流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
日本の話ではないのですが、猫の所有権が法廷で争われているとのニュースを見ました。
それによると、2007年に飼っていた猫が行方不明になってしまいましたが、2014年になって、新しい飼い主に飼われていることが発覚したそうです。
写真を見ると、この猫は黒毛と白毛が混ざった猫(黒白猫)のようですが、このように法廷での争いとなってしまうと、この猫のように、簡単に白黒つける訳にはいかなくなってしまうのではないかと思います。
さて、日本で同様のことが起こった場合、猫の所有権はどちらのものとなるのでしょうか。
猫が行方不明になったと言っても、猫に対する所有権が失われるものではありません。これは、例えば財布を落として行方不明になってしまったとしても、財布の所有権が失われるものではない(拾った人から返してもらえる)ことと同じように考えることができます。
すなわち、猫の所有権は、もとの買主にあり、新しい飼い主は、猫を返さなければならなくなるでしょう。
もっとも、猫を飼っている間に生じたエサ代や予防接種代などの経費は、もとの買主に請求することができるものと思います。
なお、拾った猫の所有権を得るには、警察に遺失物として届け、3か月経過すれば、所有権を得ることができます。
ところで、道端にいる猫を勝手に拾って飼うことに、刑事上の問題が生じる可能性があります。
拾った猫が野良猫で、誰の所有物でもないのであれば、拾って飼うことに問題はないのですが、飼い猫であることが明らかである場合、例えば首輪をしていたり、鑑札をつけていたり、毛並みが良かったり、躾が行き届いていたりした場合は、きちんと警察に届け出なければなりません。
届出を行わない場合は、遺失物横領という罪に抵触する可能性がありますので、お気を付けいただきたいと思います。