流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
親族が亡くなり、相続が生じることがあります。そのとき、相続人(相続を受ける人)が成人であれば、その人が相続の手続きを行えば良いので、基本的に問題はありません。しかし、相続人が未成年者であった場合、未成年者は単独で遺産分割の手続きをすることができないため、問題が生じます。
このような場合は、未成年者の代理人(ほとんどの場合は、親権者である親と思われます)が未成年者に代わって、遺産分割の話し合いなどの手続きを行う必要があります。
ここで、気を付けなければならないのは、未成年者の親も相続人である場合です。例えば、父、母、子どもがいる家庭で、父が死亡したとき、子どもだけでなく、母も相続人となりますが、そのような場合がこれに当たります。
なぜ、この場合に気を付けないといけないかというと、親と子の利害が対立するからです。仮に、父の遺産が100万円であった場合、法律では半分の50万円ずつ分けることとなりますが、母が子供を代理してよいとすると、母が子供の相続分を放棄して、100万円すべてを独り占めすることが可能となってしまいます。
このような結論が不当であることはいうまでもありません。そこで、親と子どもの利害が対立しているときは、家庭裁判所に申し立てて、子どもに「特別代理人」という人を選任し、相続の手続きをしてもらうこととなります。
特別代理人を選ばずに遺産分割協議等を行ったときには、その遺産分割協議等は無効になってしまいますので、十分に気をつけていただきたいと思います。
なお、相続人が成人していたとしても、何らかの理由で、相続の手続きができない場合があります。例えば、精神上の障害があり、相続の手続きを行うための判断能力がない人などがこの場合に当たります。
このようなときは、家庭裁判所に成年後見人選任を申し立て、成年後見人という人を選んでもらう必要があります。成年後見人は、判断能力を欠く人の代わりに、財産に関する行為を行うことができますので、遺産分割の話し合いをしてもらい、遺産分割協議書を作成するなど、適切な手続きをしてもらうことができます。