2015.07.20更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

弁護士とはいえ、すべての法律の条文を暗記しているわけではありません。

 

ほとんどの弁護士は、何という名前の法律の、大体この辺りに条文があったなぁ、という程度に漠然と記憶しておき、相談があったときには、六法全書を参照する、という程度の記憶であろうと思います。

 

とはいえ、有名な条文は、きちんと暗記していることが多いです。今日は、そのような有名な条文の中から、「公序良俗」の条文をご紹介します。

 

この条文は、民法90条に「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」と規定されているものです。弁護士に民法90条は何を規定していますか、と聞けば、公序良俗、ときちんと答えてくれるはずです。

 

さて、公序良俗とは、「公の秩序又は善良の風俗」の略ですが、簡単にいえば、一般的な倫理ということができるでしょう。上記の公序良俗の条文は、倫理に反することをしたら、その行為は無効だぞ、ということを述べているのです。

 

どのような行為が「公序良俗」に反するものになるかは、それぞれの行為を具体的に検討する必要があります。時代によっても変わり得る概念といえるでしょう。公序良俗の規定自体は、明治29年の制定ですので、そのときに想定された「公序良俗」と現代の「公序良俗」とは、おのずから違うものであると思います。

 

とはいえ、公序良俗に反するか否かを考えるに当たって、まったく基準がないわけでもありません。一般に公序良俗は、①財産秩序に反するもの、②倫理的秩序に反するもの、③自由・人権を侵害するもの、の3つに分類されることが多いです。

 

①財産秩序に反するものとは、例えばネズミ講のように犯罪性のあるもの、賭博など射幸性の高いもの、などが例として挙げられます。裁判では、ホステスに客の飲み代のツケを保証させるシステムを公序良俗違反としたものもあります。

 

②倫理秩序に反するものとは、例えば売春契約や妾契約のようなものです。

また、不倫相手に「妻と別れて、君と結婚するよ」と約束したといっても、それは公序良俗に反しますので、その約束を履行しないことを理由とした慰謝料の請求はできないこととなります。

裁判では、裏口入学をさせるとの契約が、公序良俗違反とされたことがあるようです。

 

③自由・人権を侵害するもの

これは、説明するまでもないように思いますが、基本的人権を侵害するような行為は、公序良俗違反となります。

雇用契約を締結するにあたって、男女を差別するような雇用契約とすることは、人権を侵害するものとして、公序良俗違反となるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

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