2015.03.10更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、東京で、「介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット」(長いです)の勉強会に参加してきました。

 

この会は、障害を負った方々が、社会内で自立して生活するために必要な介護を獲得するため、行政との交渉、各種申請、訴訟等を行う組織です。

 

かつて、障害者の方は、自宅(実家)の一室に閉じ込められていたり、病院に長期入院させられていたりしていたようです。しかし、障害を負っていても、自分らしい、自立した生活を営むことができて当然ではないでしょうか。

 

憲法では、人間らしく生きる権利を含めた「生存権」、個人一人一人の「尊厳保障」や「幸福追求権」、どこで住むかを決められる「居住移転の自由」などが定められています。

また、近年では、障害者権利条約や障害者基本法、障害者総合支援法等が制定され、障害者の方々の自立を支援する法制度も定められつつあります。

 

しかし、いまだに上記の法の趣旨が貫徹されているとは思われません。

 

例えば、24時間介護が必要であるにもかかわらず、「私たちの市では、16時間までしか出していないんですよ。」「家族がいるならば、家族にすべて介護してもらえばよいではないですか。」「病院に入院したらどうですか。」などと言い、必要な介護支援を行おうとしない市町村が多々あるのが現実なのです。

 

このような市町村の現状に対応するため、30名近くの弁護士が、全国(熊本からいらっしゃった方もおりました。)から勉強会に参加して、最新の状況について情報交換等を行いました。

 

大変に参考になるとともに、全国で戦っている方々のお話を聞くことができ、非常に刺激になりました。

 

今後も、少しずつでも障害者の自立に向けてお手伝いしたいと考えています。

投稿者: 流山法律事務所

2015.03.09更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

今回は、内容証明郵便の書き方、出し方についてお話ししたいと思います。

内容証明郵便とは、郵便局が「いつ」「誰に」「どのような内容の」手紙を送ったかを証明してくれるものです。受け取った相手方としては、このような特殊な手紙が送られてくるとプレッシャーになり(弁護士の名前で郵送されてきたら、特にそう思うのではないでしょうか。)、何らかの反応をしてくることがあります。

また、「配達証明」というものをつければ、相手に届いた日付が証明されますので、相手に届いたことを確認(証明)する必要があるときには併用すると便利です。

 

この内容証明郵便を出すには、主に以下のようなルールがあります(詳しいルールは郵便局に聞いてください。)。

 

① 字数・行数のルール

縦書きの場合、1行20字以内、1枚26行以内。

横書きの場合、1行20字以内、1枚26行以内または1行13字以内、1枚40行以内または1行26字以内、1枚20行以内。

パソコンを使って作成すると、句読点の関係で字数制限をオーバーしてしまったり、ページ番号が振られてしまい行数制限をオーバーしてしまうことが良くありますので、注意が必要です。

また、字数の計算方法は複雑(例えば「㎡」は2字、「()」は全体で1字、「⑩」は3字、等と計算します。)ですので、疑問があればその都度郵便局に問い合わせた方がよいでしょう。

 

②複数枚になる場合のルール

ホチキスなどで留め、割り印をおしてください。

 

③郵送についてのルール

送付する相手の数+2通を準備する必要があります。たとえば1人に出す場合は、同じものを3通準備してください。1通は相手への送付用、1通は郵便局保管用、1通は差出人保管用(ハンコを押して返却してくれます。)となります。封書で送りますので、封筒も1枚持参されるとよいと思います。

 

しかし、どこの郵便局でも内容証明郵便の受付をしてくれるわけではありません。内容証明郵便取扱局でなければなりません。東葛地区では、松戸・松戸南・松戸北(以上松戸市)、柏、流山、鎌ヶ谷、安孫子、野田・川間(以上野田市)の9か所の各郵便局が内容証明郵便取扱局となっているようです。

 

私が内容証明を出すときは、一番近い流山郵便局を利用しているのですが、他の郵便局に比べて、少し手続きが遅いような気がします。埼玉県の三郷郵便局も内容証明郵便取扱局ですので、流山橋が混んでさえいなければ、かえって早く手続きできるのではないかとも思いますが、どうでしょうか。

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.03.06更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

昨年、ある財団によって、4月4日が、「養子の記念日」に指定されました。「よ(4)うし(4)」で、4月4日なのだそうです。

 

養子制度は、余りなじみのない制度かも知れませんが、親子関係にない者同士を、法律上、親子関係があるものとすることができるものです。

 

養子縁組をすれば、養子は、実の子と(ほとんど)同じ権利を取得することになります。とはいえ、養子は、養子縁組をしたからといって、元の親(実の親)との法的な関係が切れるわけではありません。また、養子は、例えば戸籍謄本の続柄欄に「養子」と記載されてしまうなど、書類を確認すれば、すぐに養子縁組をしたことが明らかになってしまいます。

 

このような事態を避けるため、例えば、生まれたばかりの赤ちゃんを養子にもらう際、実子として届け出をしてしまおうとお考えになるかも知れませんが、これは、いわば戸籍簿にうそを記載させる行為ですから、公正証書原本不実記載罪(長い!)という犯罪になってしまいますので、おすすめできません。

 

このような問題を解決する方法として、「特別養子縁組制度」があります。

これは、(1)夫婦の両方が養親となる、(2)少なくとも養親の一人の年齢が25歳以上、もう一人が20歳以上、(3)養子の年齢が原則として6歳未満、(4)養子の実父母の同意、(5)実父母による監護が著しく困難又は不適切であること、その他特別な事情がある場合において、子の利益のため特に必要であると認める事情があること、の5つの要件がある場合に、家庭裁判所が審判によって縁組を成立させるものです。

 

これにより、特別養子と実の親との法律関係は、(ほとんど)消滅することになります(まったくの他人になるわけではありません。例えば、特別養子と実の親とは、結婚することができません。)。

 

戸籍も、実子に準じた記載(「養子」ではなく、「長男」「長女」などの記載)がなされますので、一見して養子であるかどうか、分からないように配慮されています。

 

もっとも、見る人が見れば、特別養子がなされていることはすぐに分かります。その意味では、行政には、戸籍の記載方法をもう少し考えてもらいたいものです。

投稿者: 流山法律事務所

2015.03.05更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先ほど、南流山駅前を救急車が大きなサイレンを鳴らしながら走っていくのを見ました。松戸か流山のどこかで火事があったのではないかと思います。大事にならないことを願っています。

 

そこで、今回は、「引き渡される前に燃えてしまった家」についてお話ししたいと思います。

 

Aさんが家を買おうと考え、家の持ち主であるBさんと契約を済ませて、引き渡されるのを待っていたところ、運悪く家が燃えてしまった、という事例を考えてください。Aさんは、契約したとおり、建物の代金を支払わないといけないのでしょうか。

 

燃えてしまった家にお金を支払うのは、何かおかしい気もします。一方で、すでに契約しており、家はAさんのものなのだから、その損失はAさんが負担すべきようにも思います。

 

民法は、このようなとき、まず、誰に火事の責任があるのかで、お金を支払う必要があるかないかを判断しています。たとえば、Bさんが火を出して家を燃やしてしまったときには、Bさんが責任を負うべきですので、Aさんは、民法上燃えてしまった家の代金を支払う必要はありません。

 

一方、火事の発生が、Bさんの責任ではないときがあります。雷が落ちて家が燃えてしまったり、隣の家から出た火事が延焼して家が燃えてしまったりした場合です。

 

そのような場合、民法は、損失をAさんが負担すべきである、すなわち、Aさんは、契約に定められた建物の代金をBさんに支払わなければならない、と規定しています。

 

とはいえ、実際に引き渡されていない家の代金を支払わなければならないとすると、Aさんにとっては、泣きっ面に蜂、です。マイホームは手に入らない、建物代金は支払え、では、いくらなんでも可哀想だとは思いませんか。

 

そのため、実務上、例えば「地震などの天災や火災などが原因で、不可抗力により建物が壊れた場合には、その損害は売主(B)が負担する」などの特約条項を家の売買契約書に記載しておき、買主(A)の不利益が大きくならないような対応を取ることがよく行われています。

 

また、このような特約がない場合であっても、家の売買契約をすると同時に、火災保険をつける等して、万が一の対策を講じておけば、重大な不利益を免れることができるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.03.04更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、成年後見業務に関する研修に参加するため、松戸の弁護士会まで行って来ました。

基礎的な知識から発展的な問題まで、幅広く学ぶことができ、非常に勉強になりました。

 

私自身は、すでに2件ほど成年後見業務はやったことがあり、現在も、1件、後見人として選任されています。この研修を受講して、自分がこれまで行ってきた後見業務が、十分なものであったのか、振り返る良い機会となりました。

 

また、裁判所への報告は遅滞なく行うという基本的な対応が必要不可欠である(当たり前のことなのですが…。)というお話は、やもすれば報告が遅れがちになってしまう私にとって、反省させられる話でした。

 

今後も、松戸などで研修があったときには、積極的に参加して行きたいと考えています。

投稿者: 流山法律事務所

2015.03.02更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

例えば、道端で1万円を拾ったら、どうすべきでしょうか。

 

ネコババしてしまうのは不正解です。場合によっては、遺失物横領罪という犯罪に問われることすらあります。遺失物を拾った人は、すみやかに持ち主に返還するか、警察に届けなければならないという定めが、「遺失物法」という法律にありますので、「本人か警察に届ける」が正解となります。

 

ところで、遺失物法は、正直に遺失物を届けた拾得者に対して、以下のとおり、ご褒美の規定を置いています。

 

28条 物件(誤って占有した占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(第9条第1項若しくは第2項又は第20条第1項若しくは第2項又は第20条第1項若しくは第2項の規定により売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の100分の5以上100分の20以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。

 

つまり、落とし主(所有権者)は、拾った人(拾得者)に対して、5%から20%までの範囲で、報労金を支払わなければならないのです。

先の例でいえば、正直に1万円を届ければ、500円~2000円の範囲で報労金がもらえることになります。

 

もっとも、落としたお金が1万円くらいならよいのですが、1000万円落とした場合は、報労金は50万~200万、1億円落とした時には、500万~2000万、10億円落とした時には、5000万~2億円…と、どんどん報労金額が上がっていってしまい、落とし主にとって、負担が大きくなってしまいます。

 

普通は、例えば1億や10億などというお金を持ち歩くことはないでしょうし、落とすことなど、まず考えられません。しかし、日本では、かつて、約78億円相当もの遺失物が、警察に届けられ、問題が発生したことがあるそうです(私が生まれたころの話です。)。

 

この問題は、東京の兜町(金融街ですね)で、ある人が、某銀行員の忘れて行った鞄を拾うところから始まりました。この鞄には、総額約78億円にも上る額面の日銀小切手などが入っていたそうです。

 

拾った人は、当然、びっくりし、すぐに警察に届け、無事に日銀小切手入りの鞄は、銀行のところへ戻りました。

とすると、次に生じる問題は、上記の「報労金」の額です。78億の5%は3億9000万円ですから、最低でもその額が拾得者に支払われた…のではなかったのです。

 

銀行は、日銀小切手が現金でなく、容易に換金できないものであること等を理由として、日銀小切手は無価値であり、報労金を支払う必要はない、と主張して、報労金の支払いを拒絶したようです。

 

当然、拾得者は納得できません。報労金を支払うように求める訴訟を起こし、決着をつけようとしました。

 

この裁判で、東京高等裁判所は、①小切手が通常使用されない日銀小切手であること、②現金化が容易でないこと(不正に換金することがまず無理であること)等から、日銀小切手は額面どおりの価値を有していないと判断し、日銀小切手の価値を額面額の2%程度として算定して、900万円弱のみの報労金を支払うように命じました。

 

このように、現金以外の落とし物であった場合、換金の容易性・困難性を含め、実際の拾得物の価値を決めた上で、報労金の額を算定することになりますので、想定よりも報労金額が低くなることもあり得ます。

 

…何か、過去の面白い判例を紹介するような記事になってしまいましたが、拾得物はきちんと警察に届けましょう、そうすればご褒美がありますよ、というお話でした。

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.28更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日来、相続人が相続権を失う場合についてお話してきました。

おおむね、お話しすべきことはしたと思いますが、一点だけ、補足のお話をさせていただきたいと思います。

 

それは、遺言書の隠匿や破棄に関して、「不当な利益を得る目的がなかったとき」の問題です。

 

例えば、親が亡くなったため、兄弟3人に相続が発生した場合をお考えください。このとき、二男がたまたま遺言書を見つけて読んでみたところ、遺言書に、「二男に遺産をすべて相続させる」と書かれていたとします。

しかし、二男は、「自分がすべて相続するのはおかしい、遺言書を隠してなかったことにし、兄弟3人で3分の1ずつ遺産を相続しよう」と思い、遺言書を隠してしまったような場合、どのように考えるか、という問題があるのです。

 

形式的に見れば、二男は遺言書を隠匿したのですから、相続人から排除されてしまいそうです。しかし、自分に有利な遺言書を隠して他の相続人に有利な遺産分割をした二男を、相続人から排除するのもおかしい気がします。

 

この点に関し、裁判所は、自分に有利な遺言書を隠したり破棄したりした相続人について、相続に関して「不当な利益を得ることを目的とするものでなかった」ことを理由として、相続権を失わないと判断しました。

 

このように、遺言書が隠されたり破棄されたりした場合であっても、その遺言書の内容いかんによっては、その者が相続人から排除されないこともあります。ご留意ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.27更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

昨日、遺言書を隠匿したり破棄したりしてしまった場合、相続権を失う結果となる、とご説明しました。今日は、このほかに、相続人が相続権を失う場合があることについてお話しします。

 

昨日は、民法891条をご覧いただきました。遺言書の隠匿や破棄については、民法891条のうち、5号(5番目の項目)に規定されています。

 

こう申し上げると、皆さんは、「じゃあ、1番目から4番目は?」と疑問に思われると思います。実は、1番目(1号)から4番目(4号)にも、相続人が相続権を失う場合について規定されているのです。

 

まず、第1号(1番目)には、「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」は、相続人から排除される規定があります。

つまり、被相続人(例えば親)を殺したり、相続人(例えば兄弟)を殺したりした者については、相続人とはなれなくなるのです。

 

次に、第2号(2番目)には、「被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。」との規定があります。

被相続人の死亡が、殺害であったにもかかわらず、告訴告発をしないで放置していると、相続人から排除されてしまう可能性があるのです。

 

また、第3号(3番目)には、「詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者」が、第4号(4番目)には、「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」が、それぞれ規定されています。

被相続人の自由な遺言書作成を妨げた以上、このような相続人から相続権をはく奪することこそが正義に適う、と考えられているからでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.26更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

相続が発生した場合、遺言書があれば、基本的に、その遺言書に則って遺産の分配が行われることとなります。しかし、遺言書は、亡くなった方の遺志に基づいて作成されるものですから、相続人間において、相続額に多寡が生じてしまうことがあります。

 

例えば、相続人が長男・二男・三男の三人だけだった場合、遺言書がなければ、遺産は3分の1ずつ配分されることになりますが、遺言書があれば、例えば長男に6分の4、二男・三男に6分の1ずつ相続させる、ということも可能になるわけです。

 

このように、遺言書によって、配分される遺産額が少なくなってしまう相続人にとっては、遺言書が、いわば「邪魔」になることもあるのです。

 

では、かかる遺言書を隠したり破棄したりしてしまったらどうなるのでしょうか。民法は、以下のように、このような場合の規定を定めています。

 

民法891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

5  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 

つまり、遺言書を隠したり破ったりした人は、相続を受ける権利を失うということになります。遺言書を隠す等した者は、被相続人の遺志をないがしろにし、家族の協同関係を破壊したといえますので、遺産を取得できなくなっても仕方ないとされているのです。

 

たとえ、遺言書の内容が自身にとって不利なものであっても、隠したり破棄したりすれば、もっと重い結果を招くこととなりかねません。お気を付けください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.02.25更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、前橋地方裁判所桐生支部まで行ってきました。流山法律事務所からは、東北道を利用して、車で約2時間の道のりでした。

車でなく、電車で行くことも検討したのですが、どうしても乗り継ぎが悪く、時間がかかってしまうため、やむなく車で桐生まで向かいました(事故を起こさなくてよかったです)。

 

桐生の裁判所には、「免責審尋」という、自己破産の手続きに出頭するために行ったのですが、手続き自体は、5分かからずに終わってしまいました。

5分のために往復4時間かけて裁判所に出頭するという、割に合わない日でした(裁判期日の時間より、交通の時間の方が長いことは、割とよくあることではありますが。)。

 

久しぶりに桐生の裁判所に行けて、懐かしかったから良し、としておきましょう。

kiryu 27.2.13

 

 

 

投稿者: 流山法律事務所

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