2015.02.20更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

裁判上、離婚が認められるには、民法に決められている「離婚原因」が必要です。この離婚原因は5つありますが、①配偶者の不貞(浮気)②悪意の遺棄(家出や生活費をくれない場合など)③生死が3年不明である(行方不明のとき)④強度の精神病に罹患し回復の見込みがないこと、の4つは、要件がはっきりと定められており、内容に余り疑問はありません。

 

しかし、離婚原因には、⑤婚姻を継続し難い重大な事由」という、漠然とした要件も定められています。これは、①~④のようなはっきりとした離婚原因がなくても、夫婦関係が破綻しており、維持させることが不適切な場合もあるため、一般的な要件を定めたものであると思われます。

 

このように、⑤の要件は、離婚させるか否かを判断するために柔軟な解釈を可能とするものですが、その反面、要件が漠然としているため、何が婚姻を継続しがたい重大な事由に当たるのか、激しく争われることも多いです。

 

その争いの一つに、「有責配偶者からの離婚が認められるか」という論点があります。例えば、浮気相手と同居するために家を出て行ってしまった夫(離婚原因を作った者=有責配偶者)から、妻に対して離婚の請求ができるか、という、問題です。

 

従来は、有責配偶者からの離婚請求は認められない、という取り扱いが、実務上なされていました。離婚の原因を自分で作っておきながら、離婚請求をするというのは、信義に反するという判断があったものと思われます。

 

しかし、近年、有責配偶者からの離婚請求が認められることもあるようになってきました。夫婦関係が事実上消滅していて、かつ、相手方配偶者に過酷でなければ離婚を認めても信義に反せず、むしろ実態に併せて離婚を認めた方がよいのではないかという判断があったものと思います。

 

具体的には、夫婦の別居が相当長期間(数年以上でしょう)に及んでいること、未成年の子がいないこと(子どもがいれば、親としての責任を果たさせる必要があるからでしょう)、相手方配偶者が社会的・経済的に過酷な状況にならないこと、などの要件を検討し、このような事情がなければ、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、離婚が認められる余地があるのです。

 

お分かりのように、すべての有責配偶者からの離婚請求が認められるわけではありませんが、必ずしも離婚が不可能であるというわけでもない、判断の難しい状況になっているのが現状です。

ご不明な点がありましたら、ご遠慮なく、流山法律事務所までご相談ください。

 

 

 

投稿者: 流山法律事務所

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