流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。
傷害や窃盗などの刑事事件で、罰金の判決が下されたとします。
そのときには、その額の罰金を納めなければなりませんし、納められなければ、労役場という施設(刑務所の一角を区切って労役場とすることが多いようです。)に収容されることになります。
働いて罰金を納付させる、というイメージです。
ところで、警察に逮捕されて勾留された(捕まったままであった)人については、量刑の問題として、その勾留の日数(未決勾留日数といいます)を罰金刑に算入することができます。
例えば、以下のような判決が下されることがあるのです。
被告人を罰金20万円に処する。
未決勾留日数中、その1日を金5000円に換算して、その罰金額に満つるまでの分を、その刑に算入する。
このような判決の場合、罰金を納付する必要はありません。捕まっていた間の日数、働いたものとして、罰金に算入してくれるという取扱いになるからです。
これを、「満つるまで算入」と呼んだりします。
実は、私が司法修習生(司法試験に合格した後の研修のことです)の弁護修習中に、初めて見た刑事事件で、この「満つるまで算入」がなされました。
当時の私は、このような方法があることを知らなかったので、後から調べて、このような方法があることを知りました。非常に印象に残っている方法です。
なお、判決で「満つるまで算入」がなされなかった場合、後になって、「未決勾留の分を算入しろ」と請求することはできません。