2015.09.21更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

人を殺した場合、殺人罪という罪に問われ、死刑、無期懲役、もしくは5年以上の懲役という厳しい刑罰に処せられます。人の命という重要な法益を保護するため、厳しい刑罰が規定されているのです。

 

しかし、人を殺しても、殺人罪に問われない場合があります。

 

まず、わざと人を殺した場合でないときが挙げられます。例えば、交通事故で被害者を死なせてしまった場合や、怪我をさせるつもりで暴力を振るったら死んでしまった、などの場合です。

 

殺人罪が適用されるには、故意(殺そうと思って殺したこと)があることが必要とですので、誤って人を殺してしまった場合は、殺人罪に問われないのです(もっとも、別の犯罪、例えば自動車運転過失致死罪、傷害致死罪などに問われることとなります。)。

 

次に、自分や他人の利益を守るため、やむを得ず人を殺した場合も、殺人罪には問われません。例えば、包丁を持って殺そうとしてきた人を、やむを得ず返り討ちにして殺してしまった場合は、殺人罪には問われません(正当防衛)。

 

また、正当な業務として人を殺した場合も、殺人罪には問われません。例えば、刑務官が死刑囚の死刑を執行した場合、人を殺したといえますが、殺人罪にはならないのです。

 

さらに、責任能力がない者が人を殺したとしても、殺人罪の適用はありません。例えば、赤ちゃんが拳銃をいじっていて誤射してしまい、人を殺した場合(時折、海外で似たような事故が起こります)、心神喪失者が人を殺した場合などです。

 

このほかにも、被害者から、「自分を殺してくれ」などと頼まれて殺した場合は嘱託殺人罪に、自殺の手助けをした場合は自殺幇助罪(いずれも6か月以上7年以下の懲役または禁錮)に、それぞれ殺人罪とは別の罪によって処罰されることになります。

 

なお、医者が、患者から安楽死を頼まれ、死に至らしめた場合、厳格な要件の下、嘱託殺人罪が成立しないことがあるとされています。

投稿者: 流山法律事務所

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