2015.09.04更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚の際、これまで住んでいた家に住み続けたいとお考えになる場合もあるかと思います。このようなとき、どのようにすれば、これまでの住居に住み続けることができるでしょうか。

 

家が持ち家であったとき(借家でないとき)には、その家の所有権が誰のものかを、まず確認する必要があります。

家があなたの名義であれば、当然、その家に住み続けられることとなるでしょう。

 

一方、家の名義が相手方であった場合は、財産分与などで、その家の所有権を取得する必要が出てきます。家の価格が、財産分与すべき額よりも高い場合は、金銭を相手方に支払う必要が出てくることもあるかもしれません。ローンが残っているときは、ローンの支払いをどうするか等、決めなければならないことも多いといえます。

家の名義が共有であった場合も、同様に、財産分与などでその持分を取得する必要があるでしょう。

 

場合によっては、相手方と協議し、名義や持分を相手方に残したまま、家を借りる合意をして、そのまま住み続けることも考えられます。この場合、相当の賃料を相手方に支払う必要があると思われます。

 

次に、家が借家の場合を検討します。

 

この場合は、夫婦の話し合いによって、合意がまとまれば、そのまま家に住み続けることができると思われます。もっとも、賃貸約契約を相手方が締結していた場合には、大家から賃貸借契約書の契約名義人や保証人の変更を求められる場合が多いと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.03更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚の際、夫婦の財産は、財産分与の対象となり、原則2分の1ずつ分かち合うこととなります。

例えば、自宅等の不動産、夫婦双方の名義の通帳に入っている預貯金、高級車、などが、財産分与の対象とされることが多いといえます。ほかにも、配偶者の退職金についても、場合によっては、財産分与の対象とされる可能性があります。

 

財産分与に際して、ときどき相談されるのが、配偶者の「へそくり金」です。例えば、「妻がへそくりを持っているはずだが、財産分与の対象としてほしい」とか、「へそくりを持っているが、財産分与の対象とはしないでほしい」などのご希望が出されることがあるのです。

 

まず、前提として、夫婦が結婚した後に得た財産(夫婦が協力して得た財産と言っていい部分)は、夫婦の共有財産となり、財産分与の対象となります。

 

すなわち、結婚する前から持っていた財産は、夫婦が協力して得たお金ではありませんので、それをへそくりにしていた場合は、財産分与の対象とはならないでしょう(もっとも、夫婦共有の財産でないことを証明する必要があるでしょう。)。

 

一方で、結婚した後に貯めてへそくりにしたものについては、夫婦共有のお金をこっそり貯めていた、というに過ぎませんから、財産分与の対象となるのが原則といえるでしょう。

 

もっとも、配偶者から贈与されたお金を貯めていた場合は、夫婦の共有財産でなく、特有の財産となりますので、財産分与の対象とはならないこともあるでしょう。

また、夫婦が協力して得たと評価できないお金、例えば、妻の親族が亡くなり、遺産として妻に金銭が支払われた場合は、その金銭については、財産分与の対象とはならないこととなります。

 

もっとも、へそくりがどこにあるのか、いくらなのかをきちんと明らかにしなければ、財産分与を求めることは事実上不可能であると考えられます。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.01更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

南流山駅前に、法律事務所を設立して、今日で丸一年となりました。

つい昨日、設立したばかりのような気がします。本当に、一年の経つのは早いものだな、と実感します。

 

ご依頼いただける事件の数も少しずつ増えてきました。また、弁護士会松戸支部の弁護士の顔も分かるようになってきました。

やりがいと責任が、さらに大きくなっていくように感じています。

 

今後も、手を抜くことなく、精一杯事件解決に努めて参ります。

 

なお、このブログ記事も、ちょうど200件目の記事となりました。以前書いた内容などを忘れて、同じような記事を書いてしまうこともあろうかと思いますが、ご容赦ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.08.31更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

労働事件で、残業代の請求をすると、かなりの頻度で、「残業代は支払わなくてよいという合意をしている」などの反論が来ることがあります。

このような、会社側の反論は、認められる(残業代を支払わなくてよい)のでしょうか。

 

残業代の支払いについては、労働基準法という法律の第37条に規定があります。

なかなか読みにくい条文なのですが、例えば、時間外労働をした場合は、25%の割増賃金を支払うことなど、具体的な時間外労働への賃金の割増率が規定されています。

 

そして、労働基準法は、労働条件の最低限度を定めたものと解釈されており、労働基準法より低い労働条件の合意は、無効であるとされています。

 

労働基準法13条には、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。 」との規定があり、最低でも、労働基準法に定められている条件を履行しなければならないことが定められているのです。

 

さて、本題の「残業代を支払わなくてよい」との合意について検討してみます。

 

残業代を支払わないという合意は、残業代の支払いを定めた労働基準法37条に違反するものです。したがって、労働基準法13条によって、この合意は無効となり、無効となった時間外手当の合意部分は、労働基準法37条に定める基準によることとなります。

 

つまり、残業代を支払わないでよいとする合意が仮にあったとしても、その合意は無効であり、労働基準法に基づいた時間外手当をきちんともらう権利があることとなります。

上記の会社の反論は、まったく意味のない反論なのです。

 

このような理由で、時間外手当の支払いを拒否された場合は、ご遠慮なく当法律事務所までご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.08.30更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫が妻と離婚し、妻が子どもを引き取った場合は、夫には、収入に応じて養育費を支払う義務があります。もっとも、離婚した妻が再婚し、再婚相手と子どもとが養子縁組をした場合には、養育費の減額を求めることが可能です。

 

では、離婚の際、夫が妻に慰謝料を分割で支払うことを約束したが、その後に妻が再婚した場合、上記養育費の場合と同様に、慰謝料の減額を求めることは可能でしょうか。

 

例えば、慰謝料240万円を、毎月2万円ずつ120回(10年払い)に分けて支払うとの合意をしましたが、離婚後5年経った後に妻が再婚した場合、残りの120万円を減額できるのか、という問題です。

 

再婚及び養子縁組によって、養育費が減額されるのは、新しい親(養父)が子の扶養の義務を負担することとなるためです。とすれば、そのような事情のない慰謝料は、再婚によって減額される理由のないものといえます。

 

また、慰謝料は、本来は離婚時に一括払いされるべきものですから、後に再婚したからといって、それを減額できるとする理由はないでしょう。

 

それでは、財産分与の場合はどうでしょうか。上記同様、財産分与240万円を、毎月2万円ずつ120回に分けて支払うとの合意をしたが、離婚後5年経った後に妻が再婚した場合、残りの120万円を減額できるのか、という問題です。

 

これも、基本的には、慰謝料と同様に、減額の請求はできないものと考えるべきです。

 

しかし、財産分与の中には、離婚後の妻の生活安定という趣旨で支払われる財産分与(「扶養的財産分与」といいます)があります。このような趣旨の財産分与であれば、再婚によって、妻は新しい夫の扶養を受けることができるようになるのですから、財産分与の減額を請求することも可能でしょう。

 

もっとも、その財産分与が扶養的な趣旨を持つものか否かを明らかにすることは、なかなか困難かも知れません。離婚の際に、その旨を明記した合意書等を作成しておくことも一つの手段でしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.08.26更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

隣の家で飼育されているペット(犬など)に噛まれて怪我をしてしまったとき、治療費や慰謝料の請求をすることはできるのでしょうか。

 

まず、隣家の外で噛まれてしまったときのことを考えてみます。

 

隣家の管理が悪く、ペットが外に逃げ出して人を噛んだ場合は、飼い主の落ち度があると考えられます。この場合は、治療費はもちろん、精神的苦痛に対する慰謝料も認められ得るでしょう。

 

ペットを散歩に連れ出している途中に、人を襲った場合も、飼い主の落ち度がないということができる特段の事情がなければ、治療費と慰謝料の支払いを求めることが可能であると思われます。

 

子どもなど、ペットの行動を十分に制御できない年齢の者が、散歩に連れ出して、人に危害を加えた場合にも、ペットの管理についての飼い主の落ち度が認められるため、治療費等の支払いを求めることができるでしょう。

 

次に、隣家の敷地内で噛まれてしまったときのことを考えてみます。

 

家には、通常、他人が所用で家に来る可能性を予測できるはずですから、他人が来たときに危害を加えることができるような場所・方法でペットを管理してはならないはずです。したがって、敷地内であっても、管理に問題があったとして、治療費や慰謝料の支払いを請求することが可能でしょう。

 

家の門柱に「猛犬注意」などの張り紙をしてあることがありますが、このような張り紙があったとしても、飼い主の責任を免れるものではありません。危険な態様での飼育をしていれば、賠償請求が認められるものと考えられます。

 

一方で、きちんと檻に入れられている犬に手を出して噛まれてしまったような場合には、飼い主の落ち度が認められず、賠償請求ができない場合もあり得ます。

 

また、窃盗の目的で、家に侵入したところ、防犯の目的で放し飼いにされていた犬に噛まれたなどの場合には、正当防衛により、損害賠償が認められないこととなるでしょう。

 

最後に、不注意でペットが人に危害を加えた場合には、業務上過失致傷の罪に問われる可能性があります。ペットをけしかけて、あえて人に危害を加えた場合は、その怪我の程度に応じて、傷害や殺人未遂の罪に問われることもあり得ます。

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.08.25更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

労働問題の相談の中に、「売上のノルマがあり、ノルマを達成できないときにはその商品を買い取るよう強制されている」というものがあります。

 

例えば、正月のおせち料理の販売ノルマを設定され、売れない場合は、自分で買い取るよう要求される、というのが典型的な例です。

 

このような場合、商品の買い取りをする義務はありません。ノルマを達成できない以上、自腹で買うのが当然だ、などと考えなくて結構です。

 

労働(雇用)契約と商品の売買契約は、まったく違う別個の契約です。商品の買い取りについては、当事者間の合意で成立する契約ですので、買い取りを拒否すれば、それ以上買い取りを強制することはできません。

 

一番大切なのは、断固として買い取りを拒絶することです。

 

それでは、無理矢理、商品を買い取らされてしまった場合は、どうすればよいでしょうか。

 

この場合、事情によっては、脅迫や公序良俗違反として、その売買契約自体が無効とされることがあります。また、無理矢理に商品を買い取らせたことや、執拗に買い取りの勧誘をしたことをもって、違法行為として、不法行為に基づく損害賠償請求をする余地もあるでしょう。

 

場合によっては、買い取りを拒否したことで、労働条件を悪くされてしまったり、勝手に給料から代金相当額を天引きされてしまったりすることもあるようですが、このような取り扱いは違法ですので、抗議をし、弁護士や労基署にご相談になることをお勧めします。

 

会社の嫌がらせがひどい場合には、パワハラ等を理由として損害賠償請求を行うことも可能でしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.08.23更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、松戸法務合同庁舎が完成し、先月27日から、法務局や検察庁が移転しました。

真新しい庁舎で、広々としており、良いものが完成したな、と嬉しく感じています。

 

しかし、1階に、なぜか早くも床の段差ができてしまっています。

入口などに、「段差がありますので注意してください」等という張り紙まであります。完成してから1か月ほどで、なんでこうなってしまっているのか、よくわからない状況です。

 

思えば、8月の上旬に検察庁に行った際、すでに床の段差ができてしまっておりましたので、何か根本的なところに問題がなければいいな、と考えています。

投稿者: 流山法律事務所

2015.08.22更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

マンションなどの集合住宅にお住いの場合、近隣の住民がうるさく、迷惑に感じている方も多いのではないかと思います。例えば、上の階の子どもの足音がうるさいこと等は、よくあることなのではないでしょうか。

 

私も、数年前、上の階の住人が、午前5時頃から8時頃まで、洗濯機を回しっぱなしにしていて、非常に迷惑に感じた経験があります。

 

問題は、「騒音」というのは、人によって感じ方が違う、という点にあります。子どもの足音くらい、何でもない、むしろ可愛いくらいだ、と感じる方もいれば、少しの足音でも、我慢できない方もいらっしゃるでしょう。

 

そのため、騒音を出している住民に苦情を言っても、「これくらいは騒音ではない」などと、聞き入れてもらえない場合もあると思われます。

 

このような場合は、まず、管理者(大家)に連絡を取り、静かにしてもらうよう、申入れをしてもらうことが考えられます。第三者が間に入るだけでも、問題が改善することがあります。

 

また、どうしても騒音を出すのをやめないのであれば、大家に何らかの法的手続きを取ってもらうこともあり得るでしょう。例えば、民事調停で騒音について話し合ってもらうことや、騒音が著しい場合は、部屋の使用方法違反として、契約の解除を求める訴訟をしてもらうことが考えられます。

 

大家が法的手続きまでは協力してくれない場合もあるでしょう。そのような場合は、自分で民事調停を起こし、騒音について話し合いをすることとなります。

 

民事調停まですれば、相手も当方の本気さを理解し、何らかの妥協を得ることができる可能性もあるでしょう。

 

民事調停がまとまらない(相手が出席しない場合を含む。)場合には、訴訟により解決するしかありません。このときには、騒音が受忍の限度内にあるか否か(ご近所として我慢しなければならない程度が否か)が争点となるでしょう。

 

諸般の事情を考慮し、通常人を基準として、受忍限度を超えたと判断される場合には、損害賠償が認められることとなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.08.20更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

昨日、相続財産たる不動産から発生した賃料について、相続の対象となるか、という問題をお話ししました。相続人全員が、遺産分割の対象として同意した場合は、遺産分割協議の対象とすることができる、という結論であったかと思います。

 

みんなで話し合って、賃料を誰のものにするか、納得して決定することができれば、何の問題もありません。

 

問題は、遺産分割協議で解決することについて、相続人の同意が得られなかった場合です。この場合は、訴訟で賃料の分割について決定されることとなりますが、具体的に、誰に賃料を取得する権利が帰属することとなるのでしょうか。

 

この点、賃料は、その賃料を生み出す不動産を相続した者が、すべて取得するとの考え方があります。これは、不動産を相続した以上、その不動産について生じた賃料は、相続開始時から、すべてその者が取得するのが当然である、という考えに基づくものです。

 

一方、遺産分割から成立するまでに発生した賃料は、相続人が相続分に応じて取得するという考えもあります。これは、遺産分割がなされていない段階では、不動産は相続人らの相続分に応じた共有財産となっているため、それから発生した賃料も、相続分に応じて取得させるべきである、という考えに基づきます。

 

最高裁は、この問題について、2番目の考え方に立つことを明らかにしています。すなわち、被相続人死亡後、遺産分割がなされるまでに生じた賃料は、相続人の誰かが独り占めするのではなく、法定相続分に応じて分けることとされています。

 

なお、遺産分割がなされた後は、その不動産を相続した者が、賃料をすべて取得することとなります(当然ですね。)。

投稿者: 流山法律事務所

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