2018.05.25更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

今回,たまたま,行政法の「理由付記」について学び直す機会がありました。備忘として,整理した内容を以下に上げておきます。

 

理由付記とは,行政処分をするに際して,その理由を処分書に付記して相手方に告知することをいいます。理由付記の制度は,行政手続法8条1項,同14条1項に規定されている行政上の義務であり,理由付記が不十分又は欠如していた場合,当該不利益処分は無効となるべきものとなります(最判昭和60年1月22日 民集39巻1号1頁 判時1145号28頁,最判昭和38年5月3日,最判昭和37年12月26日民集16巻12号2557頁等)。

 

法令上,上記理由付記が要請されているのは,以下の理由によります(最判昭和49年4月25日民集28巻3号405頁,最判昭和49年6月11日判時745号46頁等)。

①行政決定を行う行政庁の判断の慎重さと合理性を担保し,その恣意を抑制する(行政手続の適正化の機能)。

②行政庁の判断の根拠を開示させる(決定過程開示の機能)。

③申請者の不服申立に便宜を与える。

 

このような理由からすれば,法令上要請されている理由付記の程度は,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否処分がなされたかを,申請者においてその記載自体から了知し得るものでなければなりません。単に根拠規定を示すだけでは,理由付記として不十分であると考えられています(塩野宏 行政法Ⅰ[第四版]271頁,宇賀克也 行政法概論Ⅰ 行政法総論355頁以下,上記最判昭和60年1月22日民集39巻1号1頁 判時1145号28頁,最判昭和38年5月31日民集17巻4号617頁,最判平成4年12月10日等判例多数)。

 

次回に,理由付記の程度について,具体的な判例を基に検討します。

投稿者: 流山法律事務所

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