2014.12.29更新

流山法律事務所の弁護士の川越です。

 

ご家族やお友達が何かの理由で逮捕されてしまい、面会をすることができないときがあります。

しかし、そのようなときでも、弁護士は捕まっている人と面会(「接見」といいます)をすることができます。これを、「接見交通権」(せっけんこうつうけん、と読みます)といいます。

 

特に、弁護士は、裁判のための重要な打ち合わせ等をしなければなりませんので、秘密で接見(面会)することができる権利があります。この権利は、裁判での防御活動を行うため、極めて重要な権利とされています。

 

このように、弁護士による「秘密の」「接見」は、捕まっている人の権利を守るために、強く保護されなければなりません。

 

さて、先月、東京地方裁判所で、この秘密の接見に関する判決がありました。これは、ある弁護士が、拘置所内で、健康状態(精神状態)に異常があると思われる人の様子を撮影・録画していたところ、それを理由に接見を中止させられたという事案です。

 

裁判所は、結論として拘置所側の違法性を認め、10万円を支払うよう命ずる判決を下しました。

 

しかし、一方で、捕まっている人の状態を記録化することは、弁護活動に必要不可欠ではなく、本件のように専ら証拠保全として行われた写真撮影行為は、「接見」に含まれると解することはできない、とも述べています。

捕まった人の当初の精神状態を記録することは、今後の裁判で「心身喪失」や「心神耗弱」の主張をするために必要なものと思われます。この撮影・録画は、まさに捕まっている人の「防御活動」に資するものと思います。

 

この判例は、接見交通権の重要性を十分に理解せず、接見交通権を制約しようとするものであって、不適切なものではないでしょうか。

 

この裁判は、控訴され、高等裁判所で審理されるようですので、今後、どのような判断が下されるか、注目したいと思います。

投稿者: 流山法律事務所

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