流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
労働問題の相談の中に、「売上のノルマがあり、ノルマを達成できないときにはその商品を買い取るよう強制されている」というものがあります。
例えば、正月のおせち料理の販売ノルマを設定され、売れない場合は、自分で買い取るよう要求される、というのが典型的な例です。
このような場合、商品の買い取りをする義務はありません。ノルマを達成できない以上、自腹で買うのが当然だ、などと考えなくて結構です。
労働(雇用)契約と商品の売買契約は、まったく違う別個の契約です。商品の買い取りについては、当事者間の合意で成立する契約ですので、買い取りを拒否すれば、それ以上買い取りを強制することはできません。
一番大切なのは、断固として買い取りを拒絶することです。
それでは、無理矢理、商品を買い取らされてしまった場合は、どうすればよいでしょうか。
この場合、事情によっては、脅迫や公序良俗違反として、その売買契約自体が無効とされることがあります。また、無理矢理に商品を買い取らせたことや、執拗に買い取りの勧誘をしたことをもって、違法行為として、不法行為に基づく損害賠償請求をする余地もあるでしょう。
場合によっては、買い取りを拒否したことで、労働条件を悪くされてしまったり、勝手に給料から代金相当額を天引きされてしまったりすることもあるようですが、このような取り扱いは違法ですので、抗議をし、弁護士や労基署にご相談になることをお勧めします。
会社の嫌がらせがひどい場合には、パワハラ等を理由として損害賠償請求を行うことも可能でしょう。