2015.09.19更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、元アイドルの17歳の女性に対して、マネジメント会社が、男性との交際を禁止した規約に違反して男性ファンとホテルに行ったことを理由として、損害賠償を求めた事件の判決がありました。

判決は、女性に対して、65万円の支払いを命ずるものであったようです。

 

17歳の女性(しかも、当時は15歳?だったようですが)が、誘われたからといってホテルに行くということについての倫理的な問題はあるとしても、賠償を認めた判決には、いささか違和感を覚えます。

判決は、男性との交際を禁止した規約を有効と解釈して判断を導き出したようですが、男女の交際を禁止する規約が、果たして有効であるのか、疑問を感ずるからです。

 

男女間の交際は、人として当然に行われるものであることは、言うまでもないでしょう。これを禁止することは、女性側の精神的な事由を侵害するもので、基本的人権を侵しかねないものというほかないと思われます。とすれば、このような規約は、公序良俗に違反して無効というべきではないでしょうか。

 

もちろん、アイドルという職の特殊性はあるでしょうが、一切の交際を禁止するという規約を、判決のいうとおり有効であると判断することは、困難ではないかと思います。

 

本件は、デビュー後、わずか3か月で男性との交際発覚→解散となったとのことであり、投資資金の回収ができなかったことについて、女性側にも大きな責任がある、との価値判断で判決が下されたのかもしれませんが、余り妥当な判決とは思えませんね。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.18更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

婚姻をすると、配偶者の親族と親戚(姻戚)関係になります。例えば、夫の父母はもちろん、夫の祖父母や兄弟姉妹などと、親戚関係となるわけです。

 

このような親戚との付き合いは、非常に大変であることが一般的で、配偶者の親族との折り合いが悪く、夫婦関係が破たんしてしまうこともよくあります(いわゆる「嫁姑問題」など。)。

配偶者と結婚しているうちは、まだ我慢できても、婚姻関係が終了した後にも、親戚関係が続いてしまうとすれば、たまったものではありません。

 

それでは、配偶者との婚姻関係が終了した後、配偶者の親族との親戚関係は、どのようになるのでしょうか。

 

まず、配偶者と離婚をした場合は、婚姻関係の終了と同時に、自動的に配偶者の親族との親族関係も終了します。配偶者だけでなく、配偶者の親族の関係も切れるのです。

この場合は、あまり問題は生じないと思います。

 

次に、配偶者と死別した場合があります。このときは、配偶者の死亡によって、婚姻関係は終了しますが、配偶者の親族との親戚関係は継続することとなります。

この場合は、配偶者の親族(例えば舅、姑)との親戚関係は終了せず、場合によっては、扶養などで面倒を見なければならないこともあり得るでしょう。

 

このようなとき、親族関係を終了させるには、役所に「姻族関係終了届」という書類を出せば、親族関係を終了させることができます。配偶者の親族が、「そんなもの出すな」と反対してきても、親族の同意は必要ではありませんので、本人の意思のみで提出することが可能です。

 

なお、上記書類を提出して、親戚関係を終了させたとしても、(亡き)配偶者との関係に影響を与えませんので、相続した財産を、相手の家に戻す必要などは、まったくありません。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.17更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

相続が開始されると、亡くなった方の財産は、基本的にすべて相続人に承継されることとなります。

 

もっとも、すべての財産が、相続人に承継される訳ではありません。例外として、祭祀財産と呼ばれる財産については、相続財産とはならない(=すなわち、相続人が取得するとは限らない)ものと解釈されているのです。

 

ここで、祭祀財産とは、系譜(=家系図)、墳墓(=お墓)、祭具(=仏壇、位牌等)のことをいいます。

 

このような、葬祭に使用する財産を相続人間で分割してしまうと、祖先の祭祀をするときに著しい不都合を生じてしまいますので、通常の相続財産とは異なった取り扱いをするものとしたのです。

例えば、お墓の土地は長男、墓石部分は二男、犬走り部分は三男、塔婆立ては四男…などと分割して相続してしまうと、兄弟間で喧嘩が発生したときに、お墓の使用をすることができなくなってしまう可能性があります。このような不合理を避ける目的があるということです。

 

そして、法律上、上記の祭祀財産は、①「慣習に従って、祖先の祭祀を主催すべき者がこれを継承する」と規定されています(民法897条1項)。もっとも、②「被相続人(=亡くなった方)が祭祀承継者の指名をしている場合」は、その人に祭祀財産が承継されることとなります。多くの場合は、亡くなった方が、お墓を守る人を指定しているのではないかと思います。

 

上記の慣習や指名がなされていない(はっきりしない)場合には、相続人間で協議し、祭祀承継者を決定することとなります。協議ができなかったり、まとまらなかったりするときは、家庭裁判所に申立てを行い、決定してもらうこととなります(民法897条2項)。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.16更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

法律上、一定の関係にある親族との結婚ができないものとされていることは、皆さんもご存じと思います。どんなに好き合っていても、実の兄妹間で結婚をすることはできませんよね。

その一方で、いとこ同士が結婚できることも、皆さんご存知ではないかと思います。

 

では、どの範囲の親族が結婚できて、どの範囲の親族が結婚できないのか、その境界は、いったいどこにあるのでしょうか。

この点、民法は、734条~736条において、近親者との婚姻について定めています。

 

まず、民法734条は、「直系血族又は三親等内の傍系血族」との間の婚姻を禁止しています。「直系血族」とは、自分と直系の関係にある人、具体的には、父母、祖父母、総祖父母、高祖父母…や、子、孫、曾孫、玄孫…といった人のことを指します。また、「傍系血族」とは、同じ祖先から分かれ出た人、具体的には、兄弟姉妹(同じ父母から分かれ出ている)、叔父、叔母、甥、姪、従兄弟姉妹、再従兄弟姉妹…(同じ祖父母から分かれ出ている)といった人のことを指します。

 

直系血族とは、全員、結婚することができません。あなたが、もし200歳まで生きて、雲孫(玄孫の子どもの子どもの子どもの子ども)と恋愛関係になったとしても、残念ながら結婚することはできません。

その一方、傍系血族は、三親等内の結婚が禁止されているだけで、四親等以降の傍系血族とは、結婚可能です。兄弟姉妹(2親等)、叔父叔母・甥姪(3親等)とは結婚できませんが、それ以外の傍系血族とは結婚可能です(従兄弟姉妹は4親等なので、結婚できるのですね。)。

 

ところで、父母が再婚して、連れ子が家族に加わる(義理の兄弟姉妹)ことがあります。これらの義理の兄弟姉妹と結婚することは可能なのでしょうか。

 

まず、父母が再婚しただけでは、当然に親族関係が生じる訳ではありません。養子縁組をしなければ、親族関係は生じないのです。養子縁組がなされていないときは、親族(傍系血族)になっていないのですから、自由に結婚することができるでしょう。

 

養子縁組がなされている場合は、義理とはいえ兄弟姉妹関係(傍系姻族)になったのですから、結婚はできないようにも思えますが、実は、民法734条には、「養子と養方の傍系血族」との結婚を認める例外規定が設けられておりますので、この場合でも結婚することができることとなります。

 

次に、民法735条ですが、「直系姻族」との間の婚姻を禁止しています。「直系姻族」とは、自分の配偶者の直系血族及び自分の直系血族との配偶者のことをいいます。具体的には、配偶者の両親や祖父母、自分の子どもや孫の配偶者などが挙げられます。

 

例えば、妻と離婚した後、元妻の母親と再婚することはできません。個人的には、結婚できてもいいんじゃないか?と思ったりもしますが、やはりモメるでしょうし、倫理的に宜しくない、ということなのでしょう。

 

最後に、民法736条ですが、「養子もしくはその配偶者又は養子の直系卑属もしくはその配偶者」と「養親又はその直系尊属」との間の結婚が禁止されています。

 

自分の養子やその養子の結婚相手、養子の子や孫、曾孫…及びそれらとの結婚相手と、養親、その祖父母…などとの結婚はできません、という規定です。自分の養子に近い関係のある人とは、結婚できない場合がある、と考えておけばよいでしょう。

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.15更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

結婚後の夫婦には、様々な法律関係が生じます。結婚したことによって、法律上の権利義務を負うことがあるのです。このような法律関係のうち、主なものをいくつか挙げてみます。

 

①苗字(姓)が同一になること。

夫婦は、夫または妻の姓を名乗ることとなります(民法750条)。日本では、夫婦別姓の制度は採用されておりませんので、苗字を別にするには、法律上の結婚をせず、内縁関係を選択する必要があります。

 

②同居の義務が発生すること。

夫婦には、同居の義務があります(民法752条)。相手が同居をしないで、勝手に家を出てしまった場合には、同居の請求をすることができます。もっとも、同居を強制することはできないものと解釈されています。なお、正当の理由があれば、同居の義務の例外として、同居をしなくてもよい場合もあるでしょう(例えば、DV被害などを受けている場合)。

 

③協力・扶助の義務が発生すること。

夫婦には、協力・扶助の義務があります(民法752条)。具体的には、生活費等について協議し、一方が困ることのないようにすることや、一方が病気・怪我をした際に、放置しないようにすること、などが挙げられるでしょう。また、浮気をしないことも、協力・扶助の義務からして当たり前のことです。

 

④成年擬制が発生すること。

未成年者が結婚したときは。それによって成年に達したものとみなされます(民法753条)。

 

⑤夫婦間の契約の取消権が発生すること。

夫婦間の契約は、いつでも取り消すことができます(民法754条)。夫婦の間の約束には、法はいちいち立ち入らないので、二人でどうにかしろよ、という規定です。もっとも、婚姻関係が破たんした後の夫婦間の契約は、取り消すことができません(これは、以前にもブログでご説明しました。)。

 

⑥生まれた子供の嫡出推定

婚姻中に生まれた子供は、夫の子であると推定され、戸籍に入れられます(民法772条)。夫が、自分の子どもでないと主張するためには、嫡出否認の訴えという方法による必要があります。

 

⑦相続権の発生

婚姻している場合、配偶者は、常に相続権を有することとなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.13更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫が生活費を家庭に入れず、生活が成り立たない場合、そのような夫と離婚することはできるのでしょうか。

 

まず、夫がギャンブルなどで浪費しており、生活費を家に入れない場合には、妻を「悪意で遺棄」したとして、離婚することができるものと考えられます。夫婦は、一緒に協力して生活し、互いの生活にかかる費用(婚姻費用)を分担する義務を有していますが、自分勝手に浪費し、生活費を家に入れないということは、これらの夫婦の義務をまったく履践していないということにほかならないからです。

 

このような場合には、離婚が認められる可能性は高いものといえるでしょう。

 

一方、夫が失業しているとか、病気で働けない等の場合には、夫が生活費を稼げなくても、ある意味やむを得ないところがあると考えられます。仮にそのような事情があるのであれば、生活費を入れないことが「悪意の遺棄」と評価できないと思われますので、このことのみをもって離婚することは、少し難しいのではないかと考えられます。

 

とはいえ、失業を繰り返し、生活がまったく安定しないとか、勝手に仕事を辞めて、不安定な職を目指すなどの場合は、「悪意の遺棄」がなかったとしても、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚が認められる余地もあるものと考えられます。

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.10更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫と協議離婚した際、①子どもの親権を妻とすること、②夫が毎月養育費を支払うこと、など、必要事項を取り決めることは、よくあることです。

この約束通り、養育費が支払われていれば何の問題もありませんが、離婚からしばらく経つと、約束した養育費が支払われなくなってしまうことも、またよくあることです。

 

このようなときに、約束どおりの養育費を支払ってもらう方法はないでしょうか。

 

養育費の支払いが滞った場合、任意での支払いを期待できないことが多いでしょうから、夫の給料や財産を差し押さえて、未払いの養育費の支払いを受けることが考えられます。

しかし、当事者間で養育費を決めただけでは、差し押さえを行うことはできません。夫に養育費を支払う内容の念書を書いていてもらったとしても、すぐに強制執行を行うことはできないのです。

 

強制執行の方法を取るには、養育費の額が記載された、裁判所の調停調書や審判書などの、公的な書類が必要となります(ただし、執行認諾文言付きの公正証書があれば強制執行可能です。)。そのため、養育費の支払いを受けようと思った場合は、まず家庭裁判所に調停を申立て、調停調書や審判書といった書類の取得を目指す必要があります。

 

調停で夫が裁判所に来て、養育費額を合意した場合は、夫が支払う養育費額が記載された調停調書が作成されます。夫が裁判所に来ないなどの理由で合意ができない場合は、審判手続きという手続きに移行し、裁判官が妥当な養育費額を定めて、審判を下し、審判書を作成してくれます。

 

このような書類を獲得した上で、強制執行の手続きを執り、養育費の支払いを実現することとなります。

 

時間と手間のかかる問題ですので、ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.08更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

今日は、司法試験の合格発表日です。法務省のサイトによれば、1850人の合格者が出たとのことです。去年より、合格者は減るものと思っておりましたので、少し意外でした。

 

我が母校、中央大学が、合格者170名で、トップを奪還したそうです。2011年以来、4年ぶりのことです。大学でお世話になった研究室の「中櫻会研究室」も、5名ほど合格したそうで、喜ばしい限りです。

 

しかし、残念なことに、今回、司法試験問題の漏えい事件が起きてしまっています。司法試験委員には、当然、問題を漏えいさせないよう、高度の義務と倫理が科せられているはずです。それを無視して、漏えいをするなど、あり得ず、許されないことです。

 

ところで、漏えいを受けた学生は、今後どうなるのでしょうか(もちろん、今回の試験は不合格とされると思いますが。)。

司法試験での不正は、最長5年の受験禁止処分を科せられるはずですので、この範囲で受験禁止となる可能性が高いように思いますが、どうでしょう。

 

司法試験は、大学院卒業後、5年間に5回まで受験できることとなっておりますので、長期間の受験禁止が下されたら、事実上、法曹になる道を閉ざされることとなるでしょう。

 

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.06更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚をしたいと考えているとき、相手と協議して離婚できれば、それに越したことはありません。しかし、現実問題として、相手方と協議をすることができない場合がよくあります。

 

例えば、相手が離婚に応じず、まったく聞く耳を持たない場合や、DVなどの被害に遭っていて、顔を会わせて協議することが精神的に負担である場合などが考えられます。

 

このようなときに協議をするには、二人きりで協議しようとするのではなく、第三者に間に入ってもらうことを考えるべきでしょう。両親などの親族や共通の友人、会社の同僚など、双方に話をしやすい人に依頼するのがコツです。この場合には、事情を詳しく説明し、状況を良く知っておいてもらった方がよいかも知れません。

 

それでも、話がまとまらず(かえってもめてしまうこともあるかも知れません)、離婚の協議ができない場合は、メールやライン、手紙などで連絡を取って協議する方法もやむを得ないでしょう。

 

もっとも、第三者が間に入ってもまとまらなかったのですから、メール等でまとまらないことも多いかも知れません。

 

そのようなときは、専門的な知識のある弁護士に相談し、依頼することが望ましいといえます。弁護士に依頼すれば、相手と協議をするために手紙を送ったり、相手がまったく協議に応じない場合は、調停を申し立てたりして、離婚に向けた対応を行っていくことが可能です。

 

相手が離婚協議に応じず、問題の解決が図れない場合には、是非弁護士までご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.05更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫婦の一方と、もう一方の実家とのトラブルというものは、よくあることです。特に、新居がもう一方の実家と近いときには、舅や姑との関係も密になり、その結果、価値観の違い等からトラブルになってしまうことが多いようです。

例えば、妻の料理や掃除に文句をつけてきたり、育児方法に注文をつけてきたり、時には、妻の悪口を夫に言う、など、さまざまなトラブルがあります。

 

このような、舅・姑とのトラブルを理由に、離婚することはできるのでしょうか。舅・姑とのトラブルが、離婚原因である「婚姻関係を継続し難い重大ない事由」に該当するか否かが、問題となります。

 

結論から申し上げると、単に舅・姑などの親族との折り合いが悪いということだけでは、基本的に、婚姻関係を継続し難い重大な事由に当たらないと考えられます。離婚原因があるか否かは、結婚相手との夫婦間の問題であり、相手方配偶者との関係が最も重要視されるからです。

 

もっとも、舅や姑の干渉が、第三者から見ても明らかに常識を逸脱しており、夫婦の共同生活を継続することが困難であるような場合であれば、離婚が認められる余地もあり得ると思われます。特に、配偶者が舅・姑の干渉などの事実を知りながら、それを放置していたり、一緒に暴言を振るうなどといった事情がある場合には、婚姻関係を継続し難い重大な事由があると認められる可能性があるでしょう。

 

具体的な対処法としては、相手方配偶者の親族と折り合いが悪い時は、そのことをきちんと配偶者に伝え、対応についてよく話し合うべきです。このような場を何度か設けたにもかかわらず、配偶者が何も行動をしないで状況の改善がみられないとか、配偶者が親族の立場に立って、こちら側をないがしろにする等の行動があれば、婚姻を継続し難い重大な事由があり、婚姻関係が破たんしたとして、離婚が認められることとなるでしょう。

 

 

投稿者: 流山法律事務所

前へ 前へ
top_btn11_sp.png
04-7150-8810 メールでのお問い合わせ
弁護士ブログ よくある質問 解決事例 流山法律事務所 離婚・男女問題相談サイト