2015.07.14更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

以前にもお話ししたことがあるかと思いますが、民法には、「消滅時効」という制度があります。これは、一定期間、権利が行使されない場合、その権利を消滅させる制度で、永続した事実関係を尊重し、かつその間の複雑な権利関係の争いを避けるところに、この制度の趣旨があります。

 

ところで、家を借りて生活していると、家賃や管理費など、いろいろな費用がかかります。これらの費用についても、一定の期間、権利行使されない場合には、消滅時効の援用により消滅してしまう(すなわち、家賃等を支払う義務がなくなる)可能性があります。

 

家賃についてですが、毎月、定期的に家賃を支払う約束になっている場合は、消滅時効の期間は5年となっています。ほとんどの方は、毎月1回、家賃を支払う契約になっていると思われますので、家賃の消滅時効期間は5年である、と覚えておけば、まず間違いはないでしょう。

 

もっとも、滞納と支払いを繰り返しているような場合、支払われた家賃は、通常は古い滞納分の家賃に充当されることとなりますので、注意が必要です。

 

例えば、平成22年1月分~3月分の家賃を滞納したが、それ以降は約束どおり家賃を支払っているような場合は、通常、平成22年4月に支払った分が平成22年1月の滞納分に充当され(平成22年4月分は滞納扱いとなる)、平成22年5月に支払った分が平成22年2月の滞納分に充当され…という処理になります。

 

すなわち、上記の例では、直近3か月(平成27年7月分、6月分、5月分)が滞納になるだけで、消滅時効の期間を満たしていないこととなります。

 

なお、マンション等の管理費についてですが、これについての消滅時効期間も、家賃と同様、5年間とされています。この点については、争いがあったようですが、最高裁判所が5年とするとの判断を下し、決着した問題です。

投稿者: 流山法律事務所

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