2015.03.11更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、特別養子縁組制度について、概略をお話ししました。

ほかの家の子をもらってきて、実子として届けることは、公正証書原本不実記載罪に該当してしまうこと、そのため、特別養子縁組制度という制度が創設されたこと、などをお話ししたかと思います。

 

今回は、実際に「ほかの家の子をもらってきて実子として届け出てしまった場合」はどうなるか、についてお話ししたいと思います。

 

このような場合、親と子との間には、「戸籍上は」親子関係が成立していますが、実態としては親子ではありません。ですので、例えば20年後、親子の折り合いが悪くなってしまい、親子の縁を切ろうと考えたときは、親子関係不存在確認の調停・訴訟を申し立てる方法により、親子関係が存在しないことを裁判所に認めてもらうことができます(このような裁判が確定すれば、戸籍も訂正されることになるでしょう。)。

 

ほかの家の子をもらってきて、何十年も実子として育ててきたにもかかわらず、いつでも親子関係の不存在を確認することができるという結論は、ある意味、身勝手ですし、子どもに対して酷となることもあると思いますが、実際の親子関係がない以上、基本的には、子ども側に厳しい判断となってしまうようです。

 

この結論に対し、子ども側としては、「親子関係が不存在であるとしても、せめて養子としての立場は認められないのか。」と反論することが考えられます。

しかし、この主張に対しても、裁判所は「養子としても認められない。」との判断を下しているようです。

 

もっとも、余りに子ども側に不利な場合、つまりは「実の親子と同様の生活の実体があった期間の長さ、判決をもって実親子関係の不存在を確定することにより子及びその関係者の受ける精神的苦痛、経済的不利益、親が実親子関係の不存在確認請求をするに至った経緯及び請求をする動機、目的、実親子関係が存在しないことが確定されないとした場合に子以外に著しい不利益を受ける者の有無等の諸般の事情を考慮し、実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすものといえるとき」には、「親子関係不存在確認請求は権利の濫用に当たり許されないものというべきである。」との判決も下されており、権利の濫用として、親子関係の不存在が認められない余地もあるようです。

 

子どもの立場・権利を考えれば、実子として届け出るのがよいのではなく、むしろ、法に則って、特別養子縁組制度などを活用された方がよいのではないでしょうか。

投稿者: 流山法律事務所

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