2016.01.12更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

昨日、自己破産についてご説明しました。自己破産は、生活を立て直すための大切な制度であること、自己破産をしても、基本的に不利益が生じることはないこと、をお分かりいただけたかと思います。

 

しかし、自己破産は、ほかの人が貸してくれたお金を棒引き(ゼロ)にする制度です。そのような自己破産制度を、何度も活用できてしまうとすると、それは債権者に酷ですし、かえって債務者の生活再建のためにもならないこととなります。

 

そこで、法は、一度自己破産して裁判所から免責を受けてから、「原則」7年間は再度の免責ができない、と規定しています。ですので、例えば、自己破産した後、すぐにまたお金を借りて豪遊し、困ったら自己破産を申し立てる、ということができないことになるのです。

 

もっとも、借金にはいろいろの理由があります。例えば、一回自己破産した後、重病にかかり、治療費がなくなって再度の借金をした場合などのように、借金をしたことがやむを得ないと考えられるような場合もあるでしょう。

このような場合であっても、自己破産は一切認められないのでしょうか。

 

まず、免責が認められないのは、前回の免責から7年間ですので、7年経過するのを待って申し立てを行うことが考えられます。具体的には、弁護士に依頼し、破産申し立ての準備をしながら7年の経過を待ち、経過と同時に申し立てを行うこととなるでしょう。7年の期間の経過が間近である場合には、この方法を採用することが多いでしょう。

 

一方、7年の期限の経過まで、まだ時間がある場合には、上記の方法は採れません。この場合には、7年が経過していないことを承知の上で、裁判所に正面から自己破産・免責の申し立てを行う方法が考えられます。

 

法律上、前回の免責より7年間は再度の免責がなされないこととなっていますが、実は、裁判所は、7年経っていなくても、再度の破産をしなければならないやむを得ない事情などを具体的に判断して、免責を相当とするときには、自己破産・免責の決定を下すことができる、とされているのです。

 

そこで、自己破産・免責の申し立てを行い、自己破産をしなければならないやむを得ない事情を、詳しく具体的に説明して、免責を目指す、という対応も十分考えられるのです。

 

【関連項目】 自己破産について

投稿者: 流山法律事務所

2016.01.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

借金が重なってしまい、どうにもならなくなって、相談に来られる方が、かなりいらっしゃいます。

 

そのような場合は、借金の総額や使途、収入の額などを確認し、分割して返済することができるかを確認することとなります。

 

しかし、どうにか分割して返済できる見込みが立てば良いのですが、借金の額が多額であったり、失業して収入が見込めなかったりして、分割返済の見込みが立たない場合もあります。

そのようなときは、自己破産を検討することとなります。

 

自己破産をして、裁判所から免責を受ければ、借金を返済しなくてもよくなり、生活を立て直すことができます。

 

しかし、自己破産はイメージが良くないのか、自己破産をお勧めしても拒否される方もいらっしゃいます。

そのような場合は、自己破産が生活を立て直すために大切な制度であること、自己破産をしても生活にはほとんど影響がないことが多いこと、などをご説明し、ご納得いただけるように努めています。

 

ご相談者が良く心配されることを、思いつくまま挙げてみましたので、ご参考にしていただければと思います。

 

①戸籍に破産の履歴が残るのでは?
→戸籍に載る訳ではありません。

②選挙できなくなるのでは?
→影響はありません。立候補も可能です。

③ほかの人に知られてしまうのでは?
→官報という雑誌に載りますが、ほとんどの方は見たことがないと思います。ほかの人に知られる可能性は、ないわけではありませんが、とても低いと思います。

④会社をクビになるのでは?
→一部、就けなくなる職業があります(保険業や警備員など)。そうでない職業であれば、クビになることはないでしょう。

⑤警察に逮捕されるのでは?
→破産をしたことを理由に逮捕されることはありません。

投稿者: 流山法律事務所

2016.01.01更新

明けましておめでとうございます。

 

流山法律事務所は、本日1月4日から、通常業務を開始いたします。

本年も、皆さまからご信頼いただけるよう、引き続き職務に精励して参ります。

どのようなお悩み事でも、ご遠慮なくご相談ください。

 

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿者: 流山法律事務所

2015.12.27更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

年末年始の営業につきましては、カレンダーどおり、12月29日~平成28年1月3日まで、休業とさせていただきます。

なお、年末年始のご相談をご希望の方は、お電話またはメールにてご相談ください。

 

12月29日以降は、電話やメールに出られない可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

 

ご不便をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿者: 流山法律事務所

2015.12.18更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

以前にもお話ししたことがあるかも知れませんが、松戸の裁判所の裏には、道(階段)があります。

階段をずっと降りて行くと、一般の道に出るようです。門や柵がある訳でもなく(進入禁止などの看板も見当たりませんでした)、いつでも誰でも入ることができてしまうのではないか、と思います。

 

夜に、緊急の書面を提出する際に使用する道なのでしょうか?不思議です。

松戸の裁判所の裏道

投稿者: 流山法律事務所

2015.11.24更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

結納という儀式があることは、皆さんご存知ではないかと思います。正式に婚約する証として、結婚する両家が、金銭や品物を取り交わす儀式のことです。

 

結納をした後、そのまま結婚してくれれば問題はありませんが、問題は、結納がなされた後に婚約が破棄されてしまった場合です。この場合、結納で渡した金銭や物品について、相手から返還してもらえるのでしょうか。

 

この点、結納の性質については、一般的に、婚姻が不成立であったときには、遡及して効力を失う贈与契約である、と解釈されています。

 

裁判所も、結納を、当事者や領家間の交流を厚くする目的でなされる一種の贈与であって、婚約が解消になったときは、上記目的を達成する必要がなくなったのであるから、結納を受け取った側は、不当利得として結納を送った方に返還すべきであるとしています。

 

もっとも、結納を渡した側に婚約破棄の原因がある場合(例えば、浮気をした場合)には、結納の返還を求めることができない場合もあるでしょう。

 

なお、当事者が事実上の夫婦(内縁)又は法律上夫婦になったときには、結納の目的は達成されたことになりますので、その後、別れたとしても、結納の返還義務は生じないことが原則となります。

 

もっとも、夫婦の実態がない場合、例えば、入籍したがすぐに離婚してしまった場合(「成田離婚」というドラマもありましたね。)などには、実質的に結婚がなされなかったものとして、例外的に結納の返還を求め得る場合もあるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.11.23更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

「家栽の人」の原作者である毛利甚八さんが、亡くなったというニュースを見ました。

 

家栽の人とは、家庭裁判所で取り扱う離婚事件や少年事件などを、裁判官の視点から綴った漫画です。法曹界では非常に有名な漫画で、多くの法律関係者は読んだことがあるのではないかと思います。

 

弁護士や検察官を主人公にする漫画というのは比較的数があるように思いますが、裁判官を主人公とする漫画は、非常に数が少ないように思います。やはり、裁判官は数も少なく、取材も難しいということなのでしょう。

あえて、そのような裁判官を主人公に据えて話を紡ごうとした毛利さんの慧眼には、感心しきりです。

 

作品中に、「チューリップは冬の寒さを経て、初めて芽を出す」という意味の言葉があったことを覚えています。私は、この言葉を、いまでも時々使っています。

非常に影響を受けた作品でした。

 

ご冥福をお祈りします。

 

 

 

 

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.11.18更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

最近では少なくなりましたが、ビジネスローン(商工ローン)等でお金を借りるときに、利息とは別に、「礼金」「保証金」などの名目で、金銭の支払いを求められることがあります。

 

ところで、現在、消費者金融が取得してよい利息については、利息制限法という法律で制限が設けられています(10万円まで年利20%、100万円まで18%、100万円以上15%)。高金利から消費者を保護するためです。

 

かかる利息とは別に、「礼金」「保証金」などの名目で、お金を支払ってしまうのであれば、これは、上限金利を制限した意味がなくなってしまいます(「利息」でなく「礼金」と名前を変えればいいだけになってしまいますので。)。

 

そこで、このような事態を回避すべく、利息制限法は、金銭の消費貸借について、「債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。」と規定し、債権者の受ける元本以外の金銭を、すべて利息とみなすことにしているのです(「みなし利息」といいます。)。

 

利息とみなされますので、当然、利息制限法の制限金利の適用を受けます。すなわち、みなし利息分を含め、上記の制限金利の範囲内に入っていなければ、違法となります。

 

もっとも、上記のみなし利息には例外があり、「契約の締結及び債務の弁済の費用」と「債務者の要請により債権者が行う事務の費用」については、みなし利息には当たりません。具体的には、契約書作成費用、印紙代、返済金の送金手数料、登記抹消費用などは、みなし利息に該当しないこととされています。

投稿者: 流山法律事務所

2015.11.09更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

お金を貸すときに、借用書を書いてもらった方が良いことは、以前のブログでも書かせていただきました。

 

しかし、せっかく借用書を書いてもらっても、大切な事項が抜け落ちてしまっていては、意味がありません。

 

例えば、貸した金額が借用書に記載されていなければ、いくらお金を貸したのかを証明することはできませんし、借りた人の名前が記載されていなければ、誰にお金を貸したのかを証明することができないのです(借りた人の氏名や金額を、借用書に記載してもらい忘れることは、余りないこととは思いますが。)。

 

それでは、借用書に、いつまでにお金を返すという「返済期限」の記載がない場合はどうなるのでしょうか。

 

もちろん、返済期限の規定がなかったとしても、永遠にお金を返してもらえない訳ではありません。この場合は、「相当な期間」を定めて「催告」(お金を返すように請求すること)すれば、その日が返済期限日となります(その日までに返さない場合は、遅延損害金が発生することとなります。)

 

ここで、「相当の期間」とは、どれくらいの期間をいうのか問題となりますが、法律で定められているわけではなく、ケースバイケースというほかありません。1万円の返済請求と1億円の返済請求とで、返済を準備する期間が異なるだろうな、というのは、なんとなくお分かりいただけるかと思います。

 

なお、「相当な期間」を定めた催告ではない場合、例えば、「すぐに返済しろ」という催告の場合、すぐに返済する必要はありませんが、客観的に見て相当な期間が経過すれば、借主はお金を返さなければならなくなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.11.03更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

民法は、第747条に、「詐欺…によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。」との規定を設け、詐欺による婚姻の取り消しを認めています。

 

もっとも、婚姻という重要な身分関係に関するものですから、詐欺によって婚姻が取り消されるケースは、必ずしも多くありません。一般的には、婚姻にとってきわめて重要な事項について、悪質な欺罔(騙し)がなされたことが、婚姻を詐欺で取り消すために必要であると思われます。

 

よくある事例として、「嘘の職業や年収を言われていた」というものがあります。結婚においては重大な事項であろうとは思いますが、しかし、この点の嘘だけでは、詐欺により結婚を取り消すことは難しいと思われます。

 

実態はともかく、人は、その人の性格や人柄を見て結婚するのであり、職業や年収だけで結婚する訳でないでしょ、という建前があるからでしょう。

 

大昔の話になりますが、裁判所も、媒酌人が「薬剤師で月収90円以上」と言ったことを信じて結婚したが、実際は薬剤師の免許を持っておらず、月収も70円程度であったという事件について、詐欺による婚姻の取り消しを認めなかったことがあります。

 

詐欺により婚姻を取り消した事例としては、年齢のサバ読み事件があります。これは、52歳の女性が、24歳と年齢をサバ読みして結婚したという事件です。裁判所は、「婚姻後の生活設計も土台から異なってくる違い」(例えば、出産可能性などの観点でしょう。)であるとして、婚姻を取り消しています。

 

これは、年齢のサバを読み過ぎたため、ごく例外的に婚姻の取り消しが認められたものでしょう。例えば30歳の人が、28歳であると嘘をついたような場合まで、婚姻の取り消しが認められるものではありません。

投稿者: 流山法律事務所

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