2015.08.20更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

昨日、相続財産たる不動産から発生した賃料について、相続の対象となるか、という問題をお話ししました。相続人全員が、遺産分割の対象として同意した場合は、遺産分割協議の対象とすることができる、という結論であったかと思います。

 

みんなで話し合って、賃料を誰のものにするか、納得して決定することができれば、何の問題もありません。

 

問題は、遺産分割協議で解決することについて、相続人の同意が得られなかった場合です。この場合は、訴訟で賃料の分割について決定されることとなりますが、具体的に、誰に賃料を取得する権利が帰属することとなるのでしょうか。

 

この点、賃料は、その賃料を生み出す不動産を相続した者が、すべて取得するとの考え方があります。これは、不動産を相続した以上、その不動産について生じた賃料は、相続開始時から、すべてその者が取得するのが当然である、という考えに基づくものです。

 

一方、遺産分割から成立するまでに発生した賃料は、相続人が相続分に応じて取得するという考えもあります。これは、遺産分割がなされていない段階では、不動産は相続人らの相続分に応じた共有財産となっているため、それから発生した賃料も、相続分に応じて取得させるべきである、という考えに基づきます。

 

最高裁は、この問題について、2番目の考え方に立つことを明らかにしています。すなわち、被相続人死亡後、遺産分割がなされるまでに生じた賃料は、相続人の誰かが独り占めするのではなく、法定相続分に応じて分けることとされています。

 

なお、遺産分割がなされた後は、その不動産を相続した者が、賃料をすべて取得することとなります(当然ですね。)。

投稿者: 流山法律事務所

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