2015.11.03更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

民法は、第747条に、「詐欺…によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。」との規定を設け、詐欺による婚姻の取り消しを認めています。

 

もっとも、婚姻という重要な身分関係に関するものですから、詐欺によって婚姻が取り消されるケースは、必ずしも多くありません。一般的には、婚姻にとってきわめて重要な事項について、悪質な欺罔(騙し)がなされたことが、婚姻を詐欺で取り消すために必要であると思われます。

 

よくある事例として、「嘘の職業や年収を言われていた」というものがあります。結婚においては重大な事項であろうとは思いますが、しかし、この点の嘘だけでは、詐欺により結婚を取り消すことは難しいと思われます。

 

実態はともかく、人は、その人の性格や人柄を見て結婚するのであり、職業や年収だけで結婚する訳でないでしょ、という建前があるからでしょう。

 

大昔の話になりますが、裁判所も、媒酌人が「薬剤師で月収90円以上」と言ったことを信じて結婚したが、実際は薬剤師の免許を持っておらず、月収も70円程度であったという事件について、詐欺による婚姻の取り消しを認めなかったことがあります。

 

詐欺により婚姻を取り消した事例としては、年齢のサバ読み事件があります。これは、52歳の女性が、24歳と年齢をサバ読みして結婚したという事件です。裁判所は、「婚姻後の生活設計も土台から異なってくる違い」(例えば、出産可能性などの観点でしょう。)であるとして、婚姻を取り消しています。

 

これは、年齢のサバを読み過ぎたため、ごく例外的に婚姻の取り消しが認められたものでしょう。例えば30歳の人が、28歳であると嘘をついたような場合まで、婚姻の取り消しが認められるものではありません。

投稿者: 流山法律事務所

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