2015.06.30更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

例えば、夫に多額の借金がある場合、夫は、自分の資産(財産)をもって、その借金を返済しなければならないことはいうまでもありません。

 

それでは、妻も、夫の借金を支払う責任があるのでしょうか。

 

まず、夫の借金について、妻が責任を負うことは、原則としてありません。夫婦とはいえ、独立した個人なのですから、夫の借金について、妻が責任を問われるいわれはないからです。

もちろん、妻が借金をしていたとしても、同様に、原則として夫が返済の義務を負うことはありません。

 

しかし、例外的に、夫の借金について、妻も支払いの責任を負わなければならない場合があります(返済しない場合には、妻名義の財産に対する強制執行の可能性もあります。)。

 

まず、妻が、夫の借金の(連帯)保証人になっている場合です。妻も、夫の借金を保証する(支払う)という約束をしているわけですから、この場合には、夫の借金とはいえ、妻も返済をする義務があります。

 

次に、夫の借金について、妻の財産で担保している場合、例えば、妻名義の不動産に抵当権をつけている場合には、夫の借金とはいえ、妻の財産で返済する義務があります。

 

また、妻名義となっていても、実質的には夫の持ち物であると判断される場合、例えば、妻の名義になっていても、夫名義の通帳から出金したお金で購入した不動産は、夫の財産であるとみなされる可能性がありますので、この場合は、妻名義の財産(不動産)を換金し、夫の借金を支払う必要が出てくる余地があります。

 

さらに、夫名義の借金であっても、その借金が「日常家事債務」といわれるものに該当するのであれば、妻も、その債務の責任を負うこととなります。

 

日常家事債務とは、日用品を買ったり、アパートを借りたりする等、日常の生活を営むに必要な費用についての借金のことです。このような借金は、夫婦全体のためのものですので、借金の名義が夫のものであっても、妻も同様に借金を支払わなければならないのです。

 

配偶者の借金については、基本的に責任を負う必要はありませんが、上記など、例外的に責任を負わなければならない場合がある、と覚えておいていただければと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.29更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

弁護士の仕事をしていると、たくさんの郵便物を発送したり受け取ったりすることがあります。

私が出した郵便物は、おおむね2日くらい後には、相手方に届いているようで、郵便制度とは、とても便利な制度だな、と感心してしまいます。

 

この郵便物に関しては、郵便法という法律があり、郵便について規定をしています。

 

実は、上記の配達日数については、郵便法70条3項4号で、「郵便物について差し出された日から3日以内に送達すること」と定められており、地理的条件や交通事情、天災の影響などの場合を除いて、3日以内(祝休日を除く)に郵送をしなければならないことが定められています。

 

なお、日本郵便のホームページには、郵便物の遅延状況が随時アップロードされています。本日、記載されている例でいうと、①フェリーがドッグに入っているため、沖縄の離島への郵便が遅延しているとか、②火山の噴火の影響で、屋久島への郵便が遅延しているなどの例があるようです。

 

ところで、郵便法は郵便に関する詳細な規定をしているわけではありません。郵便法だけでは、郵便のすべてについて規定することは困難なのです。そのため、郵便法は、日本郵便に「郵便業務管理規程」や「内国郵便約款」などという規則を作らせ、それに基づいて郵便業務をさせています。

 

これらの規則を見ていると、非常に興味深い規定が多々あります。

 

例えば、内国郵便約款第9条4項には、生きた生物を郵送するには、堅牢な瓶などに生物を納め、その生物や排せつ物が漏れないようにすること、との規定があります。そもそも、生物を郵送してはだめなのではないかと思っていましたが、そんなことはないようです。

 

また、同約款45条には、年賀はがきには消印を押さないという規定があります(確認しましたが、確かに押されていませんでした)。こんなことまで規定されているんですね。少し感心しました。

 

同約款74条には、噛みつく犬などの乱暴な動物のいる家には、郵便物を配送しないと規定されています。痒いところに手が届く規定の仕方です。

 

このように、大変に面白い法律・規程・約款ですので、機会がありましたら、ご一読になってみてはいかがでしょうか。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.27更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

京都府警の警察官が、ストーカーをしていたとして、戒告処分を受けたというニュースを見ました。警察官(しかも警視という、相当高位の役職にあったようです)として、あるまじき行為であるというほかありません。

 

ところで、通常の恋愛と、ストーカー行為との間には、その境が判然としない部分があるように思います。

 

例えば、想いを伝えるため、相手の家の前で待っていて、声をかけるという行為は、「純愛」なのか、「つきまとい」なのか、良く分からないところがあるのではないでしょうか。

 

この点、法律は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(通称「ストーカー規制法」という法律で、ストーカー行為を次のように定義しています。

 

特定の者に対する、恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的をもって、本人や親族たちに対して、繰り返して以下の①~⑧の行為をした場合。

 

①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。

 

②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

 

③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。

 

④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

 

⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。

 

⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

 

⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

 

⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

 

 

家の前で待っていて想いを伝えるのは、1~2回くらいなら大丈夫そうですが、何度も繰り返して行うことはダメっぽいですね。断られたら、余りしつこくせずに諦めた方がよさそうです。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.24更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

金融機関にお金を預ける契約(預金契約)の法的性質は「消費寄託契約」であるとされています。

 

消費寄託契約とは、金銭などの代替物(同種の他のもので代替できるもの)を預ける契約で、預かった人(銀行)はその金銭を自由に使用(消費)してよく、預けた人の請求があれば、同種のほかのものをもって返還すればよいとされている契約のことです。

 

具体的にいえば、私が千葉銀行に100万円預けたとします。千葉銀行は、その100万円を使用して、会社などへ貸付をし、利息を取るなどの経済活動をしてかまいません。私が、100万円を返すように千葉銀行に請求すれば、千葉銀行は100万円を返してくれます。もっとも、それは当初預け入れた100万円ではなく、別の100万円(お札の番号の違うもの)で返してくれることになります。

 

ところで、消費寄託契約は、「要物契約」であるとされています。要物契約とは、私が100万円を現実に千葉銀に持って行き、千葉銀がこれを受領することによって成立する契約、ということです。100万円という、預ける「物」を必ず持って行く必「要」があるから、要物契約と言われているのです。

 

それでは、私が100万円を持って行って、窓口の受け皿に置いたところ、店員がそれを取る前に、他の人がそれを盗んで行ってしまった場合、預金契約は成立したということができるでしょうか。

預金契約の成立時期は、どのように捉えるべきなのでしょうか。

 

もし、その100万円を銀行が受領しており、預金契約が成立していたというのであれば、私は100万円を払い出すよう、銀行に請求することができます(窃盗の被害は銀行が負うことになります)。

 

一方、100万円の受領が済んでおらず、預金契約が成立していないとするのであれば、銀行は100万円を払い出す義務を負わないことになります(窃盗の被害は私が負うことになります)。

 

実は、類似の事例が、以前(戦前の話ですが)ありました。

 

最高裁(当時は大審院)は、「預金者が銀行の窓口に現金を差し出し、銀行員がこれを認識してうなずいたとしても、そのままやり掛けの仕事を続けている間に、右現金が盗まれた、という場合は、まだ右現金の占有が銀行に移転していたものとはいえない。」とし、預金契約が成立していないと判断したようです。

 

考えてみれば、ATMを使ってお金を預け入れる際、お金を金銭挿入口に入れた段階(金銭挿入口の「閉じる」ボタンを押していない状態)のときに、お金を盗まれた場合には、銀行に責任追及するのは少し違うような気もします。

 

それと同様に考えるのであれば、窓口でも銀行員がお金をきちんと受け取った段階で、預金契約が成立するとした上記判決は、それなりにうなずけるものもあるように思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.23更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

法律の条文を読んでいると、難しい漢字に出会うことがあります。いくつか例を挙げてみます。

 

①恵沢(憲法前文)

②根抵当権(民法398条の2)

③瑕疵(民法570条)

④図画(刑法175条)

⑤貨物引換証(商法571条)

⑥疎明(民事訴訟法36条)

⑦誣告(刑事訴訟法435条)

 

全部すらすらと読める方は、余りいないのではないでしょうか。兎角、法律は小難しい漢字を使いたがるのです。

 

もっとも、これでも、法律はだいぶ易しい漢字を使うようになりました。

以前(ずっと前のものもありますが)は、以下に例示するように、もっと難しい漢字が使われていたのです(括弧内は「改正前」「旧」の条文です。)。

 

①囲繞地(民法210条)

②剪除(民法233条)

③地窖(民法237条)

④滌除(民法378条)

⑤禱祀(刑法134条)

⑥穏婆(旧刑法332条)

⑦筐匣(民事訴訟法536条)

 

ここまで来ると、漢字変換すら不可能なものも多いです。

弁護士だって、すべて読めるとは思えません(①と④は読める弁護士がほとんどでしょうが。みんな大好き滌除【てきじょ】制度。)。

 

こんな難読漢字まみれの条文を勉強することにならず、本当に良かったと思います。いい時代ですね。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.22更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

延長コードを使って、隣の家のコンセントから電気を拝借していた人が窃盗の疑いで逮捕されたというニュースを見ました。勝手に電気を使用していれば、窃盗になると初めて知った方もいるのではないでしょうか。

 

実は、電気の無断使用が窃盗になるか否かは、かつて議論があったのです。

 

窃盗については、刑法という法律の第235条に規定があります。

 

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

かつて議論になったのは、この条文に規定されている「財物」の意義が明確でなかったからでした。

 

ある説は、「財物」とは有体物、すなわち、空間の一部を占め、有形的存在を持つもの(固体、液体、気体)に限られる、としました(有体物説、といいます。)。

 

普通、窃盗といえば、現金や本など、形あるものが被害品になることがほとんどですから、この解釈は、ある意味、常識に適ったものといえるでしょう。

 

電気は、固体でも液体でも気体でもなく、形なきものですから、この解釈に立てば、窃盗の規定にいう「財物」に当たらないこととなります。

 

一方、「財物」は、有体物に限らず、管理することが可能なものであればよいとする説もありました(管理可能性説、といいます。)。

 

固体、液体、気体に限られず、管理することが可能なものであれば、「財物」に該当するということですから、「財物」の意義をかなり広く解釈したものといえるでしょう。

 

もっとも、財物の意義を、ここまで広く解釈してよいかは疑問があります。

例えば、他人の冷蔵庫に自分のペットボトルを入れて冷やした場合、これは冷気という財物を窃取したことになってしまいかねないのです。

 

このように、かつては大きく上記の2つの説があり、有体物説に立てば電気は「財物」ではなく(窃盗罪が成立しない)、管理可能性説に立てば電気は「財物」となる(窃盗罪が成立する)ことはお分かりいただけたかと思います。

 

この点、裁判所は、電気の窃盗について、管理可能性説に立ち、窃盗罪の成立を認める判決を下していました(明治36年の判決です。)。

 

しかし、この点に関する論争が続いたためか、明治40年に現行刑法が成立したときに、電気窃盗の規定が設けられました。

 

(刑法第245条)

この章の罪については、電気は、財物とみなす。

 

そのため、現在では、電気が窃盗の客体となることに争いはなくなりました。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.20更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

会社を解雇された場合、解雇の無効を争ったとしても、裁判で解雇無効の判決が確定するまでは、原則として復職や給与の支払いを受けることができないものといえます。

 

しかし、給与が支払われなければ、解雇無効を争うどころか、日々の生活にも苦労してしまいかねません。

 

そのような場合、裁判で解雇の問題に決着がつくまで、賃金をこれまで通り支払うよう求めることができます。

これを、賃金仮払い仮処分といいます(判決が出るまで、「仮に」会社に在職しているとして賃金を支払うよう命ずるものですので、「仮」払い「仮」処分というのですね。)。

 

この仮処分自体は、申立ての後、遅くとも2~3か月くらいで決定が出ることがほとんどだと思いますので、賃金の仮払いを受け生活を安定させた後で、じっくりと解雇無効の裁判に臨むことができるのです。

 

この仮処分が下された場合、ほとんどの会社は、その決定に従って賃金を仮払いすることとなると思われます。

 

しかし、時折、裁判所の決定を無視して賃金の仮払いを行わない、悪質な会社もあります。このような場合は、会社に対して強制執行をかけ、賃金の仮払いを実現することとなります。

 

また、それだけでなく、事情によっては、会社の代表者個人に対する損害賠償請求が認められる余地もあります。

会社が仮払いに応じなかったことによって、日常生活に窮する状態が生じる可能性があり、その窮状についての精神的苦痛を慰謝するための慰謝料として、賠償が認められることがあるのです。

 

会社の代表者個人への賠償を認容した判決も、いくつかあるようです。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.19更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、「うるう秒」がなくなるかもしれないというニュースを見ました。

 

うるう秒とは、地球の自転速度が変動するために生じる「ずれ」を修正するために、追加(又は削除)される秒数のことをいいます(ちなみに、「うるう」とは、「余分な」という意味だそうです。とすると、1日が余計に付け加えられる「うるう年」は用法として誤っており、「うるう日」というのが正確なのではないでしょうか)。

 

通常ですと、例えば午前8時59分の1秒後は午前9時になりますが、うるう秒の場合は、午前8時59分60秒となり、1秒が余計に付け加えられることになります。

 

このうるう秒について、調整が手間となり、システム障害が起こってしまう等の弊害が生じることがあります。特に、近年は、生活のあらゆる場面が高度にネットワーク化されていますので、少しの調整ミスが大きな問題を引き起こしかねません。

 

一方で、時間が1秒くらいずれたとしても、生活には何の問題もありませんよね。

 

そのため、「うるう秒は廃止してもいいんじゃないか」という議論が起こることとなったようです。

 

しかし、うるう秒を廃止することは、正確な時間表示を放棄するということでもありますから、反対意見も非常に根強いようです。

 

ところで、日本において、うるう秒を挿入するか否かは、どのようにして決定されるのでしょうか。勝手に挿入していい訳はありませんので、何らかの法的根拠があるはずです。

 

そこで、調べてみたところ、郵政省告示の「無線局運用規則第百四十条の規定に基づく標準周波数局の運用に関する事項」(長い!)なるものが、うるう秒を規定しているようです。

関連しそうな条項を挙げると、以下のとおりとなります。

 

五 通報される標準時は、協定世界時を9時間進めた時刻…とする。

 

七 1 (略)

2 国際間の取決めに従い、毎月1日(1月1日及び7月1日を第一優先日とし、4月1日及び10月1日を第二優先日とする。)の午前9時00分00秒の直前に、協定世界時においてうるう秒の調整が実施される場合がある。その実施については、あらかじめ公表する。

 

分かりやすく言えば、日本の時刻は、世界で話し合って決められた時間に9時間の時差を足したものである、とされているのです。

そのため、世界の話し合いでうるう秒を入れる、と決められれば、自動的に日本にもうるう秒が挿入される、ということになるのです(厳密には少し違うところもあるようですが、概ねこのように理解してよいかと思います)。

 

そして、うるう秒は、1月1日か7月1日(第一優先日の場合)の午前9時00分00秒の直前に、午前8時59分60秒を挿入することで調整するとされてもいます。

過去のうるう秒挿入の日を見ると、いずれも1月1日か7月1日となっていたのにも、ちゃんと理由があったのですね。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.17更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

本日、公職選挙法が改正され、選挙権年齢がが、これまでの20歳以上から18歳以上に引き下げられることとなったそうです。来年夏の参議院議員選挙から、18歳以上の人も選挙権を行使することができるようになります。

 

ところで、今回の選挙権の改正は、昭和20年に改正されて以来、約70年ぶりの改正ということです。

 

当初(明治時代の話です)、選挙権は、「直接国税15円以上納める25歳以上の男子」に限って与えられていました。その後、「直接国税10円以上を納める男子」、「直接国税3円以上を納める男子」と、段階的に選挙権は拡大していきました。

 

大正時代には、「25歳以上の男子」という条件になり、国税の納税額は選挙権の条件ではなくなりました。もっとも、選挙権は一貫して男性のみに与えられており、昭和20年の敗戦後に「20歳以上の男女」に選挙権が与えられるまで、女性には選挙権はありませんでした。

 

18歳以上の国民に選挙権を与えるという今回の改正は、これまでの歴史を踏まえてみれば、極めて先進的なものであり、若者に選挙権が拡大することは意義のあることと思います。

 

もっとも、若年層の投票率が低いことからすれば、新たに選挙権を獲得した人が、どれだけ選挙に行こうと思うか、疑問に思うところもあります。

 

また、選挙権の年齢が引き下げられたことによって、成人年齢等を定めた民法や、少年の犯罪について規定した少年法などにも、影響が出てくる可能性があります。動向を注視したいと考えています。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.16更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先ほど、「消費者問題ニュース」という冊子を読んでいたところ、「偽装質屋の貸金業法・出資法違反につき代表者の会社法429条に基づく責任を認めた上告審判決」という、長い題名の判例紹介が目に留まりました。

 

何を言っているのかよく分からないような題名ですが、簡単にいえば、「質屋の形式を取っても、高金利の貸し付けは駄目ですよ」という判決なのですね。

 

高金利での貸し付けは、貸金業法や出資法といった法律で、規制されています。

そこで、単にお金を高金利で貸すだけでは、すぐに規制されてしまいますので、質屋の形を取って、問題がないように装い、不当な高金利を得ようとするのです。

 

特に、本件は、被害者の年金口座から、自動振替の形で、業者に返金がなされる形式になっており、インターネットの代金回収サービスを、いわば悪用して高金利を得ていたようですので、悪質性は際立っているように感じます。

 

この判決は、会社だけでなく、会社の代表者に対しても損害賠償を認めた点で、非常に重要な判決ということができると思います。だいたいの場合、偽装質屋は問題発覚後、破産してしまいますので、会社の代表者への個人責任が認められれば、被害者の保護にも大いに資するものであると思います。

投稿者: 流山法律事務所

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