2015.02.22更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

最近、有給休暇の取得日の一部を会社が指定するなど、有給休暇に関する新たな法制度が議論されています。

しかし、現在の制度では、有給休暇は従業員が自由に取得することが出来るのが原則となっています。会社は、基本的に従業員の有給休暇の申請を受理する必要があり、ただ、「時季変更権」として有給休暇の取得が、業務の正常な運営を妨げる場合に、有給休暇の取得を別の日に変更することができることができるだけです。

 

そして、この「時季変更権」は、会社が勝手に主張することが出来るものではなく、業務が繁忙期に入っており、有給休暇を取る従業員の補充が不可能であった場合など、合理的な理由が必要であると思われます。

 

つまり、「どうせ寝ているだけなんだから会社に来い」とか、「家族よりも会社を優先すべきだ」などという理由で、時季変更権を行使することはできません。

 

では、従業員が、有給休暇中に会社にとって望ましくないと思われる行動、例えば政治集会に出席する予定があるなどの理由で、会社は時季変更権を行使することはできるのでしょうか。

 

これまでお話ししてきましたとおり、時季変更権は、有給休暇の取得が、会社の正常な運営を妨げるときにのみ認められるものです。そして、従業員が政治集会に出席することは、通常、「会社の正常な運営を妨げる」ものということはできません。会社にとっては面白くない政治集会への出席であっても、これを時季変更権を用いて阻止することはできません。

判例でも、時季変更権を用いて政治活動を阻止しようとした会社が敗訴している事例がいくつかあるようです。

 

そもそも、休暇中に従業員が何をするかということは、個人のプライベートなことですから、会社が口を出すべきではありません。会社側としては、時季変更権を行使する際には、十分に有給休暇の取得が会社の正常な運営を妨げるものであるか否かを考慮する必要があるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

top_btn11_sp.png
04-7150-8810 メールでのお問い合わせ
弁護士ブログ よくある質問 解決事例 流山法律事務所 離婚・男女問題相談サイト