2015.06.15更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

法律相談にいらっしゃる方に、時々、「民事訴訟とはどのような制度ですか。」などと質問されることがあります。

なんとなく「民事訴訟」という言葉を知っていても、その実態がどのようなものかまでは、十分に理解していない方も多いのではないでしょうか。

 

民事訴訟とは、当事者間の紛争を解決するため、裁判所が証拠に基づいて、法的な判断を示す手続きのことをいいます。

 

この民事裁判は、原告(訴えを起こす側)が、裁判所に訴状を提出し、訴訟を起こすことによって開始されます。訴状には、裁判所に認めてほしい内容とその理由を記載して提出する必要があります。また、主張を根拠付ける証拠を提出する必要もあります。

 

訴訟が提起されると、裁判所は日程調整をし、初回の裁判の日程を決めます。この期日に出頭せず、何の反論もしなければ、原告の請求通りの判決が下されることとなるでしょう。

 

ですので、被告(訴えを起こされた側)に、不服があるときは、答弁書という書面を提出するか、裁判期日に出頭して、原告の主張を争う必要があります。決して、放っておいてはいけないのです。

 

被告からの反論があれば、原告は、その反論に対し再反論することとなります。勿論、原告・被告ともに、自分の主張を根拠付ける証拠があれば、裁判所に提出し、自分の主張の立証を試みます。

 

双方、主張が尽くされた段階になると、証人や当事者の尋問を行います。

 

このような手続きを経て、主張・立証が尽くされた段階になると、審理を終結し、判決が下されることとなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

例えば、夫が死亡して、相続が発生したとき、夫婦間に子どもがいなければ、法定の相続分は、妻が3分の2、夫の両親が3分の1、となります(もちろん、遺言書のない場合です。)。

 

それでは、まだ産まれていないが、妻のお腹の中に夫の子どもがいた場合は、この法定相続分に影響はあるでしょうか。

 

もちろん、いくらお腹の中にいるとはいえ、まだ産まれて来ていないのですから、本来、このような胎児は、相続を受けることができないはずです。

 

しかし、出生した後に夫(子どもから見れば父)が亡くなったときには、その子に相続が認められるのに対し、たまたま生まれていなかっただけで、一切の相続が認められないというのは、おかしいといえます。

 

法は、一定の親族関係にある者に相続権を与えているのですから、胎児とはいえ、相続する権利を与えるのが妥当でしょう。

 

そこで、法律は、相続について、胎児にも相続権を認めています。

 

 

ですので、上記の例では、妻に2分の1、お腹の子ども(胎児)に2分の1の割合での相続が生じることとなります。

遺産分割の当時は、お腹に子どもがいることに気付かず、遺産分割してしまった後に胎児がいることが発覚した場合は、新たに相続人が判明したことになりますので、遺産分割をやり直すこととなると思います。

 

また、万一、胎児が亡くなってしまった場合(死産の場合)、その胎児は相続をすることが一切できなくなってしまいます。上記の例でいえば、妻が3分の2、夫の両親が3分の1の相続をすることとなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.10更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

不動産の登記簿を調べてみると、相続の登記がなされていないことが時々あります。

例えば、先祖代々受け継がれている土地の名義人が、変更されておらず、まだ祖父母のままであった、ということは、しばしばあることです。

 

もし、登記簿の名義が先祖のものであったとしても、有効に相続がなされているのであれば、不動産に関する権利(所有権)を取得することができます。また、相続の登記は、いつ行ってもよく、期間制限があるわけではありません。

 

ですので、不動産の名義が変更されず、祖先の名義のままになっていても、必ずしも、すぐに問題が生じるわけではありません。

 

しかし、相続の登記は、きちんと行っておくべきです。相続の登記は、相続によって不動産を受け継いだ者が、自分の権利を保護するために行うものであり、相続登記をしていないことによって、思わぬ損害を被ることがあるからです。

 

例えば、不動産名義が祖父母のままになっていると、祖父母に何人も子どもがいた場合、相続が未了であるとして、それぞれの相続分に応じた不動産持分や金銭の請求がなされる可能性もあります。

 

また、祖父母の子どもの中に、借金をしている人がいた場合、債権者が、法定相続分に応じた不動産の持分を差し押さえるということも考えられます。

 

このような問題は、相続登記をきちんとしていれば、生じない問題です。このようなリスクがあることを念頭に、なるべく早い機会(紛争が起こる前)に、相続登記を行い、リスクを軽減しておくことをお勧めします。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.09更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

配偶者がいきなり家から出て行ってしまい、後日、離婚届が郵送されてきた場合、どのように対応すればよいでしょうか。

 

まず、離婚届が郵送されてきただけでは、離婚は成立していません。あなたが離婚届に署名押印しない限り、離婚(協議離婚)は成立しませんので、離婚に納得できないのであれば、離婚届に署名押印してはいけません。

 

状況にもよりますが、配偶者が離婚届を偽造して役所に提出してしまいそうな場合は、念のため、離婚届の不受理申立ての手続きを取ることをおすすめします。

 

次に、あなたが結婚生活を今後どのようにして行きたいか、冷静になって考えることが必要です。

 

離婚も止むを得ないと考えるのであれば、親権や慰謝料、財産分与、養育費等の離婚に付随する問題について、どのような条件での解決を目指すのか、考えてみる必要があると思います。

 

条件がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停委員を間に挟み、解決を図っていくことになるでしょう。

 

一方、どうしても離婚したくないのであれば、配偶者とよく話し合い、問題の解決策を見いだせるように努力すべきです。

相手方が話し合いに応じてこない場合は、夫婦関係円満調整の調停を申し立てる等の方法も考えられます。配偶者が離婚を求めている理由を把握し、その主張を十分検討することも必要です。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.08更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、松戸の弁護士会で、東葛6市(松戸、柏、流山、野田、我孫子、鎌ヶ谷市)の消費生活センター相談員の方々との研修会がありました。

 

午後6時半から約2時間、判例の解説や事例の解説など、盛りだくさんの内容で、みっちりと学習することができました。

 

私は、千葉県における賃貸借契約書の一例を挙げ、国土交通省作成の標準契約書などと比較して、千葉県の賃貸借契約書に問題点が多く存在し、改善の余地があるとの報告をしました。

 

自分が発表をすることに決まってから、賃貸借契約書をじっくりと読んでみましたが、貸主(大家)側に有利過ぎる条項がいくつもあるなど、改めて問題点に気付くことができました。

 

最先端で消費者と向き合っている相談員の方々は、現在の消費問題の動向などを的確に把握しておられ、弁護士としても学ぶところが多かったように感じます。

 

このような研修会がなければ、なかなか相談員の方と触れ合う機会もありませんので、非常に有意義な時間でした。

 

次回は、年末頃に開催するとのことでしたので、必ず参加したいと思っています。

 

 

 

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.07更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

マンションを購入し所有する場合をお考えください。

普通は、マンション一棟すべてを購入するのではなく、一部屋だけを購入することとなると思います。その場合、一棟のマンションを複数の人で所有することになりますが、このような所有形態のことを、区分所有権といいます。

 

さて、マンションの管理者には、区分所有権者(マンションの部屋を所有している者)を集めて、集会(総会)を年に一度は開催しなければならず、また、集会の議長は、その集会の議事について、議事録を作成する義務があります。

 

議事録を作成しない場合は、建物の区分所有に関する法律という法律で、20万円以下の過料という制裁を科されることとなります。

 

例えば、議長が、一応、議事録の案を作成したものの、議事録署名者が訂正を求め、押印しないような場合があります。

そのときにも、議長は議事録案の訂正等を行う等して、適正な議事録の作成をしなければならず、議事録を作成しない場合には、過料の制裁の可能性が出てきてしまいます。

 

議長が議事録の作成をしない場合は、地方裁判所に通知書を提出し、過料の制裁をするよう求めることができます。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.05更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

大阪地方裁判所が、GPSを使用した捜査について、プライバシーを侵害するものであって違法であるとの判断を下したそうです。

 

GPSを使用した捜査については、今年の1月にも、大阪地裁で判決がありました。その判決では、「プライバシーの侵害が大きくない」ことを理由として、GPS捜査は違法でないとの判断が下されています。

 

先の判決については、流山法律事務所のブログでも触れていますように(本年1月28日の記事)、個人のプライバシーを軽視したものであって、疑問を覚えるものでした。

 

今回の判決は、無断でGPSをつけ、長期間、行動を監視したのはプライバシーの侵害に当たること、警察内で令状の取得を検討した形跡もなく、令状主義を軽視したものであること、等を理由とし、違法という判断を下したものであって、人権保護の観点から見ても、妥当な判決というべきでしょう。

 

GPSを使用した捜査は、法律で決められているわけでなく、警察の内規で定められているに過ぎません。いわば、警察の恣意で運用することができるものです。その意味で、プライバシーなどの権利が、捜査の名の下に侵害されてしまう危険性も大きいものと考えられます。

 

今回の判決は、このような危険性を踏まえ、違法判決を下したものといえ、警察の捜査実務に与える影響は大きいと思われます。

 

GPS捜査の必要性があるのであれば、しっかりと法整備を行い、裁判所の令状を得て捜査することにする等、人権に十分配慮した捜査を行う必要があるのではないでしょうか。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.04更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

傷害や窃盗などの刑事事件で、罰金の判決が下されたとします。

そのときには、その額の罰金を納めなければなりませんし、納められなければ、労役場という施設(刑務所の一角を区切って労役場とすることが多いようです。)に収容されることになります。

働いて罰金を納付させる、というイメージです。

 

ところで、警察に逮捕されて勾留された(捕まったままであった)人については、量刑の問題として、その勾留の日数(未決勾留日数といいます)を罰金刑に算入することができます。

 

例えば、以下のような判決が下されることがあるのです。

 

被告人を罰金20万円に処する。

 

未決勾留日数中、その1日を金5000円に換算して、その罰金額に満つるまでの分を、その刑に算入する。

 

このような判決の場合、罰金を納付する必要はありません。捕まっていた間の日数、働いたものとして、罰金に算入してくれるという取扱いになるからです。

これを、「満つるまで算入」と呼んだりします。

 

実は、私が司法修習生(司法試験に合格した後の研修のことです)の弁護修習中に、初めて見た刑事事件で、この「満つるまで算入」がなされました。

当時の私は、このような方法があることを知らなかったので、後から調べて、このような方法があることを知りました。非常に印象に残っている方法です。

 

なお、判決で「満つるまで算入」がなされなかった場合、後になって、「未決勾留の分を算入しろ」と請求することはできません。

投稿者: 流山法律事務所

2015.06.02更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

平成27年6月1日から、改正道路交通法が施行されました。ニュース等でも多く報道されていますが、自転車の走行について、新しい規制がなされることになったとのことです。

 

具体的には、信号無視や通行禁止違反、遮断機が下りた踏切への立ち入り、一時停止違反、歩道での歩行者妨害、酒酔い運転、携帯電話を使用しながらの運転など、14項目に及ぶ自転車運転が危険行為とされました。

 

そして、これらの危険な違反行為をして2回以上摘発された自転車運転者は、公安委員会の命令を受けてから3か月以内の指定期間内に、講習(有料)を受けなければならないこととなっています。

 

この講習を受けなかった場合には、5万円以下の罰金を科されることになっています。

 

最近、自転車の事故が増えており、高額の損害賠償が認められてしまう事例もでてきておりますので、このような規制がなされるのもやむを得ないところでしょうか。

 

このような制度になると、自転車に乗るのが少し躊躇われるところではありますが…。

投稿者: 流山法律事務所

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