申し出をしなければなりません。

そのために必要な測量などの費用は、公図の訂正を求める人が負担することになります。

 

もし、公図訂正の申し出をしても、訂正してもらえない場合、不服の申し立てはできませんので(訂正申し出は、単なる職権発動を求める申し出と解されています。)、改めて調査をして、再度訂正の申し出をする必要があるでしょう。

 

公図は、不動産取引をするときに必要不可欠な資料であるといえます。その資料に誤りがあると、取引自体が困難になるなど、不利益が生じかねません。

 

公図といえども、人の手によるものですから、誤りがあってもやむを得ないとは思いますが、大きな誤りを見つけた際は、すみやかに関係者に連絡するなど、不利益が増大することのないような対応を取ってもらいたいと思います。

 

 

投稿者: 流山法律事務所

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