2015.04.20更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

建物賃貸借契約においては、家から退去するときに、その家を「原状回復」して返還しなければならないと規定されていることが多いと思います。

 

私の自宅の賃貸借契約書でも、「本物件の明渡し時において、賃借人は、賃借人又はその同居人、訪問者の故意過失により本物件及び当該建物に破損、汚損等の損害を与えたときは、賃貸人の承諾の下に賃借人の費用負担で原状回復及び損害賠償しなければならない。」という、原状回復の規定があります。

 

もっとも、この「原状回復」とは、借りた家に入居する前の状態に戻すということではありません。

あくまで、賃借人の故意過失、善管注意義務違反(きちんと管理していなかったこと、とお考えください。)などによって生じた家屋の劣化を回復する義務があるに過ぎないと解釈されています(年が経つごとに生じる経年劣化や通常損耗については、賃貸人がその損失を負担すべきであるとの考えに基づくのでしょう。)。

 

具体的には、冷蔵庫などを設置したときに生じる床の凹み、畳やフローリングの自然変色、軽微な画鋲の穴、建物自体の欠陥によって発生した損害などは、基本的に賃貸人が行うべきものであると考えられます。

 

一方、家をきちんと管理していないで発生したカビ、子供やペットによる床や壁の傷など、適切に管理していれば防げたであろう損害については、基本的に賃借人が負担すべきであるといえます。

 

なお、上記に関しては、賃貸借契約書の中で、別の定めが規定されている場合もありますので、注意が必要です。

投稿者: 流山法律事務所

top_btn11_sp.png
04-7150-8810 メールでのお問い合わせ
弁護士ブログ よくある質問 解決事例 流山法律事務所 離婚・男女問題相談サイト