2015.03.17更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

大阪地方検察庁が、裁判中の被告人が居住している拘置所を捜索し、弁護人宛の手紙などを差し押さえた問題で、昨日、大阪地方裁判所は、捜索の必要性を欠くと判断し、110万円の支払いを国に命じました。

この判決は、検察側の行き過ぎた捜索差押を厳しく非難するものであり、結論として妥当であると思います。

 

被告人と弁護人との間のやり取りについては、その秘密が保証されています[秘密交通権]。これは、捕まっている人にとっては、弁護人の助言や援助が重要であるため、その助言・援助を受ける機会を実質的に確保する必要があるからです。

 

弁護人への手紙を差し押さえるということは、明らかに被告人と弁護人とのやり取りを明らかにするものであり、秘密交通権の侵害となるのは当然であるといえます。

 

本件事件の被告人は、強盗事件で逮捕されていたようですが、その被告人の犯罪を証明するために、拘置所内を捜索差押する必要性がそもそもあったのかさえ、疑問に思います。

 

報道によれば、共犯者との間の口裏合わせの可能性を捜査するためであったようですが、とすれば、なぜ弁護人宛の手紙を差し押さえる必要があったのでしょうか(弁護人が証拠隠滅を図ると疑っていたということなのでしょうか?)。

 

この判決は、捜索差押令状を発した裁判官については、違法でなかったとしているようですが、拘置所内を捜索されれば、弁護人とのやり取りが明らかになってしまうおそれが大きいことは明らかです。

 

そもそも、捜索差押を許可した裁判官にも問題があるというべきです。

投稿者: 流山法律事務所

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