2015.10.28更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

結婚する気がないにもかかわらず、「結婚しよう」などと言って異性の気を引き、肉体関係を結んでしまうという人が、時々います。

 

このような場合であっても、結果的に結婚にまで至れば問題は生じないと思いますが、結果的に結婚せず、結婚の約束が、単なる「口約束」に終わってしまった場合、争いが生じてしまいかねません。

 

もし、結婚する意思がないのに、結婚を餌にして異性に近づき、結婚するものと相手を騙して信じ込ませ、金目のものを騙し取ったり、返済の意思もないのに金品を借りたりしていたら、それは、いわゆる「結婚詐欺」に当たります。

 

この場合、被害者側としては、騙し取られたお金の返還請求や、刑事告訴を行い、被害回復に努めることとなります。もっとも、将来、夫婦になろうと考えていた訳ですから、お金を巻き上げられたことなどの証拠が十分に残っていないことも多く、証明に苦労してしまうかも知れません。

 

一つ注意していただきたいのは、刑事上の詐欺罪は、財物(金品)を騙し取るものでなければなりませんので、金品が取られていなければ、詐欺には該当しません。「お金は取られていないが、騙されて肉体関係を結んでしまった」ということでは、金品を騙し取られたわけではありませんので、刑事告訴をすることは困難と思われます。

 

なお、このような場合であっても、騙されて肉体関係を結んでしまったことの精神的苦痛に対する、民事上の慰謝料請求は可能であることもあるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.10.14更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

妊娠中に離婚した場合、生まれてくる子供の親権や姓、戸籍はどのようになるのでしょうか。

 

まず、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定されます(民法772条1項)。そのため、妻としては、嫡出子の出生届を提出する必要があります(妻に出生届の提出義務があります。)。

 

この場合、子の姓については、「子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。」(民法790条1項但書)とされておりますので、結婚のときに名乗った苗字を子どもも称することとなります。

 

例えば、結婚のとき、夫の苗字を名乗ったのであれば、子どもは夫の苗字を名乗ることとなり、戸籍も、夫の戸籍に入ることとなります。

 

子どもを夫の戸籍から外して、妻の戸籍に入れるには、子の氏(苗字)の変更許可を家庭裁判所に申立て、その許可を得て、役所に子の氏の変更届を出すという手続きを踏むことが必要となります。

 

また、親権につきましては、民法819条3項に「子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。」との規定がありますので、妻側が親権を行使することとなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.10.10更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

皆さんの財布の中にあるお金、表と裏がどちらか、ご存じでしょうか。

 

まず、硬貨についてですが、年号(平成27年などと刻印してある側)が裏であるとされています。この表裏は、法令で決まっているわけではなく、いわば慣例として、そのようにされています。

 

昔の硬貨では、表側に菊の御紋、裏側に年号がそれぞれ刻印されていました。それが現在の硬貨にも引き継がれ、年号が刻印されている方が裏側とされているのです。

 

では、日本銀行券(お札)の裏表はどのようになっているのでしょうか。

 

実は、お札の裏表については、硬貨と違い、法令できちんと定められているのです。

 

日本銀行法という法律の第47条2項には、「日本銀行券の様式は、財務大臣が定め、これを公示する。」という規定があります。お札の詳細について、きちんと公表しなければならないという規定です。そして、その法律を受けて、お札の発行に当たっては、官報(役所の出す雑誌。あまり面白いものではないです。)にその詳細が掲載され、公表されることとなっています。

 

その官報での公表では、お札のデザイン等が図入りで明らかにされますが、それと並んで、お札の表裏も明記され、公表されています。

 

例えば、2000円札を例に挙げれば、守礼門が描かれている側が表であると官報に記載されているのです。

 

このように、硬貨とちがって、お札だけ、お金の表裏がはっきりと定められているのは、何かおかしな感じがしますね。

投稿者: 流山法律事務所

2015.10.03更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

神宮球場に行って、ヤクルトvs阪神戦を観戦し、ヤクルトの優勝を見届けてきました。

 

10月1日の阪神戦が、雨のため中止になり、急きょ10月2日に試合が組まれることとなりました。

私は、10月2日は、裁判のため、前橋市に来ていたのですが、試合を見るため、急いで東京まで戻り、無事観戦することができました。

 

一進一退の攻防で、延長戦に突入してしまいましたが、雄平選手の決勝打でヤクルトがサヨナラ勝ち・セリーグ優勝を決めました。

23時過ぎまで、神宮で優勝の余韻に浸っていました。

 

jingu penanto

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.28更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

神宮球場に、ヤクルトvs広島戦を観戦しに行って来ました。

 

私は、ヤクルトを贔屓にしており、久々の優勝がかかった一戦ということで、いてもたってもいられず、神宮に行ってきた次第です。

ヤクルト側の外野自由席は、すでに満席でしたので、広島側に座って、観戦してきました。

 

残念ながら、試合には負けてしまいましたが、優勝を信じて応援して行きたいと思います。

 

ファンがたくさんいるため、点を取った時に歌う東京音頭が、地響きのようでした。

jingu yakuruto

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.26更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫が失踪(行方不明になってしまうこと)してしまい、生死が分からなくなってしまうことがあります。このようなとき、残された家族には、様々な問題が生じてしまいかねません。

 

例えば、家族の生活費を夫の財産から捻出することができるか、という点も、問題となります。夫婦とはいえ、夫の財産を勝手に使用すべきでないと考えられるからです(夫本人でなければ現金化できない財産もあるでしょうし。)。

 

この問題の解決方法としては、まず、失踪宣告をしてもらう方法があります。

 

失踪宣告については、以前、このブログでもお話ししましたが、失踪状態が7年間続く場合に、家庭裁判所に申し立てて、失踪者が死亡してしまったとみなしてもらう制度です。

 

失踪宣告がなされれば、夫は死んだものとみなされますので、相続が発生し、夫の財産を相続することとなります。そうすれば、妻は、生活費を夫の財産(相続で妻のものになっていますが)から支出することができる、という算段です。

 

もっとも、夫が死んだなどとみなして欲しくない、という人もいるでしょうし、失踪が7年間に達していない場合もあるでしょう。このような場合には、失踪宣告の制度は使えないことになります。

 

このような場合、妻は、夫の財産を管理する者を選んでもらうよう、家庭裁判所に求めることができます。財産管理人を選んでもらえれば、その管理人に、夫の財産を使用するか判断してもらうことができますので、妻としては、必要な生活費を管理人に請求し、支払ってもらうことができるでしょう。

 

なお、失踪が相当期間(1年くらい以上でしょうか)に及ぶ場合は、「悪意の遺棄」があったとして、離婚を請求することもできますので、夫婦関係を清算したい場合には、離婚訴訟を提起すればよいでしょう(失踪の場合は、調停を申し立てても無駄ですので、失踪している旨を説明し、いきなり訴訟をしてもよいものと考えられます。)。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.25更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

正式に結婚している夫婦の間に生まれた子どもは、法律上、父親との間に親子関係が生じます。妻が不倫をしていたなどの理由で、子どもとの親子関係を否定するには、別途法的手続が必要となります。このことは、以前、このブログでもご説明したかと思います。

 

一方、正式に結婚していない夫婦(婚姻届を出していない夫婦。内縁の夫婦など)の間に生まれた子どもは、法律上、父親との間に親子関係は、当然には発生しません。婚姻届が出ていない以上、誰が父親であるか把握することが不可能であるからでしょう。

 

認知されるまでは、法的に他人ですので、父親が死んでも、子どもは遺産を相続することができませんし(ちなみに、妻も婚姻していない以上、相続権はありません。)、父親の名字を名乗ることもできません。

 

この場合、親子関係を法的に認めてもらうには、認知という手続を取る必要があります(具体的には、認知届という書類を、役所に提出することとなります。)。

 

認知は、基本的にいつでも可能です。ただし、子どもが成人した場合は子どもの同意が(未成年のときに面倒を見ていないのに、成人後に認知して扶養の請求をするのを避けるため)、子どもが胎児のときは母親の同意が(まだ生まれていないので、母親の同意意思が必要)、それぞれ必要とされています。

 

逆に、夫がどうしても認知しない場合には、子どもや妻が認知の訴訟などの法的手続によって、認知を求めることができます。

 

なお、父が死亡した後にも、認知の訴えを起こすことはできますが、それは、父が死亡してから3年間に限られていますので、注意が必要です。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.24更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

みなさんは、「正社員」と「パート・アルバイト」との違いについては、良く理解されているのではないかと思います。しかし、「パート」と「アルバイト」の違いについては、分かっていらっしゃらない方が多いのではないでしょうか。

 

パートは、法的には、「短時間労働者」として規定されています。文字どおり、正社員より労働時間が短い労働者のことをパートと呼ぶのです。

 

実は、法的には、正社員とパートの大きな差異は、この労働時間が短いという一点くらいなのです。パートの場合は、1年や2年といった労働期間の定めがなされることが多いですが、一定期間継続して勤務し、契約の更新が予定されていることが多い点では、正社員と異なる点は少ないものといえるでしょう。

 

一方、アルバイトは、非常に短期間のみ雇用されることが想定されている勤務形態です。お金がないときに気軽に応募し、忙しくなれば辞めることのできる勤務形態である、といえばよいでしょうか。

もちろん、長期間アルバイトをしている場合もあるでしょうが、基本的には、ごく一時的な雇用関係に過ぎず、契約を更新することも予定されていないはずです。

 

このように、パートとアルバイトとは、雇用関係が(一応)継続的か一時的か、また、更新の予定があるかないか、という点で異なっているものといえます。

 

もっとも、最近は、パートという名称でもアルバイト的な勤務形態のものや、アルバイトという名目でもパート的な勤務形態のものが、それぞれ出現していますので、パートとアルバイトとを区別することは難しいです。

 

会社側も、労働者の区別のため、パートという名称を(適当に)使用しているに過ぎない場合もあります(一つの会社に、正社員、パート社員A、パート社員B、パート社員C、アルバイトの5種類の勤務形態を設けている会社を見たことがあります)。このような場合、パートやアルバイトといった名称にこだわっても、余り意味はないように思われます。

 

パートとアルバイトは、違いはあるが、実務上は、対して変わらないように思えますね。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.22更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

子どもが、親の財布からお金を持って行って使ってしまった場合、何らかの犯罪が成立し、子どもを処罰してもらうことができるでしょうか。

 

他人のお金を勝手に持っていくのは、窃盗という犯罪です。本件では、親子間でお金を勝手に持っていく行為が、窃盗罪に当たるかが問題となります。

 

この点、親族間の窃盗には、刑法244条に、特別の規定があります。

 

刑法244条

配偶者、直系血族又は同居の親族との間で、第235条の罪(窃盗)・・・を犯した者は、その刑を免除する。

 

これは、親族間の問題は親族で解決すべきであるという価値判断、いわゆる「法は家庭に入らず」という原則の趣旨に則った規定です。

 

この条文から明らかなように、親子間でお金を勝手に持っていく行為は、窃盗罪は成立するが、刑罰は免除される(=処罰してもらうことができない)こととなります。そのため、警察に子どもの窃盗について被害届を出しても、子どもが逮捕されることはないと思われます。

 

ところで、一定範囲内の親族間の窃盗は処罰されないとはいっても、これは、刑事上の問題であり、民事上、盗まれた物の返還を請求することは可能です。例えば、子どもが100万円を持って行ってしまった場合は、その100万円の返還を請求することができるのです。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.21更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

人を殺した場合、殺人罪という罪に問われ、死刑、無期懲役、もしくは5年以上の懲役という厳しい刑罰に処せられます。人の命という重要な法益を保護するため、厳しい刑罰が規定されているのです。

 

しかし、人を殺しても、殺人罪に問われない場合があります。

 

まず、わざと人を殺した場合でないときが挙げられます。例えば、交通事故で被害者を死なせてしまった場合や、怪我をさせるつもりで暴力を振るったら死んでしまった、などの場合です。

 

殺人罪が適用されるには、故意(殺そうと思って殺したこと)があることが必要とですので、誤って人を殺してしまった場合は、殺人罪に問われないのです(もっとも、別の犯罪、例えば自動車運転過失致死罪、傷害致死罪などに問われることとなります。)。

 

次に、自分や他人の利益を守るため、やむを得ず人を殺した場合も、殺人罪には問われません。例えば、包丁を持って殺そうとしてきた人を、やむを得ず返り討ちにして殺してしまった場合は、殺人罪には問われません(正当防衛)。

 

また、正当な業務として人を殺した場合も、殺人罪には問われません。例えば、刑務官が死刑囚の死刑を執行した場合、人を殺したといえますが、殺人罪にはならないのです。

 

さらに、責任能力がない者が人を殺したとしても、殺人罪の適用はありません。例えば、赤ちゃんが拳銃をいじっていて誤射してしまい、人を殺した場合(時折、海外で似たような事故が起こります)、心神喪失者が人を殺した場合などです。

 

このほかにも、被害者から、「自分を殺してくれ」などと頼まれて殺した場合は嘱託殺人罪に、自殺の手助けをした場合は自殺幇助罪(いずれも6か月以上7年以下の懲役または禁錮)に、それぞれ殺人罪とは別の罪によって処罰されることになります。

 

なお、医者が、患者から安楽死を頼まれ、死に至らしめた場合、厳格な要件の下、嘱託殺人罪が成立しないことがあるとされています。

投稿者: 流山法律事務所

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