2015.05.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

民法には、離婚原因として、「配偶者に不貞な行為があったとき」を規定しています。結婚相手が不貞行為をした場合、離婚をすることができますよ、という規定です。

 

そこで問題となるのが、「不貞行為」とはどのような行為をいうのか、という点です。

 

この点、「不貞行為」とは、①自由意思に基づいて②肉体関係を持つこと、と解釈されています。

 

このうち、①自由意思に基づかない場合(典型的には、強姦された場合)には、不貞行為にならないことは、言うまでもないですよね。

 

問題は、②肉体関係を持つこと、です。性交渉を持っていなければ不貞行為とはなりません。抱き合ったりキスしていたり、ラインのやり取りをしていただけでは、不貞行為として認められるものではないのです。

 

もっとも、性交渉は密室で行われることが普通でしょうから、なかなか性交渉があったことを示す直接の証拠(写真や録画など)を得ることは容易ではありません。しかし、直接の証拠がない場合であっても、不貞行為があったことをうかがわせる事実を積み重ねることによって、不貞行為があったと認定してもらうことは可能でしょう。

 

不貞行為があったことをうかがわせる証拠には、例えば次のようなものが挙げられます。

 

1 浮気相手とラブホテルに入っていく写真

ラブホテルに入っていれば、性交渉を持っていたと考えるのが普通ですよね。以前、カラオケをするためにラブホテルに入っただけだ、との反論をされたことがありますが、そんな主張はまず通りません。

浮気相手の自室に、二人だけで長時間(30分以上くらい、でしょうか。)いた場合も、性交渉があったと認められ易くなるでしょう。

 

2 浮気相手と宿泊を伴う旅行をしていた写真や旅券

宿泊のある旅行をしていれば、それは不貞関係にあったと考えるのが普通でしょう。もちろん、宿泊先の部屋が1室しか借りられていなければ、不貞行為があったことをより強く示す証拠となります。

 

3 携帯やパソコンのデータ(メール、写真データ類等)

不貞行為があったことを示すメール(明らかに性交渉があったことを前提とするメール)や写真などが保存されていることがしばしばありますので、そのような証拠があれば、データを移して保管しておくが、写真撮影をしておくべきです。

 

上記のほかにも、怪しいもの(領収書や手紙類など)があれば、その都度、コピーや写真撮影をしておくべきです。

 

なお、仮に不貞行為が認められなかったとしても、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚原因として認められることもありますので、注意が必要です。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.10更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚調停を申し立てた後、相手方から連絡が来ることがあります。最近は、電話やメールだけでなく、ツイッター、ラインなどという連絡用のツールから連絡が来ることも多いようです。

 

このようなとき、その連絡に応じて良いかどうか、迷われることもあるのではないかと思います。

 

もし、すでにあなたが弁護士を頼んでいるときは、弁護士に連絡があったことを伝えればよく、ご自身では連絡を取らないようにするべきです。また、こちらに弁護士がついていない場合であっても、相手に弁護士がついている場合は、直接連絡があったことを相手方弁護士に連絡し、直接の連絡をしないよう指導するよう求めるのが良いのではないかと思います。

 

弁護士がついている以上、基本的に交渉の窓口は弁護士となりますので、弁護士を飛び越えて当人同士で話をすることは、なるべくしない方がよいのです。

 

それでは、双方に弁護士がついていない場合は、どのように対応したらよいでしょうか。

 

 

これは、ケースバイケースで判断するべきであると思います。例えば、あなた宛ての手紙が届いたがどうすれば良いかや税金に関する連絡、私物の処分に関する連絡など、事務的な連絡であり、連絡しなければ対外的な問題を生じかねないようなものであれば、連絡に返信しても良いと思います。

 

一方で、あなたを感情的に批判するようなメールや挑発するようなメールなど、嫌がらせと感じられるものに対しては、連絡をする必要はまったくありません。むしろ、連絡したことによって、感情的な対立が激しくなることも考えられますので、止めたほうが良いでしょう。

 

(ちなみに、そのようなメールは削除せずにきちんと保存しておき、必要な時に裁判所へ提出する証拠とできるようにしておくべきです。)

 

なお、離婚の調停を申し立てた理由が、相手からの暴力暴言(いわゆるDV)などの場合は、事務連絡であっても連絡がくるだけで恐怖を感じることもあろうかと思います。そのようなときは、無理をする必要はありません。連絡を取らないことで、調停や裁判で不利になることはまずありませんので、ご安心いただければと思います。

 

弁護士が間に入って話をすることで、問題が解決することもあります。相手方との対応でお困りの時は、お近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.08更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

ご依頼者(成人)の両親や配偶者、友人などから、裁判や調停に同席することはできないか、との質問を受けることがあります。

結論から言いますと、「難しいが、同席できるときもある」ということになろうかと思います。

 

1 地方裁判所の口頭弁論期日について

当事者席(弁護士の隣の席)に同席することは、まずできないでしょう。もっとも、口頭弁論期日は、公開の法廷で開かれる期日でもあり、傍聴をすることができますので、あえて同席を求める実益もないかと思います。

 

2 地方裁判所の弁論準備期日について

非公開で、論点と証拠を整理する裁判期日です(非公開なので、傍聴はできないことがほとんどです。)。

この場合、裁判所に申し出て、裁判所が許可してくれれば、同席することは可能ですが、同席する必要性をきちんと裁判所に説明することが必要でしょう。単に、親がいた方が安心だ、などの理由では、裁判所の許可はまず下りないでしょう。事件に関係している等、論点を整理するために必要な人物であることを明らかにすべきです。

 

また、裁判所が同席許可の決定をするに当たって、相手方の意見を聞くこともありますので、相手方が拒否したために、同席することができないこともあり得るでしょう。

 

3 簡易裁判所について

簡易裁判所も、基本的に地方裁判所と同様です(もっとも、簡易裁判所で弁論準備が行われることは、余りありません。簡易な裁判なので、整理をする必要もない、ということです。)。

もっとも、簡易裁判所の場合は、裁判所の許可を受けて、当事者の代理人になることができますので、その場合には、弁護士のように、同席をすることができると思います。

 

簡易裁判所の裁判を眺めていると、この許可を受けて代理人となっている人を稀に見かけますので、まったくあり得ないことではないようです。

 

4 調停について

調停においても、基本的に、第三者の同席は難しいと思います。もっとも、これも、裁判所が許可すれば、同席することもできるでしょう。

 

離婚調停などの場合は、お子さんやご両親と同席したいと希望される(女性の)方も多いでしょうが、やはり同席させる必要性があることを、きちんと裁判所に説明する必要があることは、上記と同様です。

 

なお、調停室への立ち入りはできなくても、待合室(調停委員が話を聞く準備ができるまで待機している部屋)まで付いていくことは可能ですので、不安のある方は、そこまで付き添ってもらうことも考えられます。

 

5 その他について

労働審判の期日に、ご依頼者の妻の同席が認められたことがあります。

夫の勤務状況について、相当程度詳しく事情を知っていたこと、相手方から同席を拒否されなかったこと等から、同席が認められたものと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.06更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

相手からお金を支払ってもらうとき(例えば、貸したお金を返してもらう場合や離婚の際の慰謝料を支払ってもらう場合)、分割での支払いを求められることがあります。

 

このような分割弁済の提案には、どうしてもリスクが伴います。約束通り、最後まできちんと支払われない可能性があるからです。もっとも、相手の収入状況などから、分割弁済を認めなければならない場合もあるでしょう。

 

このような時に、少しでもリスクを少なくするため、どのような方法があるのか、考えてみました。

 

1 分割回数をできるだけ少なくすること

弁済回数が多くなればなるほど、支払われなくなるリスクは高まるものと考えられます。一回の返済金額を少しでも上げて、返済回数を少なくすることが重要でしょう。

 

2 支払われなくなったときの規定を定めること

例えば、約束の期限に支払われないことが続いたときには、残額を一括で請求することができるなどの約束(期限の利益喪失の約束)をしておくことも必要でしょう。

 

3 (連帯)保証人を定めること

可能であれば、保証人をつけることを要求してみても良いかもしれません。もちろん、相手に保証人をつける義務はありませんので、拒否されることもあるかも知れませんが、話をしてみる価値はあるのではないでしょうか。

 

4 相手の収入関係を明らかにさせること

就職先や連絡先などを明らかにさせ、転職や転居があった場合には、連絡をするように義務付ける約束をしておくべきです(約束に反して、連絡がこないことも多いのですが、やっておく価値はあるでしょう。)。

 

なお、相手名義の金融機関口座や不動産について、出来る限り詳しく情報開示させるべきでしょう。

 

5 強制執行をできるようにしておくこと

相手との合意がまとまったら、公正証書などの書面をまとめ、支払われなくなった時にすぐ強制執行できるようにしておく必要があります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.04更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

民事訴訟を提起するに当たって、弁護士を頼むべきか否か、悩まれる方も多いのではないかと思います。もちろん、訴訟は弁護士を頼まなくても自分自身でできますので、無理に弁護士を頼む必要はありません。

 

弁護士に依頼することによって得られるメリットとデメリットとを比較していただいて、依頼されるか否かを判断していただくのが良いのではないかと思います。

 

弁護士を依頼することで得られるメリットは、例えば、①事件の相手方と直接接触しなくて済むこと、②訴訟手続などで悩まないで済むこと、③事件解決の方法を考え、見通しを立てることができること、④臆さずに、裁判官に言いたいことを伝えられること、などが挙げられるでしょう。

 

一方、デメリットは、何といっても弁護士費用がかかるということが第一に挙げられるのではないかと思います。

 

結局は、弁護士費用を支払ってでも、上記①~④などのメリットを受けたいと思われるか否か、というところを、弁護士を依頼するか否かの判断基準とされるべきではないかと思います。

 

一般論ですが、非常に簡易な訴訟、例えば、貸金(借用書あり)を返還するように求める訴訟や、取引分断などの論点がまったくない過払訴訟などは、弁護士を頼まず、ご自身でおやりになることも十分可能ではないかと思います(少しでも「おかしいな」と思い始めたら、すぐ弁護士にご相談される必要はあるかとは思いますが。)。

 

逆に、複雑な訴訟や当事者が何人もいるような訴訟、立証が難しい(証拠が余りない)訴訟、相手方と訴訟で顔を会わせるのが苦痛である場合、相手が偽造書類を提出するなど、不適切な訴訟を行っている場合などは、弁護士を頼まれた方がよろしいのではないかと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.03更新

流山法律事務所の弁護士(弁護士会松戸支部所属)の川越伸裕です。

 

お子さんが、親権者の知らないところで勝手に借金をしてしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

 

まず、お子さんが未成年の場合、お金を借りるという法律行為は取り消すことができます。

ですから、お金を借りるという契約を取り消すことで、原則として、債務の返済を免れることができます。

 

もっとも、借りたお金で残っている額、例えば100万円借りて50万円使ってしまった場合は、残額の50万円については、返却する必要があります。

 

なお、お金を借りる際、お子さんが嘘をついて、自分が成年者であると信じさせた場合は、借金を取り消すことができなくなります。また、親権者が、その借金を認めた場合(追認といいます)にも、取り消しを行うことができなくなりますので、注意が必要です。

 

次に、お子さんが成人している場合、その借金をした契約を取り消すことはできません。お子さんが、どうにかしてご自身で返済していくしかないものと思います。

 

お子さんの借金を肩代わりしようとする方もいらっしゃいますが、それがお子さんにとって良いことなのか否かを、十分に検討されたうえで、ご判断いただきたいと思います(親が解決してしまうと、懲りずに、借金を繰り返してしまう、という人もいるのが現実です。)。

 

もちろん、お子さんの借金ですので、(保証などをしていれば別ですが)親権者などに返済の義務はありません。ご自宅に、お子さんの借金を返済してくれ、などの要求の電話があったとしても、断固拒否して構いません。

 

しつこい取り立てが続くようでしたら、行政庁に相談し、貸金業者の処分を求めることもできるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.02更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

時々、ご相談者から、「弁護士を訴えられないか」などという相談を受けることがあります。

 

人と人との関係ですから、弁護士との間でトラブルが起きてしまうことは、どうしても起こり得ることです。話し合いで解決できればいいのですが、うまくいかないとき、どのように対処すればよいのか、いくつか考えてみました。

 

1 事件について説明を求める方法

依頼者と弁護士とは、(準)委任契約という契約関係にあります。そして、弁護士は、その委任契約の一環として、事件の現状や処理方針について説明する義務を負っているというべきです。

 

事件の現状が良く分からない場合は、弁護士に説明を求めてみてください。事件の状況が分かることで、トラブルが解決することもあるでしょう。

 

2 弁護士会に相談する方法

弁護士会に、事情を説明して相談することもできます。この場合は、トラブルになっている弁護士の所属している弁護士会(事務所所在地の弁護士会)に相談してください。

 

弁護士会から、トラブルになっている弁護士へ話し合いを促してくれるなど、解決に向けて前進することができるかも知れません。

 

3 紛議調停を申し立てる方法

弁護士会に紛議調停を申し立て、弁護士会に間に入ってもらって、解決の道を探る方法もあります。トラブルになっている弁護士の所属している弁護士会に、紛議調停の申し立てをすることとなります。

 

申し立てがあると、第三者の立場にある弁護士が間に立って、トラブルになっている弁護士と、問題の解決や調整方法を話し合い、解決することができます。

もっとも、話し合いですから強制力はなく、問題が解決しないこともあり得るでしょう。

 

4 懲戒請求をする方法

トラブルになっている弁護士に、非違行為がある場合には、弁護士会に懲戒請求をすることができます。

例えば、後見人になっている弁護士がお金を横領してしまったり、取り戻した過払金を事務所運営費用に流用してしまったりした場合に、懲戒請求をすることが考えられます。

 

懲戒請求があると、弁護士会で内容を検討し、懲戒請求に理由があると判断されれば、「戒告」、「2年以内の業務停止」、「退会命令」、「除名」のいずれかの処分が下されることとなります。

退会命令や除名は、実質上、今後、弁護士活動を行うことができなくなりますので、非常に重い処分と言えます。

 

なお、懲戒請求ができるのは、非違行為発生後3年までで、3年を経過すると、請求をすることができなくなりますので、ご注意ください。

 

5 訴訟・刑事告訴をする方法

上記の手続きを取れば、トラブルを起こした弁護士との話し合いがつくことがほとんどであると思います。しかし、懲戒処分をしてもらったとしても、金銭的な損失が必ずしも回復されるとは限りません(お金を横領した弁護士に「除名」の懲戒が下っても、必ずしもお金が戻ってくる訳ではありません。)。

 

この場合は、裁判を起こしたり、刑事告訴をしたりして、被害の回復を図る必要があります。

 

6 ご注意事項

このように、弁護士とのトラブルを解決する方法をご紹介しました。弁護士との間の紛争解決のために、これらの手段を取ることは、望ましいことだと思います。

 

しかし、例えば、①紛争を起こして、弁護士費用の支払いを免れようと画策したり、②相手方の代理人となった弁護士に嫌がらせをしようとしたり、などの目的で、懲戒請求などが行われることも少なくないのが実情です。

 

上記手続きを濫用することのないよう、お気を付けいただきたいと思います。

投稿者: 流山法律事務所

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