2015.05.31更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

流山法律事務所のこれまでのブログの中に、法律をそのまま書き写した部分があります。これについて、著作権を侵害しているのではないか、とお考えになった方もいらっしゃるかも知れません。

 

著作権とは、ある人が、自分で創作・表現した文学、美術、学術、音楽などの表現物(著作物といいます)を独占することができる権利のことです。例えば、ある小説(著作物)は、それを創作・表現した小説家に著作権が帰属することになります。

 

著作権は法律によって保護されますが、例外的に、著作権が及ばないものもあります。著作権法13条には、次のような規定がなされています。

 

第13条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。

一  憲法その他の法令

二  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人…が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの

三  裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの

四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

 

つまり、法律は著作権保護の対象外となっているのです。また、国などの出す通達、裁判所の出す判決なども、著作権として保護されません。法律などに、いちいち著作権が発生するとするならば、社会にとって不利益であるという価値判断があるのでしょう。

 

したがって、法律をそのまま書き写している流山法律事務所のブログは、著作権法に違反していないということになります。

 

もっとも、法律を一覧表にまとめたり、独自の項目立てを行ったりして、見やすくするなどした場合には、その人の創意工夫があり、創作・表現がなされたと評価されることもあり得ます。そのときには、その一覧表をそのまま引用することは、著作権法に違反し得ることとなります。

 

なお、著作権保護の例外としては、上記のほかに、私的利用目的の複製や図書館・教育機関での複製、正当な引用、教科書への掲載、試験問題としての使用目的の複製、視覚・聴覚障がい者のための複製、営利を目的としない上演、時事の事件の報道のための利用、裁判手続きのための利用などがあります。

 

著作権法は短い法律ですので、詳細をお知りになりたい方は、原文に当たられることをお勧めします。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.30更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先週、足利の裁判所に行く際、高速道路を使用しました。群馬県にいるときは、かなりの頻度で拘束道路を使っていましたが、千葉に来てからは余り使わなくなっており、久々の高速に、少し緊張しました。

 

さて、高速道路は、普通の一般道とは少し違った規制がなされています。

 

例えば、道路交通法上、高速道路を通行するときは、政令で定められている最低速度以上の速度で走行しなければならないこととなっています(一般道では、標識で最低速度が示されている場合)。

 

また、自動車は、高速の本線車道においては、横断し、転回し、又は後退してはならないとされています。

 

さらに、自動車が本線車道に入ろうとする場合、当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない(先に走っている車の走行を妨害するなよ、ということですね)という規制もあります。

 

高速道路での駐車や停車も禁止されています。高速道路で停車されたら、非常に危険ですからね。

 

高速を走るときは、事前に車の整備をきちんとチェックせよ、との規定もあります。これをせずに、高速で問題が生じた場合には、処罰の可能性もあります。

 

何の気なしに使用していた高速道路ですが、じっくり見てみると、厳格な規制がなされているものなのですね。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.28更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、刑務所で出された食事のカロリーが、規程で決められているカロリーよりも低い月があったとして、受刑者に賠償が認められた判決がありました。

主食が1日当たり1300キロカロリーと定められていたのに、実際は1099キロカロリー分の主食しか与えられていなかったということのようです。

 

これについて、賠償が認められたのは当然というべきでしょう。受刑者は、刑務作業という罰を受けるのであって、食事を減らされる等の健康に直接影響を与える罰を与えられるべきではないと考えるからです。

 

しかも、このカロリーについては、規程でしっかりと定まっているもののようですので、それに反してしまったことに、反論のしようもないと思われます。

 

しかし、主食や副食のカロリーまで、きちんと規程されているんですね。余り気にしたことがありませんでしたので、少し驚きました。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.26更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

アパートを建て替えるなどの理由で、退去を求められるに当たって、立退料を支払ってもらえることがあります。

実際に、私も、建て替えのため退去を求められ、立退料をもらったことがあります。

 

しかし、このような立退料は、必ず支払って貰えるものではありません。支払ってもらえないこともありますし、支払ってもらえたとしても、低額の支払いしか受けられないこともあります。

 

立退料の支払いの有無やその価額について、法律で定められた基準はありませんが、一般的に、「大家がどれだけその物件から退去して欲しいか」「退去によって賃借人が被る不利益がどれだけ大きいか」などの事情によって決まるといえるでしょう。

 

例えば、物件を高額で購入してくれる人がいて、早く売却したいなどという事情が大家側にあれば、多少高めの立退料を支払ってでも、早く退去して欲しいと思うでしょう。

 

また、立ち退いてもらう物件の条件が非常に良かった場合、例えば、立地条件や広さ、賃料など、利用価値が高かった場合には、それから立ち退く賃借人に、大きな迷惑を掛けることになりますので、比較的高額の立退料を支払ってもらえるかもしれません。

 

このほかにも、話し合いをするまでもなく、立退きを求める裁判を起こし、大家が勝てる状況であれば、立退料を支払ってもらえる可能性は低くなると思われます。

 

このように、大家側の事情と賃借人側の事情により、立退料は決定されるものと考えられます。

上記のほかにも、様々な事情があり得るところであり、それぞれの個別のケースに合わせ、支払いの有無、その額について、話し合いをすることとなるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.23更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

貸したお金を返してもらえない場合、どのような順番・方法により、お金を回収するのがよいのでしょうか。

 

お金を回収するには、一般的に、①請求、②法的手続(訴訟、調停など)、③強制執行、という段階を踏むことが多いと思います。

 

まず、①請求ですが、具体的には、内容証明郵便などによって、相手に対し、お金を返済するように求める方法です。この請求だけで、相手がお金を返してくれるのであれば、一番手軽で良い方法です。

 

もちろん、請求だけではお金を返してくれない場合もあります。

その場合には、当事者同士の話し合いで解決できないわけですから、②法的手続によって、お金を返済するよう求めて行くこととなります。具体的には、裁判を起こし、お金を貸していることを裁判所に認めてもらって、お金を返すよう命ずる判決を下してもらうこととなります。

 

この判決で、相手がお金を返してくれればいいのですが、判決を下されても、お金を返してくれないこともあります。そのようなときは、③強制執行によって、お金を回収することとなります。

具体的には、債務者の給料を差し押さえたり、預金を差し押さえたりして、お金の回収を図ることとなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.22更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

本日、野田市役所において、東葛六市無料法律相談会に、担当弁護士として参加して来ました。野田市の相談会は盛況で、行った甲斐がありました。

 

野田市の市役所は、私が高校受験、大学受験、司法試験などの勉強をしていたことのある場所で、非常に思い入れのある場所です。

 

昔は、7階にスペースがあって、そこを占拠して勉強することができたのですが、今回行ってみたところ、教育関係の部署が入ってしまっており、かつての勉強スペースはなくなってしまっていました。

しかし、8階のテーブル席などは、そのまま、まだ残っており、とても懐かしく感じました。

 

意外と、当時の面影が残っており、嬉しい限りです。

 

また、機会があれば、是非、法律相談会に参加したいと思っています。

 

野田市役所

野田市役所正面

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.21更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

最近、書面提出の〆切が重なったため、少しバタバタしていました。予定どおりに書面を作成して提出する、というのは、意外と大変なことです。数か月に1度は、〆切が重なって、大変になってしまうのですが、今回は、どうにか乗り切ることができました。

 

さて、私が、〆切に苦しんでいた最中に、公判への出廷を拒んだ弁護人に、過料3万円の支払いを命じた決定が、最高裁で確定したとのニュースを耳にしました。

 

被告人が、手錠・腰縄をつけて裁判に出廷することを拒否したことから、弁護人もそれに同調し、出廷を拒否した事案のようです。

弁護人に、過料の制裁がなされることは、非常に珍しいのではないかと思います。

 

この過料については、刑事訴訟法278条の2に規定がなされています。

 

その条文は、概要、

①裁判所は必要なとき、弁護人に対して出頭・在廷を命じることができる(出頭在廷命令)、

②弁護人が、正当な理由なく命令に従わないときは、10万円以下の過料の決定を下すことができる、

③決定をしたときは、弁護士会へ「適当な処置」(懲戒処分、のことでしょう)を取ることを請求する。

との規定がなされているのです。

 

弁護士がいないと裁判が開けず、結果として裁判に時間がかかってしまうため、それを防止する目的で規定されたという経緯があります。

 

上記の件では、弁護人が出頭しないため、裁判所が出頭在廷命令を出したにもかかわらず、弁護人が不出頭を続けたため、過料の制裁がなされたものと思われます。

 

事案の詳細を知っている訳ではありませんので、当該弁護人の判断の当否は何とも言いようがありませんが、手錠・腰縄をつけたまま入廷しなければならない現状には、少なからず問題があるように思います。

この点については、改善の方向に向かってほしいものです。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.16更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

ご相談者から、「裁判をするといくら費用がかかりますか」と聞かれることがあります。

 

民事訴訟は、基本的に個人が裁判所を利用して紛争解決を図るものですから、それなりの費用負担をしなければなりません。民事の裁判は、基本的に費用を当事者が支払わなければならないのです。

 

裁判の際にかかる費用は、大きく分けて次のようなものがあります。

 

1 印紙代

訴える額によって、訴状に収入印紙を貼らなければなりません。例えば、100万円を請求する訴訟を提起するときは1万円分、1億円請求するときには32万円分の印紙を貼る必要があります。

 

2 郵券(切手)代

訴状や書類を相手方に郵送する費用などに充てるため、切手を納める必要があります。おおむね、6000円~1万円程度を考えておけばよいでしょう。

 

3 各種実費

証人を呼び出す場合の呼出費用や旅行日当、鑑定をする場合の鑑定費用などがかかる場合があります。その場合には、必要な費用を納める必要があります。

 

4 弁護士費用

訴訟をご本人でやらず、弁護士を頼む場合には、弁護士費用がかかります。

大体の弁護士費用ですが、請求金額や法律事務所によって異なりますが、訴訟価額の15%~25%程度ではないかと思います。例えば、100万円を請求して勝訴した場合、着手金+報酬金で15万円~25万円くらいの弁護士費用がかかるということです。

 

なお、遠距離の裁判所へ行くよう依頼する場合には、交通費と日当を請求されることがありますので、ご注意ください。

 

以上からして、例えば100万円を請求して勝訴した場合、費用は印紙代1万+郵券代1万円+弁護士費用(20万円)の合計22万円程度かかるものといえます(このほかにかかった実費は別途負担となるでしょう。)

 

もちろん、裁判で請求が認められなければ、印紙代や郵券代、弁護士費用(成功報酬金を除いた分)は、赤字となってしまうこととなります。また、裁判で勝っても、相手に資力がなく、お金が回収できないときも、同じく赤字になってしまうことがあるでしょう。

相手の資力等を十分吟味し、費用対効果を考えて対応すべきです。

 

なお、勝訴したときは、印紙代や郵券代については相手に訴訟費用として請求することができます(弁護士費用は請求できません。)。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.14更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

 

今日は、自己破産の債務者審尋手続のため、さいたま地方裁判所に行って来ました。

さいたま地方裁判所に行くのは久しぶりでしたので、途中、少し道に迷いそうになりましたが(駅から裁判所までは、ほぼ直線で行けるはずなんですが…)、道を聞きながら、無事にたどり着くことができました。

 

さいたま地裁も、A棟からD棟まで、4つの棟に分かれていますので、目当ての書記官室を見つけ出すのもまた一苦労しました。

 

幸いなことに、事件自体は問題もなく、すぐに終わることができましたので、肩の荷が下りましたが、帰りもちょっと道に迷った挙句、帰りの電車を間違えて、与野まで行ってしまうという始末。

普段はこんなにミスが重なることはないんですが…。

投稿者: 流山法律事務所

2015.05.13更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

会社は、労働者を解雇しようとしても、その解雇が、正当な理由のない権利濫用と評価されるものであれば、解雇が無効となるものとされていますが、これ以外にも、法律上、会社が従業員を解雇することができない場合が定められていることがあります。

 

例えば、労働基準法104条2項には、従業員が労基署等に相談したことを理由として解雇することができないとの規定があります。このようにしないと、解雇が怖くて、労基署に相談する人がいなくなってしまうからでしょう。

 

また、労働者が、業務上、怪我をしたり病気になったりした場合は、その治療期間中、解雇してはならないこととなっています(労基法19条)。仕事をしていて怪我等をさせたのだから、治るまで面倒を見ろ、ということでしょう。

 

このほかにも、労基法には、国籍や信条、社会的身分を理由として解雇してはならないという規定(3条)などがあります。

 

労基法以外にも、解雇を制限する規定があります。

例えば、従業員が育児休業をしようとしたり、実際にしたことを理由として、解雇することはできません(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律10条)。介護のための休業についても、それを理由として解雇することもできません(同法16条)。

 

また、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律という法律には、性別を理由とする解雇を否定する規定があります(同法6条4号)。この法律には、9条にも、女性の労働者の結婚、妊娠、出産、出産前後の休業をしたことを理由とする解雇を禁止する規定も設けられています。

 

組合活動を理由とする解雇もすることができません。労働組合法7条1号には、労働組合の組合員であることや、労働組合の加入・結成、組合として正当な活動をしたこと、を理由とする解雇は、許されないものと規定されています(いわゆる「不当労働行為」)。

 

さらに、会社の不正行為を公益通報した場合にも、その通報を理由として解雇をすることはできません(公益通報者保護法3条)。

 

このように、会社には従業員を自由に解雇できない場合がたくさんあります。

労働者としては、いざ解雇されたとき、その解雇が解雇禁止の条文に抵触する場合があるのではないか、検討してみる必要があるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

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