2015.06.05更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

大阪地方裁判所が、GPSを使用した捜査について、プライバシーを侵害するものであって違法であるとの判断を下したそうです。

 

GPSを使用した捜査については、今年の1月にも、大阪地裁で判決がありました。その判決では、「プライバシーの侵害が大きくない」ことを理由として、GPS捜査は違法でないとの判断が下されています。

 

先の判決については、流山法律事務所のブログでも触れていますように(本年1月28日の記事)、個人のプライバシーを軽視したものであって、疑問を覚えるものでした。

 

今回の判決は、無断でGPSをつけ、長期間、行動を監視したのはプライバシーの侵害に当たること、警察内で令状の取得を検討した形跡もなく、令状主義を軽視したものであること、等を理由とし、違法という判断を下したものであって、人権保護の観点から見ても、妥当な判決というべきでしょう。

 

GPSを使用した捜査は、法律で決められているわけでなく、警察の内規で定められているに過ぎません。いわば、警察の恣意で運用することができるものです。その意味で、プライバシーなどの権利が、捜査の名の下に侵害されてしまう危険性も大きいものと考えられます。

 

今回の判決は、このような危険性を踏まえ、違法判決を下したものといえ、警察の捜査実務に与える影響は大きいと思われます。

 

GPS捜査の必要性があるのであれば、しっかりと法整備を行い、裁判所の令状を得て捜査することにする等、人権に十分配慮した捜査を行う必要があるのではないでしょうか。

投稿者: 流山法律事務所

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