2015.05.02更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

時々、ご相談者から、「弁護士を訴えられないか」などという相談を受けることがあります。

 

人と人との関係ですから、弁護士との間でトラブルが起きてしまうことは、どうしても起こり得ることです。話し合いで解決できればいいのですが、うまくいかないとき、どのように対処すればよいのか、いくつか考えてみました。

 

1 事件について説明を求める方法

依頼者と弁護士とは、(準)委任契約という契約関係にあります。そして、弁護士は、その委任契約の一環として、事件の現状や処理方針について説明する義務を負っているというべきです。

 

事件の現状が良く分からない場合は、弁護士に説明を求めてみてください。事件の状況が分かることで、トラブルが解決することもあるでしょう。

 

2 弁護士会に相談する方法

弁護士会に、事情を説明して相談することもできます。この場合は、トラブルになっている弁護士の所属している弁護士会(事務所所在地の弁護士会)に相談してください。

 

弁護士会から、トラブルになっている弁護士へ話し合いを促してくれるなど、解決に向けて前進することができるかも知れません。

 

3 紛議調停を申し立てる方法

弁護士会に紛議調停を申し立て、弁護士会に間に入ってもらって、解決の道を探る方法もあります。トラブルになっている弁護士の所属している弁護士会に、紛議調停の申し立てをすることとなります。

 

申し立てがあると、第三者の立場にある弁護士が間に立って、トラブルになっている弁護士と、問題の解決や調整方法を話し合い、解決することができます。

もっとも、話し合いですから強制力はなく、問題が解決しないこともあり得るでしょう。

 

4 懲戒請求をする方法

トラブルになっている弁護士に、非違行為がある場合には、弁護士会に懲戒請求をすることができます。

例えば、後見人になっている弁護士がお金を横領してしまったり、取り戻した過払金を事務所運営費用に流用してしまったりした場合に、懲戒請求をすることが考えられます。

 

懲戒請求があると、弁護士会で内容を検討し、懲戒請求に理由があると判断されれば、「戒告」、「2年以内の業務停止」、「退会命令」、「除名」のいずれかの処分が下されることとなります。

退会命令や除名は、実質上、今後、弁護士活動を行うことができなくなりますので、非常に重い処分と言えます。

 

なお、懲戒請求ができるのは、非違行為発生後3年までで、3年を経過すると、請求をすることができなくなりますので、ご注意ください。

 

5 訴訟・刑事告訴をする方法

上記の手続きを取れば、トラブルを起こした弁護士との話し合いがつくことがほとんどであると思います。しかし、懲戒処分をしてもらったとしても、金銭的な損失が必ずしも回復されるとは限りません(お金を横領した弁護士に「除名」の懲戒が下っても、必ずしもお金が戻ってくる訳ではありません。)。

 

この場合は、裁判を起こしたり、刑事告訴をしたりして、被害の回復を図る必要があります。

 

6 ご注意事項

このように、弁護士とのトラブルを解決する方法をご紹介しました。弁護士との間の紛争解決のために、これらの手段を取ることは、望ましいことだと思います。

 

しかし、例えば、①紛争を起こして、弁護士費用の支払いを免れようと画策したり、②相手方の代理人となった弁護士に嫌がらせをしようとしたり、などの目的で、懲戒請求などが行われることも少なくないのが実情です。

 

上記手続きを濫用することのないよう、お気を付けいただきたいと思います。

投稿者: 流山法律事務所

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