千葉県弁護士会松戸支部所属の弁護士の川越伸裕です。
今日は、「軽犯罪法」について、お話ししたいと思います。
一昨日と昨日にご紹介した法律とは違い、「軽犯罪法」という名前は、皆さんもお聞きになったことがあるかも知れません。
しかし、どのような行為が軽犯罪として禁止されているか、その内容をご存じの方は、少ないのではないかと思います。
軽犯罪法は、第1条に、34項にわたる禁止事項を設け、これに反した場合は、拘留または科料に処すると規定しています。
なお、拘留とは、1日以上30日未満の期間、捕まえておくこと、科料とは、1000円以上1万円未満の額でなされる、罰金みたいなものです。非常に軽い刑罰ですね。
さて、禁止されている行為のうち、いくつかを挙げてみたいと思います。
2 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた場合
「隠して」いれば、いいのです。刃物でもなんでも、隠さずに堂々と持っていれば、軽犯罪法に反することはありません(銃刀法とか、何かの予備罪とか、別の法律で捕まると思いますが。)。
4 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
私は、司法試験に合格するまでは、このような生活をしていましたので、率直に「こんな法律なんか作るな、放っておいてくれよ。」と言いたくなります。
ホームレスの方も、もしかしたら、この罪に該当する可能性があるのでは?と思ってしまいます。
20 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させる仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
嫌悪しなければ、「しり」「もも」「その他身体の一部」(←何処かは明言しないんですね)を露出しても軽犯罪にはなりません。公然わいせつ罪などにはなるかもしれませんが。
22 こじきをし、又はこじきをさせた者
私は、乞食、という言葉を、差別用語として認識していましたが、法律では、堂々と規定されています。何せ法律ですから、怖いものはありません。
23 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
浴室や便所を密かに覗き見る「正当な理由」って何でしょうか。
監視カメラなど、なのでしょうか(しかし、監視カメラはそこにあることが明らかに分かりますから、ひそかに覗き見たと言うことができるのか疑問に思いますが。)。
ともかく、法律を作った人は、浴室や便所を除く「正当な理由」が存在すると考えていたことだけは間違いありません。
このように、軽犯罪法には、いろいろツッコミ所が満載です。
ぜひ、一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。