2015.01.28更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

捜査のため、警察が捜査対象者の車にGPSを設置した行為について、裁判所が「違法ではない」との判断を下したとのニュースを見ました。

 

個人の位置情報を、それなりの確度をもって把握するという行為は、単純な尾行の補助というにとどまらず、個人の自由やプライバシーを相当程度侵害するものであると思います。このように、個人の位置情報というのは、重大なプライバシーに関する情報ですので、GPSの設置を違法でないとした判断には、疑問を覚えます。

 

報道では、「GPS端末は24時間、位置情報が取得され記録されるものではな」かったことや、「尾行の補助として位置情報を使用し、記録として蓄積していたわけではな」かったこと等から、プライバシー侵害の程度は大きくなかったとしているようですが、そのような事情があったとしても、勝手にGPSを他人の車に取り付けるという手法が正当化されるべきではないのではないでしょうか。

 

もっとも、具体的な事情から、プライバシー侵害の程度が大きいと判断される場合、すなわち、「24時間位置情報を取得する場合」や「記録として蓄積する場合」などには、違法な捜査とされる余地を残す判決でもあります。

 

上記のほかに、GPS設置にあたって、勝手に車に工作を加えた場合」「GPS設置の際に、住居侵入等の違法行為をした場合」などの場合にも、GPSの設置が違法と評価される要素になりうるのではないかと思います。

 

ともあれ、許される捜査としては、限界事例であったのではないかと思います。このような判決が出たからといって、警察は安易にGPSを使用した捜査をすべきではありませんし、裁判所を含め、このような捜査が適切であるかを、きちんと見ていく必要があると思います。

投稿者: 流山法律事務所

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