流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
11歳の小学生が、校庭のゴール目掛けて蹴ったサッカーボールが校庭から転がり出たため、バイクに乗っていた男性が避けようとして転倒し、のちに死亡した問題で、小学生の親への賠償請求が認められるかが争われた事件の最高裁判決が、本日、下されたようです。
幼い子供が他人に損害を与えてしまったときは、原則として、親が代わりに賠償する責任があります。
もっとも、親が子供の監督義務を怠っていなかった場合には、例外的に親は賠償の責任を負わないこととなります。
高等裁判所では、本件が、親が監督責任を怠っていなかった場合であるとは認めず、親に対して、多額の損害賠償を命じていました。本日の最高裁判決は、その高等裁判所の判決を覆したものです。
判決文を見ると、子供はサッカーボールをゴール目掛けて蹴っていただけであり、校庭の日常的な使用方法に則った行為であること、ゴールにネットが張られ、ネットフェンスなども設置されており、ボールが校外に転がり出ることが通常のことであったとはいえないこと、をそれぞれ認定しています。
その上で、子供の行動は、通常は人身に危険が及ぶ行為といえないとして、親の監督義務が果たされていないものとは評価できないとしています。
かかる最高裁の判断は、おおむね妥当というべきと考えます。
なお、校外にサッカーボールが転がり出てしまったことについて、学校の設備に不備があった可能性も否定できないのではないでしょうか。
とすれば、もう少し、別の争い方もあり得たのではないかとも思います。