「婚姻意思」と「離婚意思」の要否について

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

結婚をするには、夫と妻の双方に、婚姻する意思がなければなりません。夫婦として共同生活を営む意思がなければ、婚姻届を役所に出していたとしても、その婚姻は無効とされてしまいます。

 

例えば、国籍を取得させる目的で、外国人女性と日本人男性が結婚したとした場合、その結婚には、双方に婚姻する意思がないということができますので、その結婚は無効となります(そればかりか、場合によっては、公正証書原本不実記載という罪に問われかねないのです。)。

 

結婚に、婚姻意思が必要とされたのは、そうしなければ、夫婦の結合関係のない仮想婚姻が作出されてしまう可能性が高く、それを防止する必要があるためと思われます。

 

一方、離婚については、離婚届を出すことへの合意があればよいとされています。夫婦の共同生活関係を解消する意思がなくても、離婚届を出すことを了解していたのであれば、離婚が成立してしまうのです。

 

例えば、生活保護を受けるため、形式的に離婚届を提出した場合には、仮に夫婦の同居が続いていたとしても、離婚は成立してしまうことになります。

 

離婚をするつもりがなくても、了解して離婚届を出した以上、離婚は成立してしまうこと、その場合は、相続などの点で、不利益が生じかねないこと、の2点には、注意が必要でしょう。