2015.02.12更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

相続について相談にいらっしゃる方は、相続人(財産を受け継ぐ方)だけではありません。遺言書を書こうとする方から相談をいただくことも多々あります。

 

そのような方から、たびたび質問されることがあります。

それは、「老後の面倒を見てくれた子に財産を遺したい」というご要望です。例えば、ご相談者には子どもが2人いるが、二男は面倒を見てくれず、長男だけが面倒を見てくれたので、長男に財産を遺したい、というようなご要望です。

 

老後の面倒を見てくれた子に財産を遺す方法としては、まず、遺言書を書く方法が考えられます。「長男に財産をすべて取得させる」というような遺言書を書いておけばいいのです。

 

しかし、このような遺言書では、いたずらに兄弟間の紛争を生むことになりかねません。また、「遺留分」という制度があり、面倒を見てくれなかった二男にも、一定割合の遺産を取得する権利がありますので、すべての遺産を必ず長男に遺すことができるわけではありません。

 

むしろ、二男にも、一定程度の遺産を遺し、長男にはそれより多額の遺産を遺す、と遺言書に記載したほうが、遺産を遺してもらう長男にとっても幸せなことなのではないでしょうか。

 

また、「負担付死因贈与」契約という手法も考えられます。これは、長男が老後の面倒を見てくれたことを条件として、財産を死因贈与するというものです。

 

もっとも、「長男が老後の面倒を見た」かどうかについて、長男と二男とが争うことも考えられますし、負担付死因贈与は「契約」ですので、長男が老後の面倒を見てくれなくなったという事情が発生しても、すぐに一方的に解約を解除することができないというデメリットもあります。

 

もう一つ、長男を受取人として、生命保険をかけるという方法もあると思います。

生命保険は原則として遺産ではなく、受取人の財産とされていますので、長男を受取人としておけば、その財産を長男のものにすることができるのです。

 

もっとも、生命保険の金額や保険金の額が遺産の総額に占める割合、被相続人と保険金受取人との同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなど、保険金受取人である相続人と被相続人との関係、保険金受取人でない他の相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態などに照らして、相続人間に著しい不平等が発生するときは、生命保険金であっても、遺産分割の対象とされてしまう可能性があります(実際に、そのような判例が下されているようです。)。

 

どのような手法を取られるかは、様々な手続き(上記のほかにもいろいろ手法はあると思います)のメリットやデメリットを十分に検討して決定すべきです。判断に迷われたら、ぜひ流山法律事務所までご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

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