2015.04.14更新

流山法律事務所の弁護士(弁護士会松戸支部所属)の川越伸裕です。

 

以前のブログにも書かせていただきましたが、遺言書を作成することは、その方の遺思を明らかにすることができるほか、相続人間の紛争を避けうる点で、とても重要なことであると思います。

 

しかし、遺言書を書くには、当然、自分の意思を明らかにする能力(遺言能力)が必要です。

まったく自分の意思を明らかにできない人(意識不明の人など)が遺言をすることができないことは、当たり前ですよね。

 

では、認知症や精神障害などにより、自分の意思を十分に明らかに出来ない人は、遺言書を作成することはできないのでしょうか。

 

例えば、物事を判断する能力を原則として欠いているとして、家庭裁判所より審判を受けている人(成年被後見人、といいます。)は、遺言書を作成することができるか否かの問題です。

 

成年被後見人は、常に物事を判断する能力を欠いているわけではなく、一時的に精神状態が回復することがあります(いわゆる「まだら呆け」の場合などがこれに当たるでしょう。)。

とすれば、精神状態が回復したときは、遺言書を作成することができると解釈すべきです(回復していないときは、遺言をすることができないことは言うまでもありませんね。)。

 

民法も、一時的に精神状態が回復した場合には、一定の条件の下に、遺言書を作成することができることを認めています。

 

具体的には、医者2名が立ち会い、しかも、成年被後見人が遺言書を作成するに際して、物事を判断することが出来る能力を有していたこと(能力を欠いていなかったこと)を遺言書に記載かつ押印することを要件として、遺言書の有効な作成を認めています。

 

成年被後見人の精神状態を明らかにするために、医者2名の立ち会いなどを要件としていますが、それだけでなく、紛争防止のため、近親者の立ち会いを求めるなど、不審感を抱かれないような対応を取ることも検討すべきです。また、公正証書遺言という形式を取るなど、明確な方法によって遺言書を作成することをお勧めします。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.14更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

保証、という制度があります。借金などをするとき、もし返済が滞ったとき、保証をした人(保証人)が代わって借金を返済する責任を負う、という制度です。

 

身近なところでは、家を借りるときの保証人や住宅ローンを組むときの保証人が挙げられます。家賃やローンの返済が滞った場合は、保証人が代わりに家賃やローンを返済することとなります。

この保証について、時折、自分が知らない間に保証人にされていたという問題が生じることがあります(私も何度か、そのような相談を受けたことがあります。)。

 

例えば、何らかの理由で、実印や印鑑証明書を友人に預けていたところ、それを悪用されて、友人の借金の保証人とされてしまった場合や、同居している妻が夫の実印を使って、自分の借金の保証人としてしまうことがあるのです。

 

保証人にされてしまった人は、場合によっては、突然、予期しない多額の借金の返済を請求されることもあり、大きな負担を強いられることになってしまいかねません。

 

このように、勝手になされてしまった保証契約は、有効といえるのか、問題となります。

 

結論としては、承諾なく勝手に保証契約を締結されてしまった場合は、保証人としての責任を負わないことが大原則です。

 

とはいえ、保証人としての責任を負わないというためには、承諾なく勝手に保証契約を締結されてしまったという事情を主張立証する必要があるでしょう。

 

特に、債権者としては、保証契約が無効であるとされてしまうと大きな損失を被ることとなりますので、保証契約の有効・無効を判断してもらうため、訴訟を行うことも十分に考えられます。

 

保証人とされてしまった人は、例えば保証契約書の筆跡や、実印の保管状況、電話などによる確認の有無・確認状況などを明らかにし、保証人となることに承諾を与えていなかったことを証明しなければならないでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.12更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

今日は、千葉県議会選挙の日です。

私は、いつものことですが、6時45分頃に南流山センターの投票所に1番で並び、投票箱の中身を見てきました。一番に投票するのは、やはり気持ちがいいものです。

 

さて、今回の選挙では、立候補が選挙管理委員会によって却下される、という事例が相次ぎました。千葉県議選でも、立候補が却下された候補者がいました。

 

選挙に立候補する権利(被選挙権)については、公職選挙法という法律の第10条に定めがあります。それによれば、県議選に立候補することができる人は、①選挙権を有する②年齢25年以上の者と規定されています。

 

今回、立候補が却下されたのは、①の選挙権を有しないことが、後日判明したからなのです。

 

では、選挙権を有しない人とは、どのような人をいうのでしょうか。

 

これについても、公職選挙法第11条に定めがあります。長い条文ですので、詳細は省きますが、要するに刑事処罰を受けた人については、一定の期間、選挙権を有しないものとされているのです(例えば、何か罪を犯して、刑務所に入れられている人は、投票をすることができないということになります。)。

 

興味深いのは、公職にある間に収賄などの「賄賂」の罪に問われた人については、被選挙権を失う期間が長く設定されていることです。公職者として相応しくない、ということでしょうか。

 

その場合、被選挙権を失う期間は、公職選挙法上、5年又は10年とされているようです。買収などの重大な選挙違反に関するものの場合、10年間の資格喪失とされることになっているようです(これも、長い条文ですので、興味をお持ちの方は、公職選挙法252条などをご参照ください。)。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先ほど、悪徳商法についてお話ししました。

そのような悪徳商法の中で、最近、増加している悪徳商法についてお話ししたいと思います。

 

その悪徳商法は、「送り付け商法」と呼ばれるものです。

具体的には、注文も何もしていないにもかかわらず、勝手に商品を送り付けて、商品の代金を請求するという商法です。一方的に商品を送り付けるので、「送り付け商法」といいます。

 

特に悪質なものとなると、送付先が忙しいとき(例えば結婚や葬儀などの関係で、住民が多忙であるとき)を見計らって、商品を送り付けてくることもあるようです。忙しければ、何も考えず、お金を支払ってしまいがちになることを狙ったものでしょう。

 

また、商品が届いたころを見計らって、脅しまがいの電話をかけてくることもあります。

 

金を支払わなければ裁判をする、詐欺だから警察に通報する、自宅に取り立てに行く、などと凄まれて、あわてて支払ってしまうことも多いようです。

 

このようなときは、毅然として、「注文していないから支払わない。」と突っぱねてもらう必要があります。そうしたからといって、裁判になったり警察に通報されたりすることはまずありません(警察に通報したら困るのは相手の方ですから。)。

 

心配であれば、弁護士に相談するなり、消費生活センターに商談するなり、警察に連絡するなり、一番やりやすい方法で相談してみれば大丈夫でしょう。

 

なお、送付されてきた品物は、こちらから送り返す義務もありませんし(間違って届いてしまったものは、相手の依頼があれば、着払いで送り返してあげればいいとは思いますが)、送付日から14日経てば、自由に処分することもできます。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

一時期、「悪徳商法」という、詐欺まがいの被害が多発したことがあります。

現在でも、このような悪徳商法は生き残っており、例えば「競馬詐欺」や「ロト6詐欺」などで問題になることも少なくありません。

(競馬やロト6など、当選番号があらかじめ分かるはずもないのですが、それでも騙してしまうのが詐欺師の凄いところです。)。

 

私も、最近では、「二酸化炭素排出権取引」や「金やプラチナの取引」について、被害が疑われる事例の相談を受けたことがあります。

 

悪徳商法には、たくさんの種類があります。

 

主な悪徳商法としては、「連鎖販売取引」(いわゆる「ねずみ講」取引)や「催眠商法」(たくさんの顧客(=被害者)を集め、話術や演出などで雰囲気を盛り上げ、高価な商品を購入させる)、「サムライ商法」(適当な資格をでっち上げ、高価な参考書等を買わせる)、「霊感商法」(祟りが起こる、等と脅し、高価な仏具、壺などを買わせる)…など、数えきれないほどの悪徳商法があります。

 

このような手口を見聞きするたびに、よくこのような手口を思いつくな、と、驚いてしまいます。

 

このような被害に遭わないようにするためには、何といっても、うまい話などないことに留意し、毅然と断ることが何より大事だと思います。

また、その場で即決してお金をすぐに払わないことも必要でしょう。

 

一日でも間をおいてよく考えたり相談したりすれば、被害は相当減るのではないかと思います。

 

仮に契約してお金を払ってしまったときは、クーリングオフ制度や契約の解除など、適切な対応を取る必要があります。

なるべく早い対応を取るべきと思いますので、弁護士や消費生活センター、場合によっては警察に相談することも必要な場合があると思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、弁護士会松戸支部の支部総会に出席するため、松戸の弁護士会に行って来ました。

 

松戸支部の総会は、毎回たくさんの方が出席しており、松戸支部に積極的に関わろうとされている弁護士が非常に多いように思われます。

今回も、100名に近い弁護士が出席しており、凄いことだと驚嘆していました。

 

総会自体は、1時間半弱で終了し、その後、懇親会が行われました。

 

もちろん、懇親会にも出席し、顔見知りの弁護士(まだ数は少ないですが…。)などと懇親を深めることができました。

 

今後も、積極的に松戸支部の行事には出席して行きたいと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.10更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

会社を辞めるとき、多くの場合、退職届を会社に提出することとなります。

しかし、退職届を提出した後、何らかの理由で、退職するのをやめたいと考えることもあるかと思います。

このような場合、退職届の提出を、撤回することはできるのでしょうか。

 

まず、退職届の提出が、提出者の真意に基づかない場合、たとえば、会社の上司から脅されて退職届を書いたとか、会社に騙されて書いてしまったなどの場合は、退職届の提出は無効となると考えられます。

この場合、退職届は無効であるから従業員の地位にあると主張し、認められなければ、従業員の地位にあることを確認する裁判を行っていくこととなるでしょう。

 

では、提出者が本心から退職しようとして退職届を出したが、その後の事情の変化等で、退職を撤回したいと考えた場合は、どうなるのでしょうか。

 

退職届の提出は、法律的には、「労働契約の合意解約の申込み」と評価されることが多いと思います。「労働契約を円満に終わりにしたいので、退職に合意してもらえませんか?」と申し込んだ、ということですね。

 

とすれば、会社側が、その申し込みを承諾、すなわち、「分かりました、退職を認めましょう。」との意思表示がなされていなければ、合意解約が成立したといえませんので、退職届を撤回することが可能であると考えられます。

 

もっとも、退職届を提出した後、会社が退職に向けて手続きを進行していれば、合意解約について黙示の合意があったと評価されることも多いのではないかと思いますので、具体的な事情を検討する必要があるでしょう。

 

また、退職届の撤回を認めると、会社に大きな損害を与えるような場合には、退職届の撤回はできないとする判例もあります(このような場合の撤回は、信義に反する、という理由のようです。)。

 

例えば、退職届を出して1か月も後に、やっぱり退職届を撤回する、と言い出しても、会社は従業員の退職を前提に、新たな事業体制を構築している(例えば、新たな従業員を雇用するなど)わけですから、退職届の撤回はなかなか認められるものではないと思います。

 

退職届の撤回ができると思われる場合には、上記の脅迫・欺罔の場合と同様、会社に従業員の地位にあることを主張し、認められなけば、地位確認の裁判を行っていくことになります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.09更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

11歳の小学生が、校庭のゴール目掛けて蹴ったサッカーボールが校庭から転がり出たため、バイクに乗っていた男性が避けようとして転倒し、のちに死亡した問題で、小学生の親への賠償請求が認められるかが争われた事件の最高裁判決が、本日、下されたようです。

 

幼い子供が他人に損害を与えてしまったときは、原則として、親が代わりに賠償する責任があります。

もっとも、親が子供の監督義務を怠っていなかった場合には、例外的に親は賠償の責任を負わないこととなります。

 

高等裁判所では、本件が、親が監督責任を怠っていなかった場合であるとは認めず、親に対して、多額の損害賠償を命じていました。本日の最高裁判決は、その高等裁判所の判決を覆したものです。

 

判決文を見ると、子供はサッカーボールをゴール目掛けて蹴っていただけであり、校庭の日常的な使用方法に則った行為であること、ゴールにネットが張られ、ネットフェンスなども設置されており、ボールが校外に転がり出ることが通常のことであったとはいえないこと、をそれぞれ認定しています。

 

その上で、子供の行動は、通常は人身に危険が及ぶ行為といえないとして、親の監督義務が果たされていないものとは評価できないとしています。

 

かかる最高裁の判断は、おおむね妥当というべきと考えます。

 

なお、校外にサッカーボールが転がり出てしまったことについて、学校の設備に不備があった可能性も否定できないのではないでしょうか。

とすれば、もう少し、別の争い方もあり得たのではないかとも思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.08更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

今日は、弁護士会の法律相談のため、野田市の商工会議所(欅のホール)まで行ってきました。流山市からは、車で30~40分くらいの、微妙に離れた場所にあります。

欅のホールの1階と2階は、図書館になっています。

 

私の実家は野田市ですので、幼少時から、この図書館にはよく来ていました。

 

小学生の頃は、欅のホールでなく、興風会館という場所に図書館がありました。欅のホールは、私が高校生になった頃に新たに建設され、図書館が移設された記憶があります。

 

大学に入ってからも、図書館をたびたび使用し、司法試験の勉強をしていました。その場所で、弁護士として法律相談をすることができたのは、非常に感慨深いものでした。

 

欅のホールから実家まで、車で5分程度ですので、法律相談終了後、実家に顔を出すこともできました。

肥料を100キロほど買うのを手伝わされてしまいましたが。

投稿者: 流山法律事務所

2015.04.07更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

何気なく私の自宅の賃貸借契約書を見ていたら、次のような規定が設けられていました。

 

第8条(禁止又は制限される行為)

賃借人は賃貸人の書面による承諾なく、同居人の数を増員し、あるいは同居人を変更してはならない。

第13条(契約の解除・消滅)

賃貸人は、賃借人が次に掲げる各号のいずれかに該当すると判断した場合、何らの催告を要することなく、即時本契約を解除することができる。

 

結婚などによって、同居人が増える場合は、賃貸人の許可をあらかじめ得ておかなければならず、それを怠れば、賃貸借契約を解除されることもあり得る、という規定です。

 

しかし、結婚や出産によって同居人が増えるときに、事前に賃貸人に許可を取っている人などまずいないはずです。このような場合に、賃貸借契約を解除できてしまうとすると、それはおかしい気もします。

 

このような規定は、果たして有効なのでしょうか。

 

結論としては、上記のような約束が賃貸借契約に記載されていても、よほどの合理的な理由がない限りは、承諾なく同居人が増えても、賃貸借契約を解除することはできない、と考えるべきでしょう。

 

法律的には、「借地借家法」という法律に規定があります。すなわち、借地借家法は、賃貸借契約の解約申し入れ等について、「正当な事由」が必要であると規定していますが、結婚や出産などで同居人が増えた場合には、この「正当な事由」がないものと考えるべきだからです。

(この場合、賃貸借契約に書かれている居住人数制限の規定は、借地借家法に反し、賃借人に不利な規定ですので、無効とされるものと解釈されます。)

 

もっとも、具体的な状況いかんでは、「正当な事由」があると評価される(賃貸借契約が解除されてしまう)場合もあるでしょう。

 

例えば、無限定に何十人も一室に同居してしまうような状況だと、ほかの居住者の迷惑にもなりますし、建物が傷みやすくなったり、共用部分の管理が不十分になってしまったりするなど、問題も多く発生すると思われますので、賃貸借契約を解除してもやむを得ないと判断されてしまう場合もあろうかと思います。

 

最終的には、同居人の人間関係(親族関係)や同居の理由、同居によって生じた住環境の悪化等、具体的な事実を踏まえて、「正当な事由」を判断していくことになるかと思います。

投稿者: 流山法律事務所

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