2015.03.16更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

私は、大学生のときから15年ほど一人暮らしをしていますが、その間に7~8回も引っ越しをしました。しばらく同じ所に住んでいると、その家に飽きてしまい、引っ越しをしたくなってくるのです。

 

ところで、新居を借りる際、普通は「賃貸借契約書」という契約を大家さんと取り交わします。その契約書に、ときどき、「家賃の支払を1回でも遅延したときは、催告なく賃貸借契約を解除できる」などという内容の規定がなされていることがあります(賃貸借契約書をお持ちの方は、一読なさってみてはいかがでしょうか。)。

 

これを文字どおり読むと、賃借人からすれば、例え1日でも賃料の支払が遅れれば、家から追い出されてしまうことになりますので、非常に不利な内容の規定ということになります。

 

このような、賃借人に非常に不利な内容の規定は、果たして有効なのでしょうか。

 

ここで、家の賃貸借契約とは、どのような契約なのか、考えてみる必要があります。賃貸借契約とは、大家さんが家を賃借人に使用させ、賃借人はその対価として賃料(家賃)を支払う契約です。そして、通常、賃貸借契約は決められた期間(例えば2年間)続く契約(継続的契約、といいます。)です。

 

そして、このような継続的契約は、「当事者間の信頼関係」に基づいて締結されるものといえます(信頼できないのであれば、何年間も継続して契約しようとは思いませんよね。)。

 

継続的契約である賃貸借契約は、このような特色を持っていますので、賃貸借契約の内容は、かかる特色を反映した解釈がなされる必要があります。

 

具体的には、「大家さんが催告しなくても不合理と認められないくらい、当事者間の信頼関係が破壊されたといえるとき」に限り、賃貸借契約の無催告解除が認められると解釈されるべきなのです。

 

したがって、賃貸借契約書に、どのような文言が記載されていようと、1日だけ賃料の支払が遅れたからといって、そのことを理由として賃貸借契約を解除することはできないと思われます。

もっとも、大家さんが「賃貸借契約を解除したから、賃料は受け取らない。」などと言ってきても、払わないままでいてはいけません。大家さんが受け取らない場合は、供託をするなどの対応が必要不可欠です。

投稿者: 流山法律事務所

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