流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
会社に就職するとき、身元保証書を差し入れるように求められることがあります。
会社は、面接などをしているとはいえ、まったくの他人を雇うわけですから、何か事件があったときなどに、そのリスクを回避するため、身元保証書の差し入れを求めるわけです。
このような場合、親族や知人などに頼んで、身元保証人になってもらうことが多いのではないかと思います。
しかし、一旦、身元保証人になったからといって、いつまでも身元保証をしなければならないとすると、それは身元保証人にとって過酷となってしまいかねません。
特に、人間というものは、年を取る毎に変わっていくもの。真面目な人が、数年の環境の変化でギャンブルにはまったり酒に溺れたりすることも、時折あることではないでしょうか。
そこで、身元保証人の義務を軽減する法律が規定されています。「身元保証に関する法律」という法律です。その法律には、概要、以下のような規定がなされています。
1条 期間を定めずにされた身元保証は、成立の日より原則3年(一定の場合5年)、効力を有する。
2条 5年を超える身元保証はできない。更新する場合も、更新のときから5年を超える身元保証はできない。
3条 会社は、従業員が不誠実などであって身元保証人の責任が発生しそうな場合や、仕事内容の変更や転勤などで身元保証人の監督が困難になりそうな場合などは、身元保証人にその内容を通知しなければならない。
4条 上記の通知などで、前条の事実があることが判明したときは、身元保証は解除(解約)することができる。
このように、身元保証は原則3年間有効ですので、その有効期間が過ぎれば、当然、身元保証人の義務を免れることとなります。
また、身元保証の有効期間であっても、保証をしてあげた従業員が不誠実な行動をしていたり、異動、転勤などがあったりした場合には、身元保証を解除して、その責任から免れる余地があります。
その場合には、会社に身元保証を解除する旨の通知を内容証明郵便などで出しておけばよいこととなります。