2015.08.31更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

労働事件で、残業代の請求をすると、かなりの頻度で、「残業代は支払わなくてよいという合意をしている」などの反論が来ることがあります。

このような、会社側の反論は、認められる(残業代を支払わなくてよい)のでしょうか。

 

残業代の支払いについては、労働基準法という法律の第37条に規定があります。

なかなか読みにくい条文なのですが、例えば、時間外労働をした場合は、25%の割増賃金を支払うことなど、具体的な時間外労働への賃金の割増率が規定されています。

 

そして、労働基準法は、労働条件の最低限度を定めたものと解釈されており、労働基準法より低い労働条件の合意は、無効であるとされています。

 

労働基準法13条には、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。 」との規定があり、最低でも、労働基準法に定められている条件を履行しなければならないことが定められているのです。

 

さて、本題の「残業代を支払わなくてよい」との合意について検討してみます。

 

残業代を支払わないという合意は、残業代の支払いを定めた労働基準法37条に違反するものです。したがって、労働基準法13条によって、この合意は無効となり、無効となった時間外手当の合意部分は、労働基準法37条に定める基準によることとなります。

 

つまり、残業代を支払わないでよいとする合意が仮にあったとしても、その合意は無効であり、労働基準法に基づいた時間外手当をきちんともらう権利があることとなります。

上記の会社の反論は、まったく意味のない反論なのです。

 

このような理由で、時間外手当の支払いを拒否された場合は、ご遠慮なく当法律事務所までご相談ください。

投稿者: 流山法律事務所

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