流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
最近、書面提出の〆切が重なったため、少しバタバタしていました。予定どおりに書面を作成して提出する、というのは、意外と大変なことです。数か月に1度は、〆切が重なって、大変になってしまうのですが、今回は、どうにか乗り切ることができました。
さて、私が、〆切に苦しんでいた最中に、公判への出廷を拒んだ弁護人に、過料3万円の支払いを命じた決定が、最高裁で確定したとのニュースを耳にしました。
被告人が、手錠・腰縄をつけて裁判に出廷することを拒否したことから、弁護人もそれに同調し、出廷を拒否した事案のようです。
弁護人に、過料の制裁がなされることは、非常に珍しいのではないかと思います。
この過料については、刑事訴訟法278条の2に規定がなされています。
その条文は、概要、
①裁判所は必要なとき、弁護人に対して出頭・在廷を命じることができる(出頭在廷命令)、
②弁護人が、正当な理由なく命令に従わないときは、10万円以下の過料の決定を下すことができる、
③決定をしたときは、弁護士会へ「適当な処置」(懲戒処分、のことでしょう)を取ることを請求する。
との規定がなされているのです。
弁護士がいないと裁判が開けず、結果として裁判に時間がかかってしまうため、それを防止する目的で規定されたという経緯があります。
上記の件では、弁護人が出頭しないため、裁判所が出頭在廷命令を出したにもかかわらず、弁護人が不出頭を続けたため、過料の制裁がなされたものと思われます。
事案の詳細を知っている訳ではありませんので、当該弁護人の判断の当否は何とも言いようがありませんが、手錠・腰縄をつけたまま入廷しなければならない現状には、少なからず問題があるように思います。
この点については、改善の方向に向かってほしいものです。