2015.03.20更新

流山法律事務所の弁護士(弁護士会松戸支部所属)の川越伸裕です。

 

3月も半ばを過ぎました。4月になれば、進学などで新たな生活を送ることになる方も多いと思います。また、四月から新社会人となられる方も多いのではないでしょうか。

 

さて、今回は、会社に採用される際の経歴詐称の問題についてお話ししたいと思います。

 

普通、会社の採用に応募するときには、履歴書を提出すると思います。履歴書には、氏名や年齢、住所などを書くほか、「職歴」や「賞罰歴」を記載する欄があることが多いでしょう。

その欄に、虚偽の内容を書いてしまうことを、経歴詐称といいます。

 

具体的には、大卒以上が応募資格であるため、実際は高卒であるのに大卒と偽って履歴書を記載したり、資格が必要な職業であるため、実際は資格を持っていないのに有資格者であると偽ったり、懲戒免職処分を受けたことがあるのにそれを隠したりすることなどが、「経歴詐称」に当たります。

意外と、この経歴詐称の問題はあるものなのです(実際に、私は、高卒であるのに慶応大学卒業と偽って就職が内定してしまった人の相談を受けたことがあります。)。

 

このような経歴詐称が良くないことであることは争いがないと思います。では、経歴詐称をしてしまったとき、会社側から何らかの懲戒処分を受けてしまうものなのでしょうか。

 

これを考えるにあたっては、会社が応募者の経歴を確認する意義について考える必要があります。

会社は、雇用しようとする人が、任せようとする仕事に相応しい人間であるかを判断する必要があります(例えば、経理担当者を雇いたいと考えたときに、前の会社で横領をして懲戒解雇された人を雇いたいとは思いませんよね。)。そのため、経歴の確認は、採否の判断に当たって、重要な意義を持ちえます。

 

また、経歴に応じた労働条件の決定(経験者であれば、賃金を上乗せするとか、役職に就けるなどの配慮がなされることがあります。)など、会社の秩序決定・維持をするために、正しい経歴を把握することは必要不可欠であるといえます。

 

このような経歴の重要性を考えれば、経歴詐称をしてしまったときは、何らかの懲戒処分が下されてしまうのは、ある意味、やむを得ないところがあるのかも知れません。

 

もっとも、多くの場合、経歴詐称については懲戒免職処分がなされてしまう印象があります。

しかし、経歴詐称の内容が、採否に関わりがない場合、例えば、学歴不問の会社の履歴書に違う学歴を書いたような場合には、必ずしも懲戒免職処分が妥当であるとはいえない場合もあるでしょう。

投稿者: 流山法律事務所

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