2015.05.13更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

会社は、労働者を解雇しようとしても、その解雇が、正当な理由のない権利濫用と評価されるものであれば、解雇が無効となるものとされていますが、これ以外にも、法律上、会社が従業員を解雇することができない場合が定められていることがあります。

 

例えば、労働基準法104条2項には、従業員が労基署等に相談したことを理由として解雇することができないとの規定があります。このようにしないと、解雇が怖くて、労基署に相談する人がいなくなってしまうからでしょう。

 

また、労働者が、業務上、怪我をしたり病気になったりした場合は、その治療期間中、解雇してはならないこととなっています(労基法19条)。仕事をしていて怪我等をさせたのだから、治るまで面倒を見ろ、ということでしょう。

 

このほかにも、労基法には、国籍や信条、社会的身分を理由として解雇してはならないという規定(3条)などがあります。

 

労基法以外にも、解雇を制限する規定があります。

例えば、従業員が育児休業をしようとしたり、実際にしたことを理由として、解雇することはできません(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律10条)。介護のための休業についても、それを理由として解雇することもできません(同法16条)。

 

また、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律という法律には、性別を理由とする解雇を否定する規定があります(同法6条4号)。この法律には、9条にも、女性の労働者の結婚、妊娠、出産、出産前後の休業をしたことを理由とする解雇を禁止する規定も設けられています。

 

組合活動を理由とする解雇もすることができません。労働組合法7条1号には、労働組合の組合員であることや、労働組合の加入・結成、組合として正当な活動をしたこと、を理由とする解雇は、許されないものと規定されています(いわゆる「不当労働行為」)。

 

さらに、会社の不正行為を公益通報した場合にも、その通報を理由として解雇をすることはできません(公益通報者保護法3条)。

 

このように、会社には従業員を自由に解雇できない場合がたくさんあります。

労働者としては、いざ解雇されたとき、その解雇が解雇禁止の条文に抵触する場合があるのではないか、検討してみる必要があるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

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