2015.02.16更新

流山法実事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

先日、パソコンの遠隔操作事件で、被告人に懲役8年の判決が下されました。懲役8年という結果は、重く感じられるかも知れませんが、この事件でたくさんの方に害が発生していることからすれば、相当な結論であるように思います。

 

特に、パソコンを遠隔操作され、冤罪に陥れられて誤認逮捕された方たちに与えた悪影響は、きわめて大きなものであると思います。それと同時に、安易に捜査を行い、誤認逮捕に及んでしまった捜査機関の責任もまた問われなければならないと思います。

 

この事件で警察は、誤認逮捕された方たちへの供述の強要や誘導はなかったとしているようですが、非常に疑問が残ります。また、仮に強要や誘導がなかったとしても、どのような人であれ、警察に逮捕され、孤独の中で何度も取り調べを受けていれば、たとえ何もしていなかったとしても、警察のいうとおりに「罪を自白」してしまうものです。

 

警察は、このような可能性にも十分配慮し、供述だけでなく、客観的な証拠を積み重ねて、万が一にも誤認逮捕を起こさないような捜査を行う必要があったのではないでしょうか。少なくとも、パソコンやプログラミングの専門知識のある捜査担当者をこの事件の捜査に関与させ、慎重な捜査をしていれば、このような誤認逮捕は防げたのではないかと思わずにはいられません。

 

また、取り調べにおいても、供述の強要、誘導を防ぐため、可視化を行うべきであろうと思います。現在、取り調べは密室で行われているため、可視化をしなければ、不当な取り調べが行われてしまいかねません。今回の事件でも、供述の押しつけや誘導がなかったかをきちんとチェックできる態勢があれば、また違った結果となった可能性もあります。

 

今後、誤認逮捕や冤罪に陥る人が出ないように、警察をはじめとする捜査機関は、十分かつ慎重な捜査を行うとともに、取り調べの全面的な録画を行うべきです。

 

 

投稿者: 流山法律事務所

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