流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
お子さんが、不適切と思われる者(例えば暴力団関係者)と同棲し、結婚を希望している場合、親としてお子さんをその者から引き離すことができるのでしょうか。
まず、お子さんが成年している場合、結婚は当事者の同意でできてしまいますので、お子さんの意思が固い場合、親としてできることは、説得し翻意を促す以上のことはできないと思われます。
次に、お子さんが未成年者の場合はどうでしょうか。例えば、お子さんがまだ小学生である場合(ほとんどないケースでしょうが)のように、お子さんの判断能力がないと判断される場合には、子どもの連れ去りの問題として、警察に相談する(誘拐に当たり得ます)とか、子の引き渡し請求を行うなどの方法により、お子さんを引き離すことが可能でしょう。
問題は、お子さんが高校生くらいで、意思能力が十分に備わっていると考えられる場合です。この場合は、お子さんの意思で同棲したのであれば、連れ去りには当たりませんので、お子さんを引き離すことは難しくなってきます。
民法上、親権者は、子どもについて、住む場所を決める権利(居所指定権といいます。)がありますので、お子さんに住む場所に戻ってくるよう求めることもできますが、お子さんがそれに従わない場合には、無理矢理連れてくることができませんので、実効性に乏しいものといえます。
お子さんが説得に応じない場合、ご両親としては、お子さんに対し、同棲をやめて居所に帰ってくるよう、説得をするほかなさそうです。
なお、お子さんが結婚を希望したとしても、未成年者であるうちは、結婚には親権者の同意が必要ですので、同意をしなければ、結婚をさせないことは可能です。もっとも、籍を入れなくても、事実上の結婚生活(事実婚)をすることは可能ですし、上記のとおりお子さんが成人すれば、結婚は当事者の意思のみでできてしまいますので、結婚を妨げることはできなくなってしまうでしょう。