2015.08.30更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫が妻と離婚し、妻が子どもを引き取った場合は、夫には、収入に応じて養育費を支払う義務があります。もっとも、離婚した妻が再婚し、再婚相手と子どもとが養子縁組をした場合には、養育費の減額を求めることが可能です。

 

では、離婚の際、夫が妻に慰謝料を分割で支払うことを約束したが、その後に妻が再婚した場合、上記養育費の場合と同様に、慰謝料の減額を求めることは可能でしょうか。

 

例えば、慰謝料240万円を、毎月2万円ずつ120回(10年払い)に分けて支払うとの合意をしましたが、離婚後5年経った後に妻が再婚した場合、残りの120万円を減額できるのか、という問題です。

 

再婚及び養子縁組によって、養育費が減額されるのは、新しい親(養父)が子の扶養の義務を負担することとなるためです。とすれば、そのような事情のない慰謝料は、再婚によって減額される理由のないものといえます。

 

また、慰謝料は、本来は離婚時に一括払いされるべきものですから、後に再婚したからといって、それを減額できるとする理由はないでしょう。

 

それでは、財産分与の場合はどうでしょうか。上記同様、財産分与240万円を、毎月2万円ずつ120回に分けて支払うとの合意をしたが、離婚後5年経った後に妻が再婚した場合、残りの120万円を減額できるのか、という問題です。

 

これも、基本的には、慰謝料と同様に、減額の請求はできないものと考えるべきです。

 

しかし、財産分与の中には、離婚後の妻の生活安定という趣旨で支払われる財産分与(「扶養的財産分与」といいます)があります。このような趣旨の財産分与であれば、再婚によって、妻は新しい夫の扶養を受けることができるようになるのですから、財産分与の減額を請求することも可能でしょう。

 

もっとも、その財産分与が扶養的な趣旨を持つものか否かを明らかにすることは、なかなか困難かも知れません。離婚の際に、その旨を明記した合意書等を作成しておくことも一つの手段でしょう。

投稿者: 流山法律事務所

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