2015.04.05更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

交通事故に遭ったとき、怪我の状況によっては、仕事を休まなければならなくなってしまうことがあります。このようなときは、その休業期間分の得られるはずだった収入について、「休業損害」として損害賠償請求できることがあります。

 

怪我の治療の必要がある場合は、怪我が治って職場に復帰するまで、後遺障害が残ってしまった場合は、症状固定時(これ以上、障害がよくならないと診断されたとき、とお考えください。)まで、死亡してしまったときは、死亡時まで、それぞれ休業損害として賠償を受けることができます。

(なお、症状固定時以降や、死亡時以降については、「逸失利益」という項目で、損害賠償の請求をすることができます。)

 

休業損害として賠償される額は、1日当たりの収入に休業日数を乗じて計算されます。例えば、一日1万円稼ぐ人の場合、10日休業したら、1万円×10日で10万円の休業損害が賠償されることとなります。

 

しかし、この「一日当たりの収入」をどのように考えるか、非常に難しい問題があります。

会社員や公務員の方のように、月当たりの給与額があまり変動しない方であれば、比較的容易に算定することができるのですが、例えば、自営業者のように、月によって売り上げが大きく変動する人の場合は、どの月を基準にして考えるかで、休業損害額に大きな差が出てしまうからです。

 

基本的には、前年度の確定申告書などから年収を証明し、それを基礎にして一日当たりの収入を計算することが多いです。

もっとも、自営業者の方の中には、経費を多く算入し、年収を少なくしている方もおりますので、確定申告書を基にすると、休業損害額が少なすぎてしまうこともあり、非常に悩ましいところです。

 

また、火事従事者(例えば「主婦」)の方が交通事故に遭ったときに、「一日当たりの収入」をどう考えるかも、よく、問題となります。

 

この場合は、「賃金センサス」と呼ばれる表を使って、休業損害額を算定する、というのが、裁判所の考え方でしょう。

賃金センサスとは、統計資料で、性別、年齢別の平均賃金などが記載されている表のことです。この表をもとにして、収入額を算定することによって、適切な休業損害額を計算することができるのです。

投稿者: 流山法律事務所

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