2015.09.15更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

結婚後の夫婦には、様々な法律関係が生じます。結婚したことによって、法律上の権利義務を負うことがあるのです。このような法律関係のうち、主なものをいくつか挙げてみます。

 

①苗字(姓)が同一になること。

夫婦は、夫または妻の姓を名乗ることとなります(民法750条)。日本では、夫婦別姓の制度は採用されておりませんので、苗字を別にするには、法律上の結婚をせず、内縁関係を選択する必要があります。

 

②同居の義務が発生すること。

夫婦には、同居の義務があります(民法752条)。相手が同居をしないで、勝手に家を出てしまった場合には、同居の請求をすることができます。もっとも、同居を強制することはできないものと解釈されています。なお、正当の理由があれば、同居の義務の例外として、同居をしなくてもよい場合もあるでしょう(例えば、DV被害などを受けている場合)。

 

③協力・扶助の義務が発生すること。

夫婦には、協力・扶助の義務があります(民法752条)。具体的には、生活費等について協議し、一方が困ることのないようにすることや、一方が病気・怪我をした際に、放置しないようにすること、などが挙げられるでしょう。また、浮気をしないことも、協力・扶助の義務からして当たり前のことです。

 

④成年擬制が発生すること。

未成年者が結婚したときは。それによって成年に達したものとみなされます(民法753条)。

 

⑤夫婦間の契約の取消権が発生すること。

夫婦間の契約は、いつでも取り消すことができます(民法754条)。夫婦の間の約束には、法はいちいち立ち入らないので、二人でどうにかしろよ、という規定です。もっとも、婚姻関係が破たんした後の夫婦間の契約は、取り消すことができません(これは、以前にもブログでご説明しました。)。

 

⑥生まれた子供の嫡出推定

婚姻中に生まれた子供は、夫の子であると推定され、戸籍に入れられます(民法772条)。夫が、自分の子どもでないと主張するためには、嫡出否認の訴えという方法による必要があります。

 

⑦相続権の発生

婚姻している場合、配偶者は、常に相続権を有することとなります。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.13更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫が生活費を家庭に入れず、生活が成り立たない場合、そのような夫と離婚することはできるのでしょうか。

 

まず、夫がギャンブルなどで浪費しており、生活費を家に入れない場合には、妻を「悪意で遺棄」したとして、離婚することができるものと考えられます。夫婦は、一緒に協力して生活し、互いの生活にかかる費用(婚姻費用)を分担する義務を有していますが、自分勝手に浪費し、生活費を家に入れないということは、これらの夫婦の義務をまったく履践していないということにほかならないからです。

 

このような場合には、離婚が認められる可能性は高いものといえるでしょう。

 

一方、夫が失業しているとか、病気で働けない等の場合には、夫が生活費を稼げなくても、ある意味やむを得ないところがあると考えられます。仮にそのような事情があるのであれば、生活費を入れないことが「悪意の遺棄」と評価できないと思われますので、このことのみをもって離婚することは、少し難しいのではないかと考えられます。

 

とはいえ、失業を繰り返し、生活がまったく安定しないとか、勝手に仕事を辞めて、不安定な職を目指すなどの場合は、「悪意の遺棄」がなかったとしても、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚が認められる余地もあるものと考えられます。

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.10更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫と協議離婚した際、①子どもの親権を妻とすること、②夫が毎月養育費を支払うこと、など、必要事項を取り決めることは、よくあることです。

この約束通り、養育費が支払われていれば何の問題もありませんが、離婚からしばらく経つと、約束した養育費が支払われなくなってしまうことも、またよくあることです。

 

このようなときに、約束どおりの養育費を支払ってもらう方法はないでしょうか。

 

養育費の支払いが滞った場合、任意での支払いを期待できないことが多いでしょうから、夫の給料や財産を差し押さえて、未払いの養育費の支払いを受けることが考えられます。

しかし、当事者間で養育費を決めただけでは、差し押さえを行うことはできません。夫に養育費を支払う内容の念書を書いていてもらったとしても、すぐに強制執行を行うことはできないのです。

 

強制執行の方法を取るには、養育費の額が記載された、裁判所の調停調書や審判書などの、公的な書類が必要となります(ただし、執行認諾文言付きの公正証書があれば強制執行可能です。)。そのため、養育費の支払いを受けようと思った場合は、まず家庭裁判所に調停を申立て、調停調書や審判書といった書類の取得を目指す必要があります。

 

調停で夫が裁判所に来て、養育費額を合意した場合は、夫が支払う養育費額が記載された調停調書が作成されます。夫が裁判所に来ないなどの理由で合意ができない場合は、審判手続きという手続きに移行し、裁判官が妥当な養育費額を定めて、審判を下し、審判書を作成してくれます。

 

このような書類を獲得した上で、強制執行の手続きを執り、養育費の支払いを実現することとなります。

 

時間と手間のかかる問題ですので、ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.08更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

今日は、司法試験の合格発表日です。法務省のサイトによれば、1850人の合格者が出たとのことです。去年より、合格者は減るものと思っておりましたので、少し意外でした。

 

我が母校、中央大学が、合格者170名で、トップを奪還したそうです。2011年以来、4年ぶりのことです。大学でお世話になった研究室の「中櫻会研究室」も、5名ほど合格したそうで、喜ばしい限りです。

 

しかし、残念なことに、今回、司法試験問題の漏えい事件が起きてしまっています。司法試験委員には、当然、問題を漏えいさせないよう、高度の義務と倫理が科せられているはずです。それを無視して、漏えいをするなど、あり得ず、許されないことです。

 

ところで、漏えいを受けた学生は、今後どうなるのでしょうか(もちろん、今回の試験は不合格とされると思いますが。)。

司法試験での不正は、最長5年の受験禁止処分を科せられるはずですので、この範囲で受験禁止となる可能性が高いように思いますが、どうでしょう。

 

司法試験は、大学院卒業後、5年間に5回まで受験できることとなっておりますので、長期間の受験禁止が下されたら、事実上、法曹になる道を閉ざされることとなるでしょう。

 

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.06更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚をしたいと考えているとき、相手と協議して離婚できれば、それに越したことはありません。しかし、現実問題として、相手方と協議をすることができない場合がよくあります。

 

例えば、相手が離婚に応じず、まったく聞く耳を持たない場合や、DVなどの被害に遭っていて、顔を会わせて協議することが精神的に負担である場合などが考えられます。

 

このようなときに協議をするには、二人きりで協議しようとするのではなく、第三者に間に入ってもらうことを考えるべきでしょう。両親などの親族や共通の友人、会社の同僚など、双方に話をしやすい人に依頼するのがコツです。この場合には、事情を詳しく説明し、状況を良く知っておいてもらった方がよいかも知れません。

 

それでも、話がまとまらず(かえってもめてしまうこともあるかも知れません)、離婚の協議ができない場合は、メールやライン、手紙などで連絡を取って協議する方法もやむを得ないでしょう。

 

もっとも、第三者が間に入ってもまとまらなかったのですから、メール等でまとまらないことも多いかも知れません。

 

そのようなときは、専門的な知識のある弁護士に相談し、依頼することが望ましいといえます。弁護士に依頼すれば、相手と協議をするために手紙を送ったり、相手がまったく協議に応じない場合は、調停を申し立てたりして、離婚に向けた対応を行っていくことが可能です。

 

相手が離婚協議に応じず、問題の解決が図れない場合には、是非弁護士までご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.05更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

夫婦の一方と、もう一方の実家とのトラブルというものは、よくあることです。特に、新居がもう一方の実家と近いときには、舅や姑との関係も密になり、その結果、価値観の違い等からトラブルになってしまうことが多いようです。

例えば、妻の料理や掃除に文句をつけてきたり、育児方法に注文をつけてきたり、時には、妻の悪口を夫に言う、など、さまざまなトラブルがあります。

 

このような、舅・姑とのトラブルを理由に、離婚することはできるのでしょうか。舅・姑とのトラブルが、離婚原因である「婚姻関係を継続し難い重大ない事由」に該当するか否かが、問題となります。

 

結論から申し上げると、単に舅・姑などの親族との折り合いが悪いということだけでは、基本的に、婚姻関係を継続し難い重大な事由に当たらないと考えられます。離婚原因があるか否かは、結婚相手との夫婦間の問題であり、相手方配偶者との関係が最も重要視されるからです。

 

もっとも、舅や姑の干渉が、第三者から見ても明らかに常識を逸脱しており、夫婦の共同生活を継続することが困難であるような場合であれば、離婚が認められる余地もあり得ると思われます。特に、配偶者が舅・姑の干渉などの事実を知りながら、それを放置していたり、一緒に暴言を振るうなどといった事情がある場合には、婚姻関係を継続し難い重大な事由があると認められる可能性があるでしょう。

 

具体的な対処法としては、相手方配偶者の親族と折り合いが悪い時は、そのことをきちんと配偶者に伝え、対応についてよく話し合うべきです。このような場を何度か設けたにもかかわらず、配偶者が何も行動をしないで状況の改善がみられないとか、配偶者が親族の立場に立って、こちら側をないがしろにする等の行動があれば、婚姻を継続し難い重大な事由があり、婚姻関係が破たんしたとして、離婚が認められることとなるでしょう。

 

 

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.04更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚の際、これまで住んでいた家に住み続けたいとお考えになる場合もあるかと思います。このようなとき、どのようにすれば、これまでの住居に住み続けることができるでしょうか。

 

家が持ち家であったとき(借家でないとき)には、その家の所有権が誰のものかを、まず確認する必要があります。

家があなたの名義であれば、当然、その家に住み続けられることとなるでしょう。

 

一方、家の名義が相手方であった場合は、財産分与などで、その家の所有権を取得する必要が出てきます。家の価格が、財産分与すべき額よりも高い場合は、金銭を相手方に支払う必要が出てくることもあるかもしれません。ローンが残っているときは、ローンの支払いをどうするか等、決めなければならないことも多いといえます。

家の名義が共有であった場合も、同様に、財産分与などでその持分を取得する必要があるでしょう。

 

場合によっては、相手方と協議し、名義や持分を相手方に残したまま、家を借りる合意をして、そのまま住み続けることも考えられます。この場合、相当の賃料を相手方に支払う必要があると思われます。

 

次に、家が借家の場合を検討します。

 

この場合は、夫婦の話し合いによって、合意がまとまれば、そのまま家に住み続けることができると思われます。もっとも、賃貸約契約を相手方が締結していた場合には、大家から賃貸借契約書の契約名義人や保証人の変更を求められる場合が多いと思います。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.03更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

離婚の際、夫婦の財産は、財産分与の対象となり、原則2分の1ずつ分かち合うこととなります。

例えば、自宅等の不動産、夫婦双方の名義の通帳に入っている預貯金、高級車、などが、財産分与の対象とされることが多いといえます。ほかにも、配偶者の退職金についても、場合によっては、財産分与の対象とされる可能性があります。

 

財産分与に際して、ときどき相談されるのが、配偶者の「へそくり金」です。例えば、「妻がへそくりを持っているはずだが、財産分与の対象としてほしい」とか、「へそくりを持っているが、財産分与の対象とはしないでほしい」などのご希望が出されることがあるのです。

 

まず、前提として、夫婦が結婚した後に得た財産(夫婦が協力して得た財産と言っていい部分)は、夫婦の共有財産となり、財産分与の対象となります。

 

すなわち、結婚する前から持っていた財産は、夫婦が協力して得たお金ではありませんので、それをへそくりにしていた場合は、財産分与の対象とはならないでしょう(もっとも、夫婦共有の財産でないことを証明する必要があるでしょう。)。

 

一方で、結婚した後に貯めてへそくりにしたものについては、夫婦共有のお金をこっそり貯めていた、というに過ぎませんから、財産分与の対象となるのが原則といえるでしょう。

 

もっとも、配偶者から贈与されたお金を貯めていた場合は、夫婦の共有財産でなく、特有の財産となりますので、財産分与の対象とはならないこともあるでしょう。

また、夫婦が協力して得たと評価できないお金、例えば、妻の親族が亡くなり、遺産として妻に金銭が支払われた場合は、その金銭については、財産分与の対象とはならないこととなります。

 

もっとも、へそくりがどこにあるのか、いくらなのかをきちんと明らかにしなければ、財産分与を求めることは事実上不可能であると考えられます。

投稿者: 流山法律事務所

2015.09.01更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

南流山駅前に、法律事務所を設立して、今日で丸一年となりました。

つい昨日、設立したばかりのような気がします。本当に、一年の経つのは早いものだな、と実感します。

 

ご依頼いただける事件の数も少しずつ増えてきました。また、弁護士会松戸支部の弁護士の顔も分かるようになってきました。

やりがいと責任が、さらに大きくなっていくように感じています。

 

今後も、手を抜くことなく、精一杯事件解決に努めて参ります。

 

なお、このブログ記事も、ちょうど200件目の記事となりました。以前書いた内容などを忘れて、同じような記事を書いてしまうこともあろうかと思いますが、ご容赦ください。

投稿者: 流山法律事務所

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